「診療こぼれ話」を皮切りに、かつて院内で公開・配布していた「院内情報誌」の中から、
その内容を紹介していこうと思います。
「20世紀の匂い」がするかも知れませんが、
ミニバブルが弾けて不況のどん底にある現在の日本と状況が同じ面もあるかと・・・
などと、一人合点ですかね(^^ゞ
目 次
前回まで、診察を泣いて嫌がっていた小さい子が、突然良い子になって診察を受けるようになったので、
「どうしたの?」と、付き添いのおばあちゃんに尋ねたところ、
「『先生にちゃんと診てもらわないと、鼻が腐るよ』と言ったら
自分から『耳鼻科に行く』と言って、来るようになったんですよ」とのこと。
効果テキメンですが、医者はこんな大胆なことは言えません、残念ながら・・・・・。
ここだけの話 part2 (院内情報誌 第6号、1993/12/17)
付添いさんとは?・・・・
****初診患者さんの場合****
医 者:「どうしたの?」 子ども:「・・・・・・・」
付き添いのおばあちゃん: 「私、いつも一緒に居るわけでないがで、
よーわからんがやけど、
『耳、痛い』言われらしいがでー」
医者:「どちらの耳で、いつ頃からでしょう?」
おばあちゃん:「さあ????」
****再診患者さんの場合****
医者:「そろそろ薬が無くなると思うんだけど・・・・」
付き添いのおじいちゃん: 「あっ、そうけ。わしゃあ、『連れてけ』言われたから、連れてきただけながでー・・・・」
医者:「困ったなあ」
おじいちゃん:「わしゃ、連れてくる人!よーなっとるかどうか、先生が判断すりゃいいが!!」
これは、残念ながら外来でよく交わされる会話です。
付き添いさんとは、「連れてくる人」とか「一緒に来て、お金を払うだけの人」
と思っていらっしゃる方が意外に多いのです。
しかし、ちょっと待ってください。
あなた自身が具合が悪く、しかも言いたいことが言えない子どもやお年寄りだったら、
どんな人に付き添って欲しいですか?
少なくとも、自分の病状についてある程度理解している人、
医者の説明を聞いて、薬の飲み方などを指導してくれる人でなければ困ってしまうのでは?
ここだけの話 part3 (院内情報誌 第12号、1994/07/18)
『耳がかゆいと良いことがある』ということをよく聞きます。
「右の耳なら誰かが自分のことを褒めている。左の耳なら悪口、両方なら褒められている」
という具体的なものもありますが、これはどこかくしゃみの回数の意味づけ(解釈)に似ていて面白い。
占いでは、「耳のかゆみは、やがてお金が入ってくる予兆」というのもあり、
他に俗説では、「右耳なら朝、左耳なら夜に良いことがある」とか、
「耳が痒ければ吉事を聞く」とも・・・・。
いずれも『地獄耳』という表現があるように、
本来聞こえるはずのない遠くの出来事や人の噂、
時には近未来のできごとまでもが、音としてハッキリとは聞こえなくとも、
聴覚器官である耳の痒みとして感じられると考え出されたもののようです。
これを先人達の機知(ウィット)と考えるのは、耳鼻科医の一人合点でしょうか?