診療こぼれ話


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「診療こぼれ話」を皮切りに、かつて院内で公開・配布していた「院内情報誌」の中から、
その内容を紹介していこうと思います。
「20世紀の匂い」がするかも知れませんが、
ミニバブルが弾けて不況のどん底にある現在の日本と状況が同じ面もあるかと・・・
などと、一人合点ですかね(^^ゞ

目 次
  1. 鼻アレルギーのこぼれ話 (院内情報誌 第3号から)
  2. ここだけの話        (院内情報誌 第5号から)
  3. ここだけの話 part2   (院内情報誌 第6号から)
  4. 耳だれ           (院内情報誌 第11号から
  5. ここだけの話 part3   (院内情報誌 第12号から)

 鼻アレルギーのこぼれ話 (院内情報誌 第3号、1993/09/16)    
 
今年は長引く不況の影響で、帰省を含む夏季の旅行者は全国的に減少したとのことですが・・・・

普段はアレルゲンを近づけないように注意しているのですが、実家に帰ってまでわがままは言えませんから・・・・」
 という話を今年のお盆前後に、幾人かのお母さんから聞きました。
 
アレルゲンとはアレルギーの原因物質(スギ花粉症ではスギの花粉、ダニアレルギーではダニの蛋白質など)のことです。
 
医療先進地域といわれる地域(多くは大都市とその周辺地域)では、早くからアレルギー疾患が注目されてきたこともあり、
 ダニなどの家内アレルゲンを防ぐ手段も工夫されてきました。しかし、持ち家率全国一を誇る我が富山県では、
 
アルミサッシの普及に伴って、機密性の高い住宅=ダニ天国が急速に増えつつあるのです。
  
皆さんのお宅に畳の上に絨毯を敷いたお部屋はありませんか?
 
それこそ家ダニにとっては理想郷と言われているのです。
 
鼻アレルギーや喘息は今や都会だけの病気ではなく、私達の身近にも多くの患者さんがいます。
 
以前は、「お盆になると若夫婦と孫が来て、もてなすのも楽ではない」と、夏の終わりになると疲れが出て、
 
病院にかかるお年寄りが多かったのですが、最近は遊びにつきあったり、豪華な料理でもてなすことよりも、
 
ダニ退治と掃除の方が喜ばれるとすれば、世の中も変わってきたと言うことでしょうか・・・・。

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ここだけの話 (院内情報誌 第5号、1993/11/15)

前回まで、診察を泣いて嫌がっていた小さい子が、突然良い子になって診察を受けるようになったので、
「どうしたの?」と、付き添いのおばあちゃんに尋ねたところ、
「『先生にちゃんと診てもらわないと、鼻が腐るよ』と言ったら
自分から『耳鼻科に行く』と言って、来るようになったんですよ」とのこと。
効果テキメンですが、医者はこんな大胆なことは言えません、残念ながら・・・・・。

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ここだけの話 part2 (院内情報誌 第6号、1993/12/17)  

付添いさんとは?・・・・

****初診患者さんの場合****
 医 者:「どうしたの?」 子ども:「・・・・・・・」
 付き添いのおばあちゃん:     「私、いつも一緒に居るわけでないがで、
よーわからんがやけど、 
     『耳、痛い』言われらしいがでー」
 医者:「どちらの耳で、いつ頃からでしょう?」
 おばあちゃん:「さあ????」

****再診患者さんの場合**** 
医者:「そろそろ薬が無くなると思うんだけど・・・・」
 付き添いのおじいちゃん:    「あっ、そうけ。わしゃあ、『連れてけ』言われたから、連れてきただけながでー・・・・」
 医者:「困ったなあ」 
おじいちゃん:「わしゃ、連れてくる人!よーなっとるかどうか、先生が判断すりゃいいが!!」

 これは、残念ながら外来でよく交わされる会話です。
付き添いさんとは、「連れてくる人」とか「一緒に来て、お金を払うだけの人」
と思っていらっしゃる方が意外に多いのです。
しかし、ちょっと待ってください。
あなた自身が具合が悪く、しかも言いたいことが言えない子どもやお年寄りだったら、
どんな人に付き添って欲しいですか?
 少なくとも、自分の病状についてある程度理解している人、
医者の説明を聞いて、薬の飲み方などを指導してくれる人でなければ困ってしまうのでは?


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耳だれ (院内情報誌 第11号、1994/06/15)
 
2才の子どもが、耳だれで受診した時のこと・・・ 
最初は、「コワイ、コワイ」と大騒ぎしていた子どもが、
2回目からはお兄ちゃんと先を争って診察椅子に座ろうとするので、
付き添いのおばあちゃんに、「どうしたの?」と尋ねてみました。
 「なーに、『ほっとくと耳が腐る』と言ったんですよ」とのこと。
 医者が言ったら、「患者を騙すのか!」と叱られそうな話ですが、
家族に言ってもらうと効果抜群ということもあるようです。

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ここだけの話 part3   (院内情報誌 第12号、1994/07/18)

『耳がかゆいと良いことがある』ということをよく聞きます。
「右の耳なら誰かが自分のことを褒めている。左の耳なら悪口、両方なら褒められている」
という具体的なものもありますが、これはどこかくしゃみの回数の意味づけ(解釈)に似ていて面白い。
占いでは、「耳のかゆみは、やがてお金が入ってくる予兆」というのもあり、
他に俗説では、「右耳なら朝、左耳なら夜に良いことがある」とか、
「耳が痒ければ吉事を聞く」とも・・・・。
いずれも『地獄耳』という表現があるように、
本来聞こえるはずのない遠くの出来事や人の噂、
時には近未来のできごとまでもが、音としてハッキリとは聞こえなくとも、
聴覚器官である耳の痒みとして感じられると考え出されたもののようです。
これを先人達の機知(ウィット)と考えるのは、耳鼻科医の一人合点でしょうか?

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