ちょっとブラックな短編集3

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未来の歴史書2012.4.3NEW

天国と地獄2011.1.21

ゲームオーバー2009.11.24

お地蔵さまと魔法の薬2008.2.8

かえるくんの葉っぱ2007.12.4

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未来の歴史書

「しかし、この歴史書を読んでみると、昔の人っていうのはよほど馬鹿だったんだね」
「そうなの?」
「そうだよ。だってさ、交換の手段に金なんて道具を作り出してさ、それに価値が減らないなんて性質を持たせたもんだから、みんなが競争して貯めたらしいんだよ」
「そりゃ、奪い合いが起きるし、貧富の差がつくわなあ」
「だろ?そもそも交換だってする必要がないのにだよ」

「それに、その金のシステムを考えたのはごく一部の人で、その人たちに都合のいいようになってるから、一般の人は奴隷のようなもんだったらしいよ」
「まあ、ばくちは親は負けないからな」
「あはは、だよな。でも、奴隷たちはそれに気づかずに、一生懸命働いて金の奪い合いを続けたっていうよ」
「涙ぐましいねえ。普通なら、騙されてることに気づいてやめると思うけどね」

「それに、極めつけがこれだよ。2011年に日本で起きた原発事故」
「ああ、地震と津波で原発が爆発したやつか」
「うん。あれだけ放射能が漏れだしたのにあの後、日本はすぐには原発をやめてないんだよね」
「他の国は結構やめたんだよな」
「うん。そりゃ、命には代えられないからね。普通に考えりゃやめるだろ」
「それなのに日本は何でやめなかったんだ?」
「まずその、金のためだったみたいだね」
「あはは、なんなんだよ、その金って。命より大切なものなのか?」
「ほんと笑っちゃうけど、その時代にはそう考えてる人が多かったみたいだよ」
「あはははは。腹痛くなってきた。そりゃ、確かに馬鹿だな」

「政府は、原発をやめると電気が足りなくなるって国民を脅したんだってさ」
「原発が必要なほど電気なんか使わなきゃいいのに」
「だよな。でも、金のためにいろんなもんを作らなきゃいけなくて、電気がたくさん必要だったみたいだよ」
「それも金のためなのか。すげえな、その金って代物は」
「ああ、信じられないね。ほんとによかったよ、そんな変なものに支配されてる時代に生まれてこなくて」

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天国と地獄

私は死んだようだ。振り返れば家族や仕事に恵まれ、いい人生だったと思う。そこそこ長生きもできたし、思い残すことはない。これからは天国でのんびり暮らすことになるのだろう。

ドライアイスのような煙の中に、長い行列ができている。みんな死んだばかりの人のようだ。先頭では天使らしき人が、一人ひとりにこれからの行き先を指示している。私も列の最後に並ぶとしよう。

だんだん私の番が近づいてきた。天使の声が聞こえる。
「天国、地獄、地獄、天国、地獄、地獄、地獄……」
結構、地獄行きの人が多いようだな。みんなそんなに悪いことをしてきたんだろうか。
人相はそう悪くなさそうだが。

さあ、私の番だ。私は当然天国だろう。
「地獄」
「えっ?」
「地獄です」
「そんなはずはない。何かの間違いでしょう」
「いえ、間違いありません。あなたは地獄行きです」
「そんな。だって私は悪いことなど何もしていない」
「そうですか?」
「そうさ。まじめに仕事をして、会社も長年勤めあげた」
「あなたがしてきた仕事が、地球の環境をずいぶん破壊しましたよ」
「それは仕方ないだろう、仕事なんだから」
「仕事なら環境を破壊してもいいんですか?」
「それは……。でもお金を稼ぐためにはそうするしかなかったんだ」
「それがいけないんですけどね」
「でも、ちゃんと家族を養った。子供だって立派に育てた」
「自分の家族や子供だけでしょう。そんなのは当たり前です」
「……」
「あなたは地獄行きです。はい、次の方」

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ゲームオーバー

「はい。ゲームオーバーです。すべての人は全財産を出してください」
突然、全世界の上空から大きな声が響いた。

「え!終わりなんですか?全部出すんですか?」
「そうですよ。だから、これはマネーゲームだって言ったでしょ」
「せっかくこんなに貯めたのに?」
「はい、ではあなたは勝ちね。拍手〜パチパチパチ」

「では次のゲームをはじめます。お金は全員に同じ額を配り直します」

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お地蔵さまと魔法の薬(原案:ゆうちゃん)

あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。裏の山には畑があって、おじいさんは毎日一生懸命、畑の手入れをし、野菜を作っていました。
「おうおう、今日もたくさん虫たちが来よったわ。そうかそうか、そんなにおいしいか。でもわしらにもちょっと食べさせておくれ」
おじいさんは丁寧に虫を取ると、少し虫の食った野菜を袋に入れました。

家ではおばあさんが、とれた野菜をゆでたり、焼いたり、スープにしたりしていろいろな料理を作ってくれました。おじいさんはおばあさんの手料理が大好きで、ふたりともとても健康に、幸せに暮らしていました。

隣のうちには若い男が一人で住んでいました。男も裏山に畑を持っていましたが、ほとんど手入れをしないため、あまりいい野菜はできませんでした。
「ちっ、この虫けらめ、俺の野菜を食うんじゃない!」
男はぶつぶつ怒りながら、虫をぶちぶちつぶしました。ふと隣の畑を見ると、おじいさんが楽しそうに立派な野菜を収穫しています。男はとてもうらやましく思いました。
「くそう。あのじじい。あんなうまそうな野菜を作りやがって。きっと何か特別な方法があるに違いない」
男はおじいさんが帰る時に後をつけました。

おじいさんは山道の途中にあるお地蔵さまのところで立ち止まり、しゃがみました。
「お地蔵さま、おかげさまで今日も野菜がとれました。ありがとうごぜえます」
おじいさんは袋から野菜を一つ取り出して供えると、目をつぶって手を合わせました。お地蔵さまは安らかな顔で微笑んでいます。おじいさんはにっこりし、よっこらしょと立ち上がると袋を抱えて歩きはじめました。木の陰で見ていた男は思いました。
(ははあん。じじいめ、あの地蔵に何かいい方法を教わっていたんだな。自分だけいい思いしやがって。そうはさせるもんか。俺も聞きだしてやる)

男はお地蔵さまのところへ行き、言いました。
「やい、地蔵、俺にもうまい野菜の作り方を教えろ」
お地蔵さまは黙ったまま微笑んでいます。男はしばらく言葉を待っていましたが、何も聞こえてきません。
「おい、野菜の作り方を教えろって言ってんだよ」
男はお地蔵さまの頭をこづきました。でもお地蔵さまは表情を変えず、何も言いません。男は怒って言いました。
「くそう。この役立たずの石の塊め!じじいに何を教えたんだ。このやろう、このやろう!」
男はお地蔵さまの頭をこぶしでガンガン殴りました。さすがのお地蔵さまもこれには顔をゆがめました。
「痛い痛い。乱暴なやつだな。わしは何も教えておらんよ」
男は殴り続けながら言いました。
「うそつけ。うまい野菜の作り方を教えただろう。俺にも教えねえともっとひどい目にあわすぞ」
お地蔵さまは言いました。
「わかった、わかった。教えるよ」
男は殴るのをやめました。
「ほうらな。はじめから素直に教えれば痛い目にあわずに済んだものを」
お地蔵さまは言いました。
「明日の朝、目が覚めたら枕元に、かめに入った魔法の薬があるはずじゃ。それを畑にまくがよい」
男は言いました。
「ほんとだな。そうすれば、うまい野菜ができるんだな。嘘だったらしょうちしねえからな」
男はおじいさんの供えていった野菜を奪い、自分の家に持って帰りました。

その夜、男はなかなか寝つかれませんでした。うとうとしてもすぐに目が覚め、枕元を確かめます。でも、かめに入った魔法の薬はありません。男は、もしお地蔵さまの言ったことが嘘だったら、ただではおかないと思いました。

さすがに明け方近くには男も深い眠りにつき、次に目が覚めたときには日も大分高く上っていました。男は跳ね起きるといちはやく枕元を見ました。そこには本当に、かめがありました。男は喜んで小躍りしました。それから、かめのふたを開け、中を覗き込みました。変な匂いがして、目が痛くなりましたが、男はかめを持って早速裏山に出かけ、薬を畑にまきました。うまい野菜ができなければお地蔵さまの頭からこの薬をかけてやろうと思いました。

しばらくすると、男の畑に立派な野菜ができはじめました。男はうれしくておじいさんに自慢しました。
「おい、じいさんよ、俺の野菜を見ろ。こんなに大きくてうまそうで、虫も一つもつかねえ。じいさんとこのは虫食いだらけだな。はっはっは」
おじいさんは笑って言いました。
「おお、ほんとに立派な野菜じゃな。虫もつかないとは不思議じゃな」
「あはは。特別な秘密があるんだ。教えてやらないけどな」
男はたくさんの野菜を抱えて家に帰りました。

それからしばらく、男の畑では立派な野菜がとれましたが、そのうち、だんだんと収穫が減り、虫もつくようになってきました。薬はまいているのですが、あまり効かなくなってきたようです。男はお地蔵さまのところに行き、こぶしを振り上げて言いました。
「やい、地蔵。お前にもらった薬が効かなくなってきたぞ。もっと強い薬をよこせ。よこさないと殴るぞ、いいか」
お地蔵さまは困った顔をして言いました。
「わかったよ。あまりおすすめはできんが、明日の朝、枕元にもっと強い薬を届けておくよ」

男が翌朝目を覚ますと、確かにかめに入った薬がありました。ふたを開けると前よりもっときつい匂いがしました。
「うひゃ、たまらんな。でもこれは効きそうだ」
男は薬を畑にまきました。そうすると虫もいなくなり、また立派な野菜がとれるようになりました。

しかし、それも長くは続きませんでした。何度やってもだんだん野菜の収穫は減り、より強い虫がつくのでした。男はそのたびにお地蔵さまに、より強い薬をもらいましたが、もう、ちょっとかいだだけで気を失いそうになるほどの匂いでした。男はお地蔵さまのところに行って言いました。
「やい、地蔵。あんなもの畑にまけやしない。どうしてくれるんだ」
お地蔵さまは答えません。男はお地蔵さまの頭を思い切り何度も殴りましたが、お地蔵さまは安らかな笑顔のままでした。男は怒ってお地蔵さまを蹴り倒し、自分の家に帰りました。

夕方、そこを畑仕事を終えて帰ってきたおじいさんが通りかかりました。
「おうおう、お地蔵さま。どうしなすった」
おじいさんはお地蔵さまを抱き起こして元のように立たせ、手を合わせました。

翌日、男はおなかが空いてしかたありませんでした。畑に行きましたが、もう野菜はとれません。呆然と立ち尽くしていると、おじいさんが声をかけました。
「若い衆、どうしなすった」
男は答えました。
「俺の畑が、何もとれなくなっちまった。あの地蔵のせいだ」
「ほう。お地蔵さまが何かしなすったか」
「変な薬よこしやがって。俺はだまされた」
「お地蔵さまがだましたと」
「そうだ。くそう。俺の畑はもうだめだ。腹が減って死にそうだ」
「それはかわいそうに。うちに来て食べたらどうじゃ。虫食いの野菜くらいしかないが」
「いいのか」
「ああ、もちろんじゃ。自然の恵みはみんなで分けんとな」

おじいさんは男を自分の家へ連れて行き、おばあさんの手料理を食べさせました。男は一口食べると目を丸くし、そのまま無言でしばらく食べ続けました。そして大きく一息ついてから言いました。
「こ、こんなにうまいものは食ったことがない」
「そうか。それはよかった」
おじいさんはそう言っておばあさんを見ました。おばあさんもにこにこしていました。

男は言いました。
「なんでこんなうまい野菜ができるんだ。地蔵に何か聞いたのか」
おじいさんは言いました。
「いや、わしはお地蔵さまの声を聞いたことはない。いつも手を合わせてお礼を言うだけじゃ」
「礼?何も聞いてないのに礼を言うのか?」
「そうじゃ。この世に生かしてもらっていること、食べるものを与えてもらっていることにな」
「でも、地蔵がしてるわけじゃないだろう」
「そうかもしれん。でも、わしはそうすることで気持ちが落ち着くのじゃ」
男は黙っておじいさんとおばあさんの顔を見ました。二人ともとても幸せそうでした。そして、男もそこにいると何か暖かい気持ちになるのでした。

男は次の日から、おじいさんの畑仕事を手伝うようになりました。魔法の薬を使うより手間はかかりましたが、これでおいしい野菜が作れると思うと、大変でも楽しいと思えました。うっとうしかった虫たちも仲間のような気さえしてきました。

畑の帰りには一緒にお地蔵さまに手を合わせました。お地蔵さまの声が聞けることはありませんでしたが、その安らかな顔を見ると自分を許してくれているようで、心が休まるのでした。

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かえるくんの葉っぱ(原案:ゆうちゃん)

森がありました。たくさんの動物たちが住んでいました。ある秋のこと、かえるくんは思いました。
(あの高い木の上に生っている柿の実を食べてみたいもんだ)
ある日、かえるくんが柿の木の下を通ると、サルが木の上でおいしそうに柿の実をむしゃむしゃ食べていました。かえるくんはうらやましくてしかたありませんでした。
(うまそうだなあ。でもケチで有名なサルのこと、ただほしいと言ったってくれるわけがない。なんとかしてあの柿の実を手に入れる方法はないものか)

しばらく考えていたかえるくんは、いいことを思いついたというように、舌をぺろっと出して口のまわりをひとなめしました。それから近くに落ちていた葉っぱを1枚拾い、木の上のサルに向かって叫びました。
「おおい、サルくん。おいしそうな柿だねえ」
サルはかえるくんを見下ろして言いました。
「ああ、すごくうまいよ。でもおまえにはやらないよ〜」

やっぱりなと思いながら、かえるくんは言いました。
「あはは。タダでとは言わないよ。今日はいいものを持っているんだ。その柿の実と交換しないか」
サルは言いました。
「いいものって何だよ」
かえるくんは言いました。
「柿の実を持って下りてきてくれたら見せてあげるよ」
サルは枝から柿の実を一つもぐと、するするっと木から下りました。

「さあ、いいものを見せろ。ほんとによくなきゃ取り替えてやんないからな」
かえるくんは、さっき拾った葉っぱを差し出しました。サルは言いました。
「なあんだ。葉っぱじゃないか。こんなものじゃあ、柿の実とは取り替えられないな」
「ははは。サルくん、これはね、ただの葉っぱじゃないんだよ。ほら、ここに星のマークがついているだろう。こういうのはなかなかないのさ」
サルは葉っぱをもう一度よく見て言いました。
「ほんとだ。星のマークがついてる。こんなの見たことないや」
「だろう?じゃあ、柿の実と交換してくれるね」
サルは柿の実をかえるくんに渡すと、葉っぱを受け取り、喜んでどこかに行ってしまいました。かえるくんは思いました。
(ははは、単純なサルめ、うまくひっかかりやがった。俺って頭いいなあ)
かえるくんは柿の実をおいしそうにぺろっと食べました。

かえるくんは思いました。
(そうだ。この手でみんなから、いろんなものをもらっちゃおう)
かえるくんは、たくさん葉っぱを集めました。そして、自分の手をなめると、集めた葉っぱにひとつひとつ、手形をつけていきました。そうです、星のマークはかえるくんの手形だったのです。

かえるくんはそれから、その葉っぱで、いろんな動物たちといろんなものを交換しました。葉っぱと交換するだけでなんでも手に入るのです。なんと楽ちんなのでしょう。かえるくんはどんどん星のマークのついた葉っぱを作りました。

その葉っぱは、動物たちの間で大人気でした。動物たちは、たくさんの葉っぱをほしいと思い、競争で集めました。それから動物たちはかえるくんのように、手に入れた葉っぱと何かを交換することをはじめました。

どうやったらたくさんの葉っぱが手に入るだろう。動物たちは一生懸命、いろんな方法を考えました。そして、葉っぱ集めが上手な動物はたくさんの葉っぱを手に入れました。でも、へたな動物は、なかなか集まりませんでした。

仲のよかった動物たちの関係がおかしくなってきました。たくさん葉っぱを持っている動物がえらくて、持っていない動物はばかにされるようになりました。たくさん葉っぱを持っている動物が、持っていない動物にいろんなことを命令するようになりました。

他の動物の持っている葉っぱを盗む動物も現れました。そうなると安心して森も歩けなくなりました。みんな自分の葉っぱを盗られてはなるまいと必死で守ろうとしました。『動物を見たら泥棒と思え』なんていう言葉もできる始末でした。

森のはずれの方に、まっ白いうさぎがいました。うさぎは草をもぐもぐ食べていました。サルが葉っぱを見せびらかしながら、うさぎに言いました。
「おい、うさぎ。俺はこんなに持ってるんだぜ。すごいだろ」
うさぎは横目でサルをチラッと見ると、また草を食べ始めました。
「おい、すごいだろって言ってんだよ。何かと交換してやろうか」
うさぎは興味なさそうな様子で、相変わらず草をもぐもぐ食べています。
「このやろう、腹立つな。この葉っぱ1枚やるから俺の肩をもめ」
うさぎはうっとうしそうに言いました。
「なんであたしがあんたの肩もまなきゃいけないのよ。そんな葉っぱのために」
サルは顔を真っ赤にして言いました。
「この葉っぱはな、ただの葉っぱじゃないんだぞ。星のマークがついてる特別な葉っぱなんだ。この葉っぱがあればなんでもできるし、すごいんだぞ」
うさぎはあきれたように言いました。
「あほらし。星がついてるからなんだっちゅうの?葉っぱなんかみんな同じよ。土に返さなきゃ肥料にもならないわ。あたしは食事中なの。つまんない話で邪魔しないで」
うさぎはまた、もぐもぐと草を食べ始めました。
サルは言葉を失って、わなわな震えましたが、やがてがっくり肩を落として他の動物たちのところに帰って行きました。

しょんぼりしたサルを見て、動物たちが言いました。
「どうしたサルくん、いつもの元気がないじゃないか。ははあ、葉っぱを落っことしたか?盗られたか?」
動物たちは、ハハハと笑いました。サルは動物たちに向かって言いました。
「いや、うさぎのところに行ったらさ、あいつ、ちっとも葉っぱをほしがらないんだ」
動物たちは言いました。
「ああ、あいつは変わり者だからな。あんなやつのことはほっとけばいいさ。葉っぱの価値がわからないんだろう」
サルは眉間にしわをよせて言いました。
「でもなあ、うさぎに言われて思ったんだが、この葉っぱって、ほんとに価値があるんだろうか」
動物たちは笑って言いました。
「今さら何言ってんだよ、サルくん。葉っぱはいろんなものと交換できるし、葉っぱをやればみんな言うことを聞くじゃないか」
サルは言いました。
「それはそうなんだが。もし、みんながうさぎみたいに葉っぱをほしがらなくなったら、こんな葉っぱ、なんの価値もないんじゃないか」
「ええ、そうかなあ」
動物たちは考えこみました。
「そういえば、前は葉っぱなんかと誰も何も交換しなかったよな」
「そうね。葉っぱがなければ困るようになったのは、つい最近のことだわ」
「この頃は葉っぱのせいで、みんなずいぶん仲が悪くなった気がする」
「考えてみれば、星のマークがついているというだけで、ただの葉っぱだよね」
みんなしばらく黙り込んでしまいました。

突然、サルが大きな声で言いました。
「俺、もう葉っぱ集めはやめる!もう俺のところに葉っぱを持ってきても何とも交換してやらない。でも、俺の持っているものでほしいものがあるなら、葉っぱなんかなくてもやるよ」
「ええっ!」
みんなはとても驚きました。あのケチで有名なサルが、これからは交換するものがなくてもほしいものはくれると言うのです。なんという変わりようでしょう。みんないったいサルが何を考えているのかわからずに呆然としました。

でも、しばらくすると、ひとり、またひとりと、気づいたようにサルと同じことを言い出しました。やがてそこにいた全員がもう葉っぱ集めはやめることにしました。そしてみんなにっこり笑いました。久しぶりに見たみんなの笑顔でした。

そこに、かえるくんがたくさんの葉っぱを持ってやってきました。
「やあやあ、みなさん、おそろいで。ほら、星のマークのついた葉っぱをたくさん持ってきたよ。ほしい人は何か持ってくれば交換してあげるよ」
でも誰も振り向きもしません。かえるくんは言いました。
「あれ、みんなどうしたのかな。ほら、みんなの大好きな葉っぱだよ」
やはり、みんな全く興味を示してくれません。日はだいぶ西に傾き、あたりはだんだん暗くなってきました。動物たちはぽつりぽつりとうちに帰り始めました。かえるくんは慌てました。
「ねえ、みんな。どうしちゃったの?食べ物持ってきてよ。葉っぱと交換してあげるからさあ」
動物たちはどんどん帰っていってしまいます。かえるくんは半泣きになりながら葉っぱを持って、帰ろうとする動物を追いかけました。でも誰一人、相手にはしてくれませんでした。とうとう、かえるくんは一人残されてしまいました。

森には、もう冬がやってくるところでした。葉っぱと交換ばかりしていたかえるくんは、食べ物の捕り方も忘れてしまっていました。力の抜けたかえるくんの手から、たくさんの葉っぱがパラパラと落ちました。葉っぱは冷たい北風に乗って飛ばされていきました。

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