スペシャル対談 長島龍人×高木善之
スペシャル対談
『お金のいらない国』著者 長島龍人
× 『地球村』代表 高木善之
昨年4月「愛・地球博」市民対話劇場で行われた
「ストップ・ザ・温暖化キャンペーン」のイベントにゲスト出演し、
『お金のいらない国』の寸劇で会場をわかせた長島龍人さんは、
作家、アクター、ミュージシャンとして活躍するサラリーマン。
そして今年からは、高木さんが主宰する「人間塾」に参加されています。
塾頭と塾生の楽しい対談が始まりました。
■『お金のいらない国』は本質を突く作品■
高木:こんにちは。名古屋からようこそ。
今日はざっくばらんな感じで話しましょう。
まずは、私たちの出会いの話から。
龍人:はい。昨年、「愛・地球博」で行われた、『地球村』の
「ストップ・ザ・温暖化キャンペーン」プロジェクトに、
僕の書いた『お金のいらない国』の寸劇で、
ゲスト出演させていただいたのが最初の出会いです。
そのとき『地球村』の人たちに、寸劇があまりにも大ウケで
びっくりしました。
高木:現代人がタイムスリップした未来では、お金というものが
存在しない。それでいて人々は喜んで社会のために働き、
世の中はスムーズに回っている。
これは普通なら、寸劇を見ている人も、主人公の若者と
同じように戸惑いを覚えるストーリーなのかもしれないけど、
『地球村』の理念やビジョンをよく理解されている人にとっては、
「ああ、そうだよね。未来はこうなっているはずだなあ」と、
すんなり受け入れることができる話だから、みんなに大いに
ウケたのも当然なのでしょうね。
龍人:そうなんですよ。僕はその日、高木さんのお話を初めて聴かせて
いただきました。
地球環境の現状についてほとんど知らなかったものですから、
非常に驚きました。それから、講演を聴きに行ったり、
ワークショップに参加したりするようになって、
「世の中、このままじゃいけない。現状を突き詰めて
考えていけば、僕の『お金のいらない国』が理想社会に
なるじゃないか」と思うようになりました。
高木:それがすごいね。私の講演を聴いて、地球環境や世界の現状を
知ってびっくりしたというけれど、それを知らずにあの本を
書いたことが、私には驚きだったなあ。
あなたが、ホームページで発表している『クローン』
『臓器移植』『ふたりのおじいさん』とかもね、
「ブラックな短編」と書いてあるけれど、『地球村』的に
考えるとあれは、そのものズバリ、この社会の事実を
わかりやすく書いているショートショートだよね。
龍人さんも、世の中の仕組み、戦争の仕組み、お金の仕組み
などが分かった今、読み返してみると、自分の作品の深さに、
改めて気付いたのじゃないでしょうか。
龍人:そうですね。『地球村』に出会って、世の中の本質が少しずつ
見えてきたので、僕も自分の作品が改めておもしろく読める
ようになりました(笑)。
僕は最初、この社会がおかしいということに薄々気付いていて、
何でだろうとすごく疑問を持ったんです。
実際、お金にしたって、あんなものは、ただの紙切れだし、
お金が流通しなくなっても、みんなが仕事さえしていれば社会は
成り立つんじゃないかと思ったことが、『お金のいらない国』を
書いたきっかけなんです。
高木:そう、この世の中の大量消費、貧富の差、戦争、環境破壊の
ほとんどは、お金のために起きているのだからね。
龍人:『地球村』の会員さんの中には、
「そんなこと当然!あたりまえ!」と思ってくださる方たちが
たくさんいらっしゃることにびっくりしましたし、
このつながりが嬉しいなあと思っています。
高木:龍人さんが思いつきで書いたことが、実は本質を突いて
いたんだよ。
でも、まだまだ気付いていないことがたくさんあるのじゃないか
と思うよ。これからが楽しみだね。
■全く腹が立たなくなりました■
高木:龍人さんは、この1年、『地球村』に関わって、本を読んだり、
講演を聴いたり、ワークショップに参加されたりしましたが、
自分で変化したなと思うところはありますか。
龍人:「五事を大切に」とか、「非対立」とかが、僕の中では
キーワードになっています。
人と接するときは、いつも念頭に置いています。
「よく見る、よく聴く、受け止める、わかる、変わる」
これをやっていきたいです。
高木:うれしいですね。それが人間関係の基本だからね。
龍人:本当にこれができれば、すべてうまくいくと思うんです。
高木:心掛けた結果、何か変化はありましたか。
龍人:家族や友人、会社でも、人間関係がうまくいっています。
以前は腹を立てることもあったのですが、
今は立てなくなりました。
「腹は立たない。立てているだけ」というのは高木さんから
教わった言葉ですが、本当にその通りで、つまりは、自分次第
なのだということが分かって、変わったのだと思います。
高木:うれしい変化ですね。でも、龍人さんは、最初に会ったときから
ひょうひょうとしていて、500年後の未来人そのものという
感じだったから、腹を立てる人には見えなかったなあ。
「以前は腹を立てる人だった」なんて言われても、
それでも信じられないくらいだよ。
龍人:いえいえ。でも、そう言っていただくとうれしいです。
あとは、「非対立」とは「避対立」(対立を避ける)ではなく
「対立に非ず(あらず)」ということを教えていただいたのも
大きな気付きでした。
以前は、「対立」はやむをえないものと思っているところが
あったんです。
でも「対立する必要なんて、最初から全くないんだ」
という考え方は、僕にとって非常に納得できたのです。
高木:そうだね。我慢することや避けることじゃなく、「対立」なんて
元々ないんだよ。
龍人:例えば、こういう場合、腹を立てなくちゃいけないとか、
対立しなくちゃいけないとか、そういう世の中の風潮も
あるのだけれど、僕には腹を立てないことのほうがずっと
楽なんです。
高木:この世の中、おかしなことだらけだからおかしな
思い込みがありますね。
「君、面子を傷つけられたんだぞ。怒れよ」とか
「ここで我慢しちゃダメでしょ」とかね。
龍人:「ちょっと、あなた。言ってやんなさいよ!」とか。
高木:あはは…。そんなものって本当はないんだよね。
龍人:そうですね。
高木:じゃあ、夫婦げんかとかも減った?
龍人:もうケンカは誰とも全然ありません。
前はよく口げんかをしましたが、劇的に減ったんです。
何かあっても、受け止めるようにしています。
高木:そう!よかったね。ところで、かなり痩せたみたいだけど…。
龍人:高木さんの講演で、アフリカなど世界では、毎日3万人以上の
子どもたちが死んでいることを知って、食事の量が減りました。
食べ過ぎたり、あまり肉食をしたりしてはいけないと思って。
高木:それで体調は?
龍人:半年で7キロ痩せたんですが、すごく体調はいいです。
高木:そうかあ!それは本当によかった(笑)。
■お金のいらない国を広めましょう■
高木:最後は本の話題にしましょうか。
『お金のいらない国』を最初に出版したのは
いつ頃のことですか?
龍人:2003年です。2年間で1000冊売れました。
『地球村』に出会ってからの1年間で3800冊。
それから、『お金のいらない国2』を『地球村』で
出版していただき、おかげさまで、わずか半年に2000冊が売れ、
それもまた増刷中です。
高木:今月下旬には『お金のいらない国3』が出ることに
なりましたね。これはどんな内容なのか、PRしてください。
龍人:えーと…、副題が「病院の役割は?」になりまして、
警察や裁判、法律、犯罪などを描いた内容なのですが…。
高木:ちょっとタンマ! その説明はおもしろくないなあ。
私なら、「3では、今までの設定と逆で、未来人の紳士が
現代にやってくるんですよ!」と言うなあ(笑)。
そうしたら、聞き手は「へえ〜それで、どうなるの?」と
訊けるのになあ。
龍人:ああ、そうですね。はははは、すみません。じゃあ、
やり直します。「紳士がこちらの世界に来るんですよ!」
高木:あっはっは…。じゃあ、「で、どうなるの?」
龍人:青年の家にやって来た紳士が、現代の新聞を見て、
世の中のおかしさにいろいろと気付いていくという…。
高木:あ〜あ、龍人さんは、書くのはうまいけど、しゃべりは
下手だなあ。
「例えば、新聞。あれを紳士が見たらどう感じると思いますか。
犯罪、政治、社会面、本当におかしなことだらけでしょう?
それからどうなるかは、読んでもらってのお楽しみ♪」みたいな
感じにしゃべれないかなあ。
龍人:ははは…。しゃべるのは苦手なんですよ。
高木:そのキャラクターがいいんだよなあ。
「その3」も、とても楽しみだね。
これからも、「その4」「その5」と素敵なアイデアで
みんなにショックを与えてくださいね。
龍人:ありがとうございます。
高木:今、各地で『お金のいらない国』の劇団(りゅうじん一座)
ができつつありますね。その話で締め括りましょう。
龍人:僕の寸劇は、セリフは音源として別にあって、
それに合わせて動くスタイルなので誰でもできるんです。
紳士と青年と最低限2人いれば成り立ちますし、
上演してみたいという方はメールで僕に連絡くだされば、
セリフの入ったCDをお送りすることもできます。
高木:それはいいね。あの寸劇は本当に分かりやすいし、
各地で芝居心のある人が上演して、どんどん広めてほしいと
思います。
龍人:そういうことになったらうれしいです。
『お金のいらない国』ってどんな国なんだろうって、
想像する人が増えていけばいいなと思います。
高木:『地球村』の生き方もアピールしてくださいね。
龍人:はい。今後とも、よろしくお願いします。