Kuun連載「お金のいらない国へようこそ」

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第一回お金って何でしょう?(2006年6月号)
第二回仕事って何でしょう?(2006年7月号)
第三回ほしいものは何ですか?(2006年9月号)

第四回いらないものはどうしますか?(2006年10月号)
第五回ギブアンドテイクは正しい?(2006年11月号)
第六回結婚って何でしょう?(2006年12月号)

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お金って何でしょう?

その国には、お金というものがありません。でも、そこに住む人たちはみんな楽しそうに仕事をしています。え? そんなばかな!って?
お金って何でしょう。お金は人間の考え出した道具で、ただの紙切れや金属です。空気や水のように、なければ生きていけないものではありません。お金がもらえなかったら、みんな仕事をしなくなると思いますか?仕事って何でしょう。本当の仕事って、誰かに喜んでもらえることをすることではないでしょうか。
ちょっと、お金のいらない国をのぞいてみましょう。その世界に迷い込んだ男性と、そこに住む紳士の会話です。

男「僕の国では、自分がかせいだお金の範囲内で生活するようになっているんですよ。だから、お金はどうしても必要なんです」
紳「あなた方は、お金というものがないと、欲望をコントロールできないわけですか」
男「でも、お金を払わなくても何でも手に入るんなら、もう、仕事をしなくてもいいじゃないですか。毎日遊んで暮らせば……」
紳「みんなが遊んでばかりいたら、何も手に入らなくなってしまいますよ。物を作る人も、与える人もいなくなるわけですから」
男「でも、そういう人もいるんじゃないんですか?働かなくても生活できるなら、自分一人くらい遊んでいてもいいだろうと思う人が」
紳「ははは。あなたは、そのお金というものと働くということを堅く結びつけて考え過ぎている気がしますね」
男「ええ、お金のために働くんだと思ってましたけど」
紳「仕事は社会への奉仕ですから、世のため、人のため、ひいては自分のために、みんなで働かなければ世の中は回っていきません。あなたの言うお金がもらえなくてもです。そしてあなたが生活に必要なものは、お金など払わなくても社会から奉仕してもらえばいいんですよ」

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仕事って何でしょう?

あなたはどんなお仕事をされていますか?会社にお勤め?自営業?パート?専業主婦?え?専業主婦は仕事じゃないって?なぜ?お金がもらえないから?じゃあ、専業主婦の仕事、いわゆる家事はしなくていいんですか?それは困りますよね。お金をもらう仕事をしている人でも家に帰ったら家事はしますよね。じゃあ、家事はもしかしたら一番大事な仕事かもしれませんね。手を抜くかどうかは別として(笑)。
仮にお金のいらない国になって、報酬をもらえなくても今の仕事を続けますか?続けない?じゃあ、今はお金のためにやりたくない仕事をしているってことですか。まあ、この社会では仕方ないかもしれませんね。
そもそもお金というものは払う方ともらう方で差し引きゼロなんです。片方が増えれば片方が減る。みんなが増えるということはあり得ません。お金を貯める競争をしているような社会では、お金持ちができると、貧しくなる人が出ます。世界的に見ると、お金持ちの国はごく一部、貧しい国では、毎日4万人以上もの子供が飢餓で死んでいます。何かおかしいでしょう?そんなこと本当は誰も望んでいないでしょう?分かち合えばいいのに、奪い合っているからそういうことになるんです。もうつまんない競争はやめにしたいですね。

さあ、ここはお金のいらない国です。お金をかせぐために仕事をする必要はありません。あなたは何をしますか?え?働かない?寝てる?わかりました。じゃあ、おやすみなさい。
………もしもし、一週間経ちましたよ。まだ寝ますか?寝るのも飽きた?次は何します?遊びに行きたい?はい、わかりました。ではどこへでも行ってらっしゃい。全部タダですから何を持っていってもいいし、どんな乗り物に乗ってもいいですよ。
………お帰りなさい。楽しかったですか?そうですか。世界中回ってこられましたか。それはよかったですね。次はどうしましょう。あ、何か自分でやりたくなったみたいですね。あなたは何がしたいですか?何ができますか?それによって喜ぶ人がいますか?助かる人がいますか?一人でもいればいいですよ。すぐに効果が出ないことでもいいですよ。さあ、それを仕事にしてください。もちろんお金のためではありません。きっと楽しいと思いますよ。

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ほしいものは何ですか?

あなたは何がほしいですか?え?お金?まあ、お金を持っていればほしいものが買えますからね。じゃあ、お金がいくらでもあったら何が買いたいかを考えてみてください。3億円宝くじが何本も当たったと思ってもらってもいいですよ。え?貯金する?意外と堅実なんですね(笑)。でもそれじゃ、話が進まないじゃないですか。じゃあ、貯金した後でそれを何に使いますか?……ブランド物のバッグ?宝石?高級車?うん、そうね。すごく広くて超豪華な家具や設備のついた高級住宅?うんうん、そんな答えがほしかったんです。いい感じになってきましたね。はい。お金がたくさんあれば、あこがれてても手の出なかった、いわゆる値段の高いものが買えますよね。

 さあ、では今度は、ここはお金のいらない国です。あなたは何がほしいですか?え?やっぱり超豪華な大邸宅?ブランド物のバッグ?え?どこに行ったって、ほしいものが変わるわけないでしょうって?うん。じゃあ、あなたは今それを手に入れることができたと思ってみてください。お金のいらない国では何でもタダで手に入れられますからね。あなたは大邸宅の中ですごい家具に囲まれて、指には宝石がジャラジャラとまばゆいばかり。超高級なワインを飲んでいます。いい気分ですねえ。あこがれてた世界そのままです。あ、外から誰かのぞいてますよ。不思議そうな顔をしています。何か言ってますね。「何か面白いんですか?」ですって。失礼な奴ですね。うらやましがってるんでしょうか。え?「うらやましいって何ですか?」ですって。まったく、なんなんでしょうね。「くやしかったらやってみろ」って言ってやりましょうか。あ、その気になればやれちゃいますね。全部タダですから。じゃあ、そうしたくないからしないだけか。そっか。お金のいらない国では、何か持ってることで他人からうらやましがられることはないんですね。自分が持ちたいならいいけど、必要以上のものを持つ意味なんてないわけだ。でも、いいじゃないですか。あなたがほしいものは持っていればいいんですよ。こんなでっかい家、掃除がたいへんだけど。そうだ、お手伝いさん、雇いましょうよ。どうせタダですから、何人も。お金のいらない国の人たちならきっと喜んで掃除でも何でもやってくれますよ。あなたは相当不思議な人だと思われるでしょうけど。

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いらないものはどうしますか?

いらなくなるものってたくさんありますよね。着なくなった服とか、古くなった電気製品とか。まだ使えなくなったわけじゃないけど、新しいのを買っちゃったしみたいな。そういうものはどうしますか?捨てる。そうですね。身近にもらってくれる人がいればいいですけど、誰も使わないものをとっておいても家が狭くなるだけですもんね。でも、捨てるとゴミになっちゃうんですよね。
お金社会はね、お金をかせぐためにどんどん物を作ってどんどん売って、どんどん捨ててもらわないと成り立たないんです。それじゃあ、ゴミが出るのは当たり前。資源なんかいくらあったって足りません。ここ50年くらいやってきたことが特にひどかった。おかげで、地球が壊れてきちゃったんですね。まあ、だめになったら捨てちゃえばいいか。いや、地球だけは捨てるわけにはいきませんよね。
会社とかでも紙なんかやたらと捨ててますね。仕事だからしょうがないんですよね〜。
でもね。そうやってバンバン捨ててきたから資源がどんどんなくなっちゃったんですね。森林なんてバサバサ切っちゃったからもうやばいですよ。近年、気候がおかしいのは、いろんなものを作ったり、車を走らせるために石油をたくさん燃やして二酸化炭素を大量に出したのと、それを吸ってくれる木を片っ端から切っちゃったからなんですね。いわゆる地球温暖化ってやつです。南極の氷がどんどん解けて海面が上がってきています。そのうち日本も平野部は海になっちゃうかもしれません。そうすると住むところも食べるものもなくなりますよ。キャ〜!ダイエットなんてしてる場合じゃないよ〜。

お金のいらない国だったらどうでしょう。お金をかせぐために物を売らなくていいから、そんなに作らなくていいですよね。そうするとそんなに捨てることにもならない。作らなくていいなら仕事が減るから楽ですね。そしたら体も楽でしょうし、ストレスも感じないでしょう。きっと病気も減るね。あらあら、いいことずくめじゃないですか。え?無理だって?なんで?みんなが無理だと思わなければきっとできますよ。でもまあ、すぐには無理ですよね。じゃあ、これから、お金のある社会で自分はどうするか、何ができるか。それを考えてみましょう。余計なものは買わない。なるべくゴミを出さない。車もなるべく乗らない。ね、それなら環境にもいいし、家計も助かりますね。

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ギブアンドテイクは正しい?

何かをいただいたらお返しをする。これって当たり前ですよね。いわゆるギブアンドテイク。げ、英語の辞書を引いてみたら、本来、日本で使われているような意味はないらしい。ま、いいや。日本で使われている意味で考えてくださいね。
誰かにご祝儀やお祝いの品などをいただいたら、何かお返しをする。これは少なくとも日本では習慣になっていますね。そういうことがちゃんとできない人は、常識のない人と思われてしまいます。でもね。よく考えるとそれって変だと思いませんか?だって返してもらうくらいならあげなくてもいいでしょう。え?それが人付き合いというもの?そうやって気持ちを表すことが大切?そうですね。この社会ではそういう意味はありますね。でもですよ。おめでとうとか、ありがとうとか、お祝いや感謝の気持ちは言葉や態度で示せるわけで、本当は、お金やもののやりとりなんてしなくていいと思いませんか?お中元、お歳暮なんかも意味ないと思うんですけどね。

お金のいらない国では、ほしいものはだいたい何でも手に入れることができます。ですから、少なくとも相手が簡単に手に入れられるようなものは、あげる意味はありません。お金も存在しないし、言ってみればすべては借りものですから、自分のものという意識はないんですね。だからよほど珍しいものでもなければ、やりとりしないし、お返しの必要もありません。どうですか、そういうの。楽でしょ。この世に慣らされてると、そのすばらしさがわかんないかな?
そもそも物々交換っておかしいんです。あげるだけでいい。あげた人から返してもらう必要なんてないんです。だって、その人が持ってないからあげるんでしょう?返せる人にあげる必要なんてないですよね。あげるときは喜んであげるだけ。もらうときはありがたくいただくだけ。いつから物々交換を始めたのか知りませんが、最初があげるだけだったらきっとお金も生まれなかったでしょう。そしたら、こんなおかしな世の中にはならなかったでしょうね。
太陽の光はタダです。熱もタダです。でも太陽は何も返せとは言いません。すばらしいでしょう。人間全部が愛に満ちて、太陽のようになれたら、お金も変な習慣もいらなくなるでしょうね。

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結婚って何でしょう?

あなたはご結婚されていますか?結婚って何でしょう?好きな人と暮らすだけなら結婚しなくてもできますよね。子供だって本当は、結婚していなくても作ることも育てることもできます。でも、今の社会では多くの場合、役所に婚姻届を出して結婚という手続きをしますね。そして戸籍が書きかえられ、名字も変わったりします。なんでそんなめんどうなことが必要なんでしょう。そういう制度はなぜあるんだと思いますか?

お金のいらない国をちょっとのぞいてみましょう。そこに住む紳士の家に、こちらの世界の男性が遊びに行っているようです。
男「僕の国では名前は二つに分かれていて、名字と名前があるんですよ。結婚すると夫婦は戸籍上、同じ名字になって、子供が生まれても親と同じ名字になるんです」
紳「はあ。なんでそんな必要があるんでしょうね。……私たちの名前というのは、二つに分かれてはいません。一人に数文字の名前がついているだけで、親と子が共通する部分はありません」
男「そうか。名字がなければ夫婦別姓とかが問題になることもないな……僕の国とはずいぶん違うので驚きです」
紳「やはり、お金の存在が関係しているのではないでしょうか」
男「お金……ですか。確かにね。お金が存在しなければ、子供の養育費や教育費もいらないから、他人が保護者を特定する必要はないかもしれないし。結婚しても、誰かを養う必要もなければ離婚の時に慰謝料を払うこともないから、これも本人たちの気持ちの問題だし。遺産相続もないから、親族が誰かなどは当事者だけがわかっていればいいことでしょうしね。そうなると戸籍も必要ないか」

いかがですか。この社会で当たり前とされている制度は、結婚も含めて、実はお金が存在しているために必要になっているものがほとんどのような気がします。もし、世の中からお金がなくなったら……。ぜひ、みなさんも想像してみてください。お金のいらない国の実現はすぐには難しいでしょうが、自分の価値観が変われば、この今の社会を生きることもずっと楽になるかもしれませんよ。

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