梅干の漬け方

土用干


材料とポイント

*かたい梅より熟した梅を

梅干しはかたい青梅よりも、やや黄色く熟した梅で漬けたほうが、失敗がありません。青梅を購入した場合は2〜3日置いて、梅の香りがぷーんと匂ってくるくらいに追熟させてから作るとよいでしょう。梅は5sくらいを一度に漬けた方が味もよく、毎年漬ける手間も省けます。しかし、ご家庭では食べる量も限られますし場所も取りますから、梅の分量を2kgとして話を進めます。梅は粒がそろい、実に傷や斑点のないものを選びます。大粒又は中粒で、種が小さく果肉が厚い「南高」「白加賀」「養老」などの品種が向きます。カリカリ漬けの場合は、「甲州最小」「信濃小梅」などの小粒の品種で、完熟前のかたい青梅がよいでしょう。

*塩はニガリを含んだ自然塩を

塩はナトリウム塩ではなく、ニガリを含んだ自然塩を使ってください。塩の量は、梅の重量の20%を目安にするとよいでしょう。量を減らすと液が上がりにくくなり、焼酎を加えたりといった作業が必要になります。

*白梅干しと赤梅干し

赤ジソを入れない白梅干しを作り、その後好みの量の赤ジソを入れる方法と最初から赤ジソを入れる2通りの方法がある。

*赤紫でやわらかい赤ジソを

葉先が縮れ、両面が赤紫でやわらかい「ちりめんジソ」が最適です。片面が緑色のシソを使うと、あまり発色がよくありません。


容器と道具

*漬け容器

かめなどの陶器やホウロウ製、ガラス製で、広口のずんどうなふたつきのものを選びましょう。大きさは、漬ける梅の1.5〜2倍の容量が目安。梅酢を取り分けるための、小型のガラス製保存瓶も用意しておきましょう。

*落とし蓋

陶器の皿又は木製(金属製の釘を使ったものは、塩分と梅の酸でさびる危険性があるので避けます。

*敷き布

布はさらしや木綿、ガーゼなどの素材のものを。敷き布は、塩漬けにした梅にかぶせるように置きます。焼酎を含ませて絞っておくと、カビの予防になります。

*重し

専用の重しのほか、陶器又は自然石を使ってもよいでしょう。石や陶器の場合は、袋に包んでからのせます。水を丈夫なナイロン袋に入れ、しっかり縛っておけば、これも重しになります。梅2kg漬ける場合の重さは、同重量くらいを目安に。

*竹串

梅のヘタを取るのに使います。

*ボウル

梅やシソを洗ったり、水に浸したり、塩をまぶしたりする時に使います。やはり金属を避け、ホウロウ製かガラス製を用意します。大きめのボウルが一つあると、一度に塩をまぶすことができて便利です。大きいガラスボウルは重くて扱いにくいので、ホウロウ製のものを用意しましょう。

*竹ざる

洗った梅の水けを切ったり、土用干しをしたりするときの必需品。梅の表面を傷つけることなく、酸や塩分にも強い竹製のものが最適です。竹ざるの中にも、ときおり金属製の釘を打っているものがあります。そういったざるは避けて、竹のみを使っているものを選び、きれいに洗って日に当てて乾かし、日光消毒したものを使ってください。


手順

@一晩水につけた梅を洗ってざるにあげ、竹串を使ってヘタを取る(水をよく切れば、布巾で一粒づつ拭かなくてもよい。完全にふき取ってしまうよりも、塩が梅になじむ)。
梅を水につけるのはアク抜きのためで、長時間浸けると変色しますので注意。ヘタを取るのはカビ防止のためです。水気を切った梅を焼酎にくぐらすとカビ防止のためにはいいでしょう。

A漬け容器に梅と塩各1/3量を入れ、よく混ぜる。

Bさらに1/3量ずつ梅、塩、梅の順に入れて混ぜ、最後に残りの塩をのせるように置く。(置き塩)

C上に敷き布を広げて、梅全体を覆うように敷く。

D敷き布の上に、落とし蓋を置く。容器の面より、やや小さめくらいの大きさがよい。

E重し(梅の重量と同程度のもの、ここでは2kgくらいのもの)をのせ、ふたをして冷暗所に保管する。3〜4日で白梅酢が上がってくる、重しを半分にし上がってきた梅酢を他の容器に移す。少なくても20日から1ヶ月置いてから土用干しをする。ゴザか新聞紙に広げて干し、夜は梅酢に漬け戻す。

白梅干しの出来上がり

赤梅干しを作るには
赤ジソの葉200g(目安)、塩40g(シソの分量の20%)を用意する。
@赤ジソの葉はよく洗い、水気を切る。茎ごと洗い、竿にかけて水けを切ってもよい。
A赤ジソに塩の1/2量をまぶし、しんなりしたらよくもむ。
Bもんでアクを出し、両手でかたく絞ってアク汁を捨てる。残りの塩をまぶし繰り返す。
C先に漬けておいた梅から上がった白梅酢を赤ジソにひたひたにかけておくと、赤く発色する。シソをほぐしながら、梅と酢の上に平らにのせていく。ボウルに残った梅酢も加える。落とし蓋をして重しをのせ、ふたか覆いで密閉する。冷暗所に置き土用を待つ。

カビに注意

カビが発生しやすいですので、霧ふきに入れた焼酎で容器、重しを消毒します。塩の量が少ないと発生しやすいです。万が一発生したらその部分を焼酎で洗い直します。


土用干し

土用に入ったら(7月20頃)、晴天の続きそうな日を選んで梅を干し、天日に当てます。太陽光線に当てることで、皮や果肉が破れにくくやわらかくなります。

方法

漬けた梅は、たっぷりの水でざっと洗って表面の塩を落とします。平らなざるに一粒づつ並べ、シソもあれば汁けを絞って天日に干します。梅酢も容器ごと日に当てて干します。雨には絶対当てないこと。2日めの早朝又は夕方に、表裏を返して干します。昔から3日3晩の土用干しといいますが、雨や干し場所の心配もあり、夜は家の中にざるごと取り込んだほうが安心です。中粒で3日、大粒でも3日半か4日で干しあがります。乾燥して干乾びないように梅酢に戻し清潔な容器に入れて保存を。


参考 まろやか梅干しの漬け方