介護保険Q&A

厚生省介護保険制度施行準備室


Q.なぜ介護保険制度が必要なのか?

 急速な少子・高齢化に伴い、介護の問題は、もはや一部の人の問題ではなく、社会全体の問題となっています。日本では、これまで介護の多くを担ってきた女性に、仕事を持つ人が増え、また、介護疲れ、介護地獄、といった言葉も頻繁に聞かれるようになる中で、介護者の負担軽減のためのシステムを早急に整える必要があったのです。また、いわゆる社会的入院により増大する老人医療費の問題もあり、こうした状況を打開するために、介護保険制度が考え出されたのです。


Q.介護保険の財源は?

 財源のうち、50%は公費(税金)でまかなわれ、残りの50%が保険料となっています。公費の内訳は、国が25%(うち5%は市区町村間の格差是正のための調整交付金)、都道府県12.5%、市町村12.5%。保険料のほうは、65歳以上の人が納める保険料が平均で17%、40から64歳までの人の保険料が33%です。


Q.保険料の支払方法は?

 40歳から64歳までの人の保険料は、すでに加入している医療保険(健康保険など)の保険料に上乗せして徴収されます。つまり、毎月の給料から、自動的に差し引かれることになります。一方、65歳以上の人の場合、年額18万円以上の年金を受けている場合、自動的に天引きされることになります。


Q.保険料はいくら払うことになるのか?

 保険料の額は、所得や住んでいる地域によって異なります。基本的には、サービスが充実している自治体ではそれに伴って高額に、逆にサービスが十分でなければ低額になります。また、施設サービスのほうが、在宅サービスに比べて人件費や施設管理費にお金がかかるため、施設サービスの比重が高い地域では、保険料が高めになります。なお、厚生省が今年7月に出した全国市町村の保険料の試算では、65歳以上の保険料は、平均して月2,885円となっています。


Q.交通事故が原因で介護が必要になったら?


 交通事故が原因の場合でも、65歳以上であれば、介護保険からの給付が受けられます。ただ、65歳未満の人は、老化が原因でない場合は保険対象にはならないため、65歳になるまでは、障害者福祉施策からのサービスを受けることになります。


Q.サービスの利用料はいくらになる?


 介護保険の在宅サービスを利用すると、利用料の9割が保険から支給され、サービス事業者に対しては、サービス提供に要した費用や人件費が、各自治体から直接支払われます。その費用は要介護度により異なりますが、月平均で、要支援の64,000から要介護5の368,000くらいになると予想され、この1割が利用者負担となります。


Q.ケアマネジャーとはどういう人?

 ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を持つのは、実務研修受講資格試験に合格し、実務研修を受けた人です。試験の受講資格は、医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、助産婦、看護婦(士)、歯科衛生士、理学療法士、社会福祉士、栄養士など、保険・医療・福祉の各分野で原則として5年以上の実務経験を持つ人に与えられます。試験は各都道府県が実施し、全国統一の基準で行われます。

Q.要介護度のランク分けの基準は?

 厚生省では、次のような要介護度の分類モデルを作成しています(カッコ内は、1日あたりに必要とされる介護の手間を推計したものさしとしての時間、要介護認定等基準時間)。
T.要支援=要介護状態とは認められないが、社会的支援を要する状態(全体の介護時間が25分以上30分未満、または家事援助や 機能訓練の合計が10分以上)          
U.要介護1=生活の一部について部分的介護を要する状態(30分以上50分未満)
V.要介護2=軽度の介護を要する状態(50分以上70分未満)
W.要介護3=中程度の介護を要する状態(70分以上90分未満)
X.要介護4=重度の介護を要する状態(90分以上110分未満)
Y.要介護5=最重度の介護を要する状態(110分以上)


Q.一度受けた要介護認定は変わらないのか?

 要介護認定がなされても、その後、症状が変化することは十分に考えられます。そのため、原則として6ヶ月ごとに要介護認定を見直すことになっています。もちろん、状況が変わった場合には、いつでも変更の申請を行うことができます。また、要介護認定の結果は本人に通知されますが、その決定に不服の場合は、都道府県の介護保険審査会に審査請求をすることができます。

Q.支給限度額以上のサービスを受けたいときは?

 要介護度によって決まる支給限度額ですが、その額を超えるサービスを受けることも可能です。その場合、オーバーした分は、全顎自己負担になります。

Q.市区町村の独自サービスとは?

 現在でも、自治体によっては、配食サービスや移送サービスなどに補助を出しているところもあります。介護保険では、給付の対象外となるそれらのサービスを、自治体の判断で「市町村特別給付」として位置づけることも可能です。その場合は、65歳以上の人の保険料を財源として行われます。

Q.いま特養に入っている場合はどうなる?

 現在、特別養護老人ホームに入所されている方は、介護保険の施行から5年間は、そのまま施設サービスを受けることができます。ただし、5年後に要介護認定を受けて認定がされない場合には、その施設でのサービスを受けることはできなくなります。

Q.介護保険制度の今後は?

 日本の高齢化の進行は世界でも類を見ないほど急速なものです。来年4月の介護保険制度スタートに向け、現在、全国の自治体で、人員や施設などを含めた整備に力を入れているところです。全く新しい制度ですので試行錯誤も予想されますが、必要があれば見直しを行い、万全のシステム作りを目指します。


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