【 六の歌 】

「 かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きをみれば 夜ぞふけにける 」
   
    かささぎの・・・・・かささぎの
       
     渡せる橋に・・・・・わたせるはしに
         
      おく霜の・・・・・・おくしもの
             
       白きをみれば・・・・しろきをみれば
                
         夜ぞふけにける・・・・よるぞふけにける


作者:「中納言家持」(ちゅうなごんやかもち) 大伴家持(おおとものやかもち)のことで、万葉集の編集に タッチしたといわれる歌人です。 万葉集中に多くの名歌を残していますが、この歌は万葉集には ありません。 したがって、この歌が家持の歌かどうか疑問視する向きもある ようです。

< 歌の意味 > ( ある冬の夜、家持は宮中で宿直をしていました)
○ 少し眠くなった、冷たい風にあたってこよう・・・。
・・・冬の夜空に凍り付くようにきらめく 星星☆★☆★ なんと幻想的な。
まるで七夕の夜にかささぎが、恋人同士を あわせてやろうと、天の川につばさを連ねて掛け渡した 橋のようではないか・・・・ そういえば、あの橋は霜がおりて真っ白になっている宮中の御橋に そっくりだ。
歌に詠めないものか・・・・。 天も地も凍るなか、夜はしんとふけて、人っ子ひとりいない。 ふと宮中の階段に目をやると、真っ白に霜がおりている。 もうこんなに夜もふけたのか・・・・。

そういえば、昔はお正月の頃、夜外に出るとこのように身を切る ように寒かったのを思い出します。 最近は、このような寒さはあまり感じられません。 気象庁が、1月5日に発表した昨年一年間の気候統計によると、 日本全体の平均気温は、平年を約一度上回り、ここ100年間で 4番目の高い気温。とくに関東地区は史上最高だったとか。 この歌のような情緒が、だんだんなくなってきたようです。

・ かささぎの渡せる橋・・・・七月七日の夜、かささぎが天の川に 翼を広げて橋となり、それを織女星がわたって、一年ぶりに 牽牛星に逢うという、七夕の伝説による。 ここでは、その橋に宮中の階段を見立てている。
・ 夜ぞふけにける・・・「ける」ははじめて気づいたという感動を 表わす