【 四十の歌 】

「 忍ぶれど 色にいでにけり わが恋は ものや思ふと
人の問ふまで 」
忍ぶれど・・・・・しのぶれど
色にいでにけり・・・いろにいでにけり
わが恋は・・・・・・わがこひ(い)は
ものや思ふと・・・・ものやおもふ(う)と
人の問ふまで・・・・ひとのとふ(う)まで
作者: 平 兼盛(たいらのかねもり)
光孝天皇の子孫。皇族を離れ、平氏を名乗った。
十世紀後半の代表的歌人で三十六歌仙にも入っている。
この歌は、天徳四年の「内裏歌合せ」で、次の四十一の忠見の歌と大詰めの勝ち負けを競うエピソードで知られています。
この歌合せは、当時の一流歌人が左右に分かれて勝敗を争うもので、天皇や女御たちが臨席し、豪奢にして華麗なセレモニーだったようです。
−−−歌合せは次第に進み、白熱しています。
いよいよ大詰めの「恋」の部 −−−−−
○ では、歌を読み上げます。 こちら、平兼盛どの。
「 忍ぶれど 色にいでにけり わが恋は ものや思ふと
人の問ふまで 」
● こちら 壬生忠見どの。
「 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ
思ひそめしか」
<判者> どちらもいい歌だ。さあこまった・・・・。
引き分けにしようか・・・・。
大納言どの。いかがいたしましょう・・・。
<大納言> おまかせします。
<判者> さあ こまった・・・。
○ 「 忍ぶれど 色にいでにけり
わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで 」
● 「 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ
思ひそめしか」
−−−その間、互いにわが方の歌を読み上げ、デモっています。−−−
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< この勝負の行方は41で >
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<歌の意味>
あの人を恋しく思う気持ちを、人に知られないように、じっと胸に秘めて
忍んできましたが、とうとう隠しきれずに顔色に出てしまったようです。
「君はだれかを恋しているんじゃないか」と人に問われるほどに。
<
忍ぶ恋の歌として、百人一首中の秀歌とされています。>