【 三十六の歌 】

「 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ
」
夏の夜は・・・・なつのよは
まだ宵ながら・・まだよひ(い)ながら
明けぬるを・・・あけぬるを
雲のいづこに・・・くものいづ(ず)こに
月宿るらむ・・・・つきやどるらむ(ん)
作者: 清原深養父(きよはらのふかやぶ)
平安時代初期のすぐれた歌人。なのに三十六歌仙には洩れている。
「枕草子」を書いた清少納言の曾祖父として知られる。
清少納言の父、元輔は、深養父の孫にあたる。
< 歌の意味 >
−−−ある夏の夜、深養父はまわりの人々とお月見をしていました。
●
今夜の月は、とくべつきれいに見えますね。
○ 夏の月は、どこか風情があって好きだなあ・・・。
○ あ、もう東の空があんなに・・・・。
夏の夜はほんとうに短いなあ。
● 月が見えなくなってしまった。
雲のどのあたりにかくれて宿っていることやら・・・。
・「まだ宵ながら」・・・まだ宵のくちと思っているうちに。
・「明けぬるを」・・・夜が明けてしまったが
・「月宿るらむ」・・・月があたかも人間であるかのように夜が明ければ宿をとるものと、月を擬人化している。
「擬人法」・・・ある事柄を人間の行動や状態になぞらえてみる技法。ここでは月を人間になぞらえている。
(月は、夜歩き、昼間はどこかの雲に宿をとって寝る)