【 三十三の歌 】

「 ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく
花の散るらむ 」
ひさかたの・・・・・ひさかたの
光のどけき・・・・・ひかりのどけき
春の日に・・・・・・はるのひに
しづ心なく・・・・・しづ(ず)こころなく
花の散るらむ・・・・はなのちるらむ(ん)
作者: 紀友則(きのとものり)
貫之のいとこ。平安時代初期の代表的歌人で、古今集の撰者に選ばれたが、完成を見ずに没した。
三十六歌仙のひとり。
< 歌の意味 >
○ おお、花が散る。きれいだなあ・・・
まるで吹雪のようだ。
●
しかし、桜の花はどうしてあんなに散り急ぐのでしょう。
○
花よ。なぜそのように、しづこころなく・・・・・・。
・「しづこころ」が印象的です。静かに落ち着いた心がなく。
花への思いやりと哀愁の感が、この「しづこころ」に凝縮されています。
・「ひさかたの」・・・「光・天・空・日・月・雨・雲」などにかかる枕詞。
・「散るらむ」・・・散るのであろうか。
<枕詞>
ある語句に具体的なイメージを与えるために、その語句の直前に置かれる五音からなる語。
たとえば
「たらちねの」・・・「母、顔」
「ぬばたまの」・・・「黒・黒髪・闇・夜・夢」
「白妙の」・・・「衣・袖・紐・帯」
「あしびきの」・・・「山・峰」
「ちはやぶる」・・・「神・氏・人」
「あかねさす」・・・「日・朝日・昼・紫」