【 十八の歌 】
「 住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人めよくらむ
」
住の江の・・・・・・・すみのえの
岸による波・・・・・・きしによるなみ
よるさへや・・・・・・・よるさえや
夢の通ひ路・・・・・・・ゆめのかよいじ
人めよくらむ・・・・・・・ひとめよくらむ
作者: 藤原敏行朝臣。(ふじわらのとしゆきあそん) ?〜901年
九世紀後半、平安時代のすぐれた歌人。右兵衛督(うひょうえのかみ、皇居警備の長官)まで昇進。
和歌のほかに書道の大家としても有名で、その書は弘法大師(空海)に匹敵するとも言われています。
< 歌の意味 >
住の江の岸に打ち寄せる波のように、昼も夜も私はあなたに合いたい。それなのに、あなたは昼ばかりでなく、
夜見る夢の中でさえもどうして人目をさけて会ってくれないのですか・・・。
・ 住の江の岸 ・・・ 大阪市住吉区の住吉大社あたありの海岸で歌枕。
・ 寄る波 ・・・ 打ち寄せる波。
・ よるさへや ・・・ 夜までも。「よる」は夜と寄るが賭けられている。「さへ」は、そのうえ・・・までもの意。
(昼はもちろん夜までも)
・ 夢の通ひ路 ・・・ 夢の中で恋人のところへ通っていく路。
・ 人目よくらむ ・・・
人目をさけるのであろうか。
「よく」は避けるの意。