【 十七の歌 】  

   「 ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは  」
    


           ちはやぶる・・・・・・・ちはやぶる
             神代も聞かず・・・・・・かみよもきかず
               竜田川・・・・・・・・・たつたがは(わ)
                 からくれなゐに・・・・・・からくれないに
                    くくるとは・・・・・・・みずくくるとは

    


          作者: 在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)825〜880年。
          
     
前歌の行平の異母弟で、たいへんな美男子であったといわれる。
           この業平の、二条の后(清和天皇の皇后)藤原高子との一世一 代の恋は、美男歌人のロマンスとして、
      現代に伝承されている。
                   


     < 歌の意味 >
         
         −−−ある日、業平は二条の后にまねかれ、御所にやってまいりました。−−−

          ●  高子さまがお待ちかねです。どうぞこちらへ・・・。

      <高子> 業平さま、この屏風の絵を見て、歌をひとつ詠んでいただ けます?・・・
      <業平> これは、竜田川の絵ですね、紅葉が一面に散りしいて・・・

            「 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 からくれなゐに 水くくるとは  」

      <高子> すてきなお歌 ありがとうございました。


       <神代にもこんな美しさがあったとは、聞いたこともない。 竜田川に紅葉が舞い散って、唐くれない色に
    くくり染めにするなどということは。>

     ・ ちはやぶる・・・「神代」の「神」にかかる枕詞です。
     ・ 神代・・・神々が治めていた時代。それだけに不思議なことが 多かった時代・・・。
     ・ 竜田川・・・奈良県生駒郡斑鳩町竜田にある竜田山のほとりを流れる川。紅葉の名所。
     ・ からくれなゐ・・・鮮やかな紅色。
     ・ くくる・・・くくり染め(絞り染め)にすること。