梅まつりを前に春を詠む


偕楽園好文亭

烈公の 匂ひを偲ぶ 梅の花
梅の芽の 外套を剥ぐ 陽の光
偕楽の 園にカラオケ 梅一輪
観梅デー 巣より出たる 蟻の群
西湖より 城趾を望む 春霞
受験生 不安募らす 梅開花
南崖の 梅の斜めに 匂ひけり
梅匂ひ 好文亭の 床光り
竹柵の 青き香りに 梅開花

ゴルフ場にて春を詠む


春一番 右や左へ ティーショット
風緩み グリーンに咲く 土竜穴
アゲンスト 頬にやさしく フルスウィング
フェアウェーに 斑模様に 柴萌ゆる
土緩み ティ刺す指の 軽くなり

歯について詠んだ松尾芭蕉の句


   結びより はや歯にひびく 泉かな
旅の途中、喉の渇きをいやすため湧き水を見つけ、手に掬い飲んだのでしょう。おいしい水の冷たさを詠んだものと思われますが、歯科医の目からは歯周疾患が進み、老いはじめた芭蕉の姿が想像されます。
 哀いや 歯に食いあてし 海苔の砂
大分、歯周疾患が進んでいるようです。動揺のある歯が何本かあるのでしょう。注意深く食事を取っていたが、海苔の中に混ざった小石を噛んでしまった。歯に痛みを感じ、私も老いてしまったなーと嘆いている情景が浮かびます。

小林一茶の句


かくれ家や 歯のない口で 福は内
一茶は、歯が一本もなかったようですね。節分の豆まきで、食べられない豆をまきながら福は内と叫ぶ姿はなかなか滑稽に写ります。
すりこ木の ような歯茎も 花の春
江戸時代後期の庶民には、入れ歯はありません。木床義歯が作られていたようですが、一部の高貴な人達のものだったのでしょう。歯茎でものを食べるので歯茎が固くなり、すりこ木のようになって、それほど食べるのには不自由してなかったようです。こんな私にも春がやってきたと何か自分を茶化しています。
歯ぎしみの 拍子ともなり きりぎりす
まだ歯があったときの句です。歯ぎしりをしながらキリギリスを音色と聴き比べていたのでしょう。一茶らしい発想です。
歯が抜けて あなた頼むも あもあみだ
最後の歯が抜けたときは、さすがにショックだったようで、阿弥陀仏の慈悲にすがるしかないと思ったのでしょう。いくら神頼みしてもなくなった歯は元には戻りません。すべての歯を失って初めて歯の大切さを悟ったのでしょう。

桜を詠む


夜桜に 熱燗すぎし 千鳥足
桜咲く 入学式の 予備校に
花よりも 串に三個の 団子かな
風息に 散り際を計る 桜花
春雨に 道路に咲いた 花シール