女剣劇の不二洋子
 戦前・戦後を通じて一世を風靡した女剣劇の女王不二洋子(本名迫静子)は当市上平良の出身である。生れは香川県坂出町(現坂出市)で大正5年(1916)に平良村の興行師迫日出雄(本名出雄)の養女となり、女剣劇の道を歩み出して行くのである。
 昭和9年(1934)に不二洋子一座が旗揚げし、女剣劇の草わけの第一歩を踏み出した。以降、浅草大衆演劇(常盤座・松竹座)の一つである女剣劇の黄金期を迎えるのである。

 不二洋子は華麗な剣術と美貌で観客を魅了し、時代劇だけでなく現代劇や喜劇など幅広い演技を見せたようである。代表作に「国定忠治」「瞼の母」「伊勢音頭」などがある。
 上平良の大歳神社境内には不二洋子が寄進した石燈籠があり、少し山手には葬られた墓碑がある。
「夢まぼろし女剣劇」より 不二洋子寄進燈籠 はつかいち点描  

不二洋子公演記録
昭和○○年5月30日〜6月14日
 女剣劇の全盛期浅草の常盤座で不二洋子一座・浅香光代一座合同公演された時のパンフレットである。
 公演では「愛の灯火」「切られお富」「白浪人形」「幡随院長兵衛と平井権八」が演じられ、下記演目に不二洋子が主演している。
 6月15日からの第四弾不二洋子一座・浅香光代一座合同公演では「夫婦仁義」「恋の千両旅」「伊勢音頭」「雪女郎秘聞」が公演予告されている。
原 厳作 
浜田秀三郎演出

白浪人形
第一場 角兵衛獅子
第二場 島破り
第三場 なみだ雨
第四場 真如の月
第五場 花嫁人形


不二洋子一座の21名が出演している。
佐々木憲作演出

幡随院長兵衛と平井権八
第一場 吉原京町
第二場 鈴ケ森
第三場 吉原上総屋
第四場 新町土手
第五場 村山座の舞台
第六場
 幡随院長兵衛宅
第七場 水野十郎左衛門邸
第八場 同 湯 殿

不二洋子・浅香光代ニ座の延50名が出演している。
昭和○○年5月3日・4日  不二洋子が浅草公園劇場で公演していた頃に、群馬県伊勢崎市公民館で出張公演した時のパンフレットである。
 初日の公演では「おしどり街道」「三日月草紙女河内山」「極付国定忠治」、二日目は「春がすみ遠山桜」「瞼の母番場の忠太郎」「白井権八」を公演している。