<映画・ドラマ・漫画他>

加藤元浩
『Q.E.D.…証明終了…』

データ:
 講談社(月刊少マガコミックス)
 各巻390円
EGGさんの感想:
 現在12巻まで出ている模様。私は9巻まで読みましたが、なかなか面白かったので、簡単に紹介をしておきます。ちなみに高田崇史の講談社ノベルズシリーズとは無関係です。

 灯馬想という高校生が探偵役。MIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業後、故あって帰国し(趣味で)高校生をやっているという変人。彼を事件に引きずり込むのは、クラスメイトで唯一、彼の人となりを理解しているおせっかい少女、水原可奈。彼女の元気の良さが売りですかね。

 事件のレベルは、名探偵コナンシリーズと同じ程度(つまり金田一少年シリーズよりは上という印象(^^;)ですが、コナンより当たりはずれが大きい。実を言うと、こてこての本格ミステリーは外れっぽくて、それ以外の話のほうが結構気に入っています。

 まずMITがらみで、3巻「ブレイクスルー」(灯馬が大学を去った理由)、4巻「ヤコブの階段」(日本を襲ったコンピュータウィルス)、7巻「Serial John Doe」(変わったミッシングリンク)、9巻「ゲームの規則」(問われたのはゲームの必勝法ではない?)

ウィルスの話は、生物工学的な話題で、どきどきもの。「ゲームの規則」ではゲーム参加者の読みも論理全開で面白かったうえに、灯馬の導いた解決が非常に説得力があり、収束もきれいでした。

また7巻「憂鬱な午後」では、花屋の五万円盗難事件を扱っていますが、五万円の行方と、犯人を論理的に割り出す手腕がよくできていて、ミステリー雑誌に載ってもおかしくないほど。

というわけで、マンガ喫茶にでも入った折には、手に取ってみてください。


 ちょっと余談で、名探偵コナンの話など。昨年暮れ、駅前のビデオ屋さんが、一月ほど100円キャンペーンをやっていて、はじめの方から第8シリーズ辺りまで(抜けもあるので8割程度)見てしまいました。(1日2本くらいのペースでしたかね)

 さすがに機械トリックは無理が多いとしても、あれだけのトリックを量産するのは大した物だと思いました。探偵側のキャラクターも15人ほどいて、うまく組み合わせてローテーションしているので飽きが来ません。難を言えば、6年間ひとりも年をとっていないっていうこと。つまりサザエさん状態。コナンの成長がとまっているというのを優先した、構成上の苦肉の策なのでしょうが、ここまで長続きするとあまりにも不自然。まあいまさら小学3年生って言うのも変ですが。

演出がなかなか上手なのと、声優さんのイメージが強いので、原作のコミックには手を出していませんが、ほぼ忠実にアニメ化しているようです。(アニメのオリジナルは全体の1割に満たないらしいです)
 たまたま同じ作者・青山剛昌の『まじっく快斗』全3巻(怪盗キッドが主人公のサスペンスコメディ)を読んでみた限りでは、モンキーパンチのルパン3世(アニメではなく)に、とても感性が似ているように思いました。ええと、何を言いたいかというと、コナンの原作も、線の雰囲気がしゃれたマンガの線なのではないか。ところがアニメのほうは、デフォルメされてはいても、存在する世界に近い。だから余計、いろいろな矛盾が気になってしまうということなのでは? 今ごろ気がついたけど、こんな分析をするほど、このアニメにハマってしまっていたようです。(野沢尚脚本のGW映画版コナン、今からビデオ待ちです(^^;)

02.5.9

(漫画)『少年の孵化する音』(由貴香織里)
データ:
 発行年  1993.10初刷り
 発行所  白泉社(花とゆめCOMIX)
 ISBN 4-592-12642-4
 シリーズ 伯爵カインシリーズ 2
あっちゃんの感想:
 妻の所有しているコミックスですが第1巻を読んで久々に第2巻をようやく読みました。この作品、なかなかミステリー的なムードが含まれていて楽しかった。第一毒薬コレクターという主人公の設定がいい。このシリーズの中では「誰がこまどり殺したの?]は「僧正殺人事件」を読んだ後でもあり興味深かった。また「切り刻まれ食べられたミス・プディングの悲劇」はサイコサスペンス風で読み終わった後の余韻もなかなかのものだった。

02.6.17
あっちゃんの感想:
 由貴香織里の伯爵カインシリーズの「ゴッドチャイルド」の完結編である第8巻が刊行されさっそく読んだ。長いシリーズなので設定とか忘れていた部分もあるが全体的には非常におもしろかった。伯爵カインシリーズは他に長編1作(全2冊)と短編集3巻があるがどれもがおもしろかった。19世紀のイギリスという舞台設定の妙、血塗られた出生の過去を持つ主人公カインと宿敵となった父アレクシスの対決、秘密結社デライアの
陰謀と刺客、完成度が非常に高い作品になっていると思う。この作者ももう一つの代表作「天使禁猟区」やのんシリーズものも読んでみたい。

04.2.14

(映画)「模倣犯」
データ:
山本わおさんの感想:
 原作未見ですが映画を見てきました。以下はその感想ですが、まだの人は読まない方がいいかもしれません(^_^;)

 最初はこういう残虐な手口の劇場型犯罪を何で宮部さんが書いたのかわからなかった。「スナーク狩り」などで無軌道な犯罪に対する強い怒りを描いてきたのに、へたをすれば暴力の蔓延の空気を醸し出す一助にもなりかねないというのに。
 ただ、途中で見方が変わりました。これは善意も悪意も全て含めて現在の日本を丸ごと描こうとしたのだと。そのためには劇場型犯罪も過剰報道も犯罪被害者救済も商業ジャーナリズムもインターネット掲示板の野放しの誹謗中傷も必要だったのだと。それを映画化するには森田監督は適任だったと思います。
 ラストで犯罪などを引き起こす悪意は素養ではなく環境なのだと言い、これからの社会に希望を託す(あるいは課題を突き付ける)エピソードは作者の願いなのではないかと思いました。それを甘いヒューマニズムで、素養による犯罪もあるという意見もあるでしょうが、その考えはちゃんとピースの口を借りて代弁しています(多分こっちは否定するための提示というよりは無意識のバランス感覚が働いたのではないかと推察します)。
 ピースは全ての犯罪の象徴であることは途中に挿入されたニュース短信のテロップで明白ですが、バーチャルに散ったピースは象徴から解き放たれて社会の隅々にまで還元された悪意でしょう。現実に散った悪意に対して私達はどう対処していくのか。それは愛情なのだと映画は言っています。あれだけ悪意のかたまりだと思われたピースもなるべくしてなった環境があったのだとわざわざ理由付けています。そんなものは無しにただ冷酷非道な犯罪を糾弾するのも簡単だったでしょうが、そうはしていません。ピースは頭がいいから自分の弱みも気付いていたのでしょう。それがあの時計であり、豆腐屋の主人への執着ではなっかたでしょうか。
 模倣犯という題は単なるラストの対決だけを意図してつけられたのではないと思っています。全ての犯罪は過去の模倣犯であり、しかるに人間という生物が持っている獣性の業なのだと。
 犯罪被害者ルポを書いていた女性は痛みを経験しながらも描き続けることを決意しますが、これは作者の決意に他ならないのではないかと思いました。犯罪を決して娯楽小説の一要因として取り扱ってこなかったという自負はあるでしょうが、それゆえに人殺しを飯の種にして喰ってきたミステリ作家としての負い目もあるはずです。でも、そういうものも含めてやっぱり書いていくんだという宮部ミステリの総決算だったのだと思います。
 あれだけの分厚い原作を2時間に収めたため、非常に分かりづらく、各エピソードを深く描けなかったのはしょうがないと思います。実際劇中提示された謎で解かれないものやフォローもされていないエピソードもありました。ただ、これは映画の出来が悪いといっただけで切り捨てて欲しくないと思います。娯楽映画としてつまらなかったというだけでなく、そこに提示された真摯なメッセージをくみ取って欲しいです。改めてドラマの中の殺人や犯罪には鈍感になってはいけないと肝に銘じました。

02.7.1

(漫画)『探偵ボーズ・21休さん』(三浦とりの)
データ:
 書名       探偵ボーズ 21休さん 全7巻
 著者       漫画:三浦とりの、トリックプランナー:新徳丸
 発行年      1997.10〜1998.10
 発行所      秋田書店(コミックス)
あっちゃんの感想:
 Kikuchiさんからお借りして随分経ってしまいましたがようやく読み終えました。トリックも無理がなくわかりやすかったし倒叙ミステリー特有のスリルも味わえました。特に「死体もあるよコンビニは」や「誘拐犯はポケベルで笑う」はよくできていたと思いました。逆に「爆弾魔はメルヘンで倒せ」に出てきた暗号は作りすぎていて興ざめでした。某人気ミステリーコミックスと違って終わり際もよかったと思います。

02.5.28

(映画)パニックルーム
くれい爺さんの感想:
 少し前に、久しぶりに映画館で映画を観た。
 ジョディ・フォスター主演の「パニック・ルーム」である。
 評判も上々だったし、なかなか楽しめたサスペンス映画の佳作だと思う。
 一つの家の中で完全に隔離されたパニック・ルーム。
 その内と外とで、強盗と母娘とで繰り広げられる戦い。
 そこで小生が思ったのは、新しい時代には新しい時代の密室が有り得るのではないか、ということ。
 いつの時代も“吹雪の山荘”ということでもなかろう。
 密室トリックは出尽くしたのではという意見もあろうが、この映画はトリックではなくサスペンスなのだが、新しい密室には新しいトリックの可能性もあろう。
 もう一つの見所は、主演のジョディ・フォスターの美しさであろう。
 撮影中、妊娠していたということだが、いつもと違う色気が漂っていた。
 また、誰かがジョディの美しさを評して“硬質な美人”といっていたが、そのとおりだと思う。
 そしてこの“硬質な美人”というのは危険が良く似合うのだ。
 危機に瀕してなお美しさが増す。
 「羊たちの沈黙」のラストでの、バッファロー・ビルとの対決のときのジョディの美しさは極めつけというべきか。
 千草忠夫なら“責めるほど味が出る”とでもいうのだろうか。(笑)

02.8.13

(漫画)西遊妖猿伝(諸星大二郎)
データ:
「西遊妖猿伝」全16巻
 諸星大二郎 著
 潮出版社
くれい爺さんの感想:
 第1部の「大唐編」では、小生もあっちゃんと同じように月に2冊づつ読んでいこうかと考えていたのですが、第二部の「河西回廊編」に入ってからはもう“やめられない、とまらない”状態。
 “金庸なにするものぞ”という大活劇に“血湧き、肉踊る”面白さ。
 久しぶりに“濃い〜”漫画を読ませてもらいました。
 どうか第三部「西域編」を描いてくだされ>諸星大二郎

02.8.15
(漫画)諸怪志伝(諸星大二郎)
データ:
 「諸怪志伝」(一)(二)(三)
 諸星大二郎
くれい爺さんの感想:
主に五行先生と阿鬼の活躍する伝奇漫画。
古く「暗黒神話」が少年ジャンプに連載されていたころからの諸星大二郎のファンである。
今年は諸星作品の読破を目標。
映画でも「ヒルコ」の冒頭はまれにみる怖さだったのを思い出す。

03.2.11
(漫画)マッドメン(諸星大二郎)
データ:
 「マッドメン」(一)(二)
 諸星大二郎著

くれい爺さんの感想:
1975年から1981年にかけて描かれた作品。
土偶の文様や古事記から得られるものとニューギニアの土着民の体に描かれる刺青の文様との類似というかたちをとって、そこからフィクションの羽を無限に広げていくような快感。諸星大二郎の魅力はそんなところにあると感じさせる。
小生はいま、大森亮尚古代民族研究所長にカルチャーセンターで話を聞いたりしているのだが、こちらも面白い。
子供の遊びは大人のすることの真似から始まることが多く、例えば“花いちもんめ”という遊びは、男と女が歌を詠み合う“歌垣”の真似から発祥しているのではという。
歴史ミステリーなどと大袈裟に構えなくても、ちょっとした風俗や風習などの起源を推理してみたり、そこからフィクションの羽を伸ばしてみるのも面白い。

03.2.22

(漫画)稗田礼二郎のフィールド・ノートより(諸星大二郎)
データ:
 「稗田礼二郎のフィールド・ノートより」
 諸星大二郎著
くれい爺さんの感想:
「天孫降臨」の巻が1988年から1991年に、「黄泉からの声」が1991年から1993年に、「六福神」が1994年から1997年にかけて発表された作品集。
「天孫降臨」の巻がぶったまげて面白い。
相変わらず「古事記」「日本書紀」「風土記」などから想像力の働く限り、フィクションの羽を広げるのだが、それがまったくの嘘と感じさせないのだ。
大森亮尚古代民族研究所代表から話を聞く機会があることは述べたが、例えば“正月”。
“正月”は元来は“神迎え”の行事である。
“大晦日”に家を清め、元旦に一家、あるいは一族の神を迎える。
一家あるいは一族の長はその神から新しい魂を受け取る。
その新しい魂を長は家族や一族の者に分け与える。
それが“歳霊”であり、“お年玉”の起源である。
魂は丸いものと考えられ、“鏡餅”はその具現化であろう。
日本人は正月に古い魂が新しい魂に入れ替わると考えていたようで、それが“旧年”と“新年”がまったく違う思想となり、日本人の魂が入れ替われば“禊”が済んだとか、過去は水に流すと言った反省心のなさという民族的な性質にかかわっているのではと。
さらに“神迎え”という行事を“正月”と“お盆”の二度することについて、元来“神迎え”は収穫と密接に関係していることから、1年に二度の収穫が可能な二期作地帯の風習の名残で、日本文化が南方の二期作地帯の影響を受けたものではないかと推理する。
諸星大二郎の想像力の羽はこんなものではないが、それでもその広げた羽に包まれるのは至福の時である。

03.2.22
(漫画)栞と紙魚子シリーズ(諸星大二郎)
くれい爺さんの感想:
以前にSF小説の楽しみ方がわからないという小生に「SFはその想像力を楽しむ心が必要」と教えてくれた人がいた。
が、小生としてはどうも想像力に乏しく、映画やテレビなどの視覚で見せてくれるものは楽しめるのだが、小説などの言葉で把握しなければならない想像力というのは、どうもついていけない。
SF小説が楽しめないのは、小生のそこのところの限界かもしれない。
これはホラー小説などにもいえることで、サスペンス・ホラーなどは案外たのしめるのだが、オカルトとかゲテモノの類のホラーはどうしても楽しめない。
ダニングは「エクソシストを本当に怖いと思うには悪魔の存在を信じればいい」というようなことを言っていたが、逆に悪魔の存在を信じていない人には、エクソシストの本当の怖さを味わえないのかもしれない。
映画の「エクソシスト」も案外笑っちゃうもんね。
また、クーンツのような作家の作品もあまり楽しめない。
あの想像力を楽しむというより、“ありえない”という気持ちが先に立ってしまうのだ。
そういう意味では、この諸星大二郎の「栞と紙魚子」シリーズもゲテモノホラーの類なのだが、漫画という視覚的な効果で案外楽しめる。
漫画などでは案外著者の想像力の広がりを楽しめるんだよね。
諸星は遊び心たっぷりに、余裕で想像力を広げている感じだ。
怖さを表現するよりも、笑いを優先させているのがいいのかも。
「生首事件」「青い鳥」「殺戮詩集」「夜の魚」の四巻。
でも、あんな女子高生、いない、いない。

03.3.21
(漫画)諸星大二郎短編集
くれい爺さんの感想:

諸星大二郎は活劇、伝奇、SF、ホラー、ギャグといった要素を巧みに組み合わせて興味深い漫画を描いていると思う。
特にSF漫画の中には哲学的な意趣を感じさせるものが多くあり、カルト的面白さを堪能できる。

「碁娘伝」
  純粋活劇の面白さが味わえる。

「天崩れ落つる日」
  SFにギャグ、そこに哲学的意味を感じさせるのだが...

「夢見る機械」
  SF。そこに社会批判から文明批判まで感じさせる。

「ぼくとフリオと校庭で」
  伝奇、SFの不思議な世界。

「不安の立像」
  SFというより、ちょっと不思議な世界か。

「夢の木の下で」
  SFだが極めて哲学的な雰囲気を有する。

「私家版鳥類図鑑」
  鳥、といってもそこは諸星、普通の鳥とは違うが、それをテーマにSFから伝奇、ホラー、ギャグまで想像力を広げた作品集。

これにて、諸星を一応卒業する。

03.4.15

(ドラマ)「明智小五郎と怪人二十面相」
データ:
 放映局:
 放送日:
あっちゃんの感想:
 結構期待していたのですが見終わってちょっとがっかりしました。
 キャスティングのこと(明智小五郎と古畑任三郎のしゃべり方がそっくりで笑ってしまったこととか紅顔の美少年のはずの小林少年とか細かな設定の変更のことなどはまだ許せるせるのですが問題は怪人二十面相のキャラクターを無茶無茶に変更していることです。人を殺したり傷つけるのが大嫌いな二十面相、また冒頭の仏像の盗み以外は極めて無粋な方法でしたしビート武のキャスティングはともかく僕のイメージとはぜんぜん違う怪人二十面相にがっくりしました。ドラマ自体はおもしろかったのですがなぜ怪人二十面相の設定でこのドラマを作らなければならなかったのかそれが問題なのです。まるっきしのオリジナルだった方がよかったように思います。

02.8.28

yobataさんの感想:
 見たかったのですが、この番組、仕事の都合で見られませんでした。ビデオに録画してまで、という気にはならなかったのですが、あっちゃんの感想を読むと、乱歩が好きな人向けではなかったみたいですね。

 でも、映像化によって乱歩や横溝が再評価されるのは良いことです。何代目かの金田一耕助が決まったとか何とかいうスポーツ新聞の記事もあったし、これで作品の入手もしやすくなると良いんですけどね〜。

02.9.1

くれい爺さんの感想:
 夏休みスペシャルといったところの、お子様向けの内容でしたね。
 江戸川乱歩原作の中にこういう内容の作品があったのかどうか知りませんが、以前、阿刀田高が「怪人二十面相は人を殺さない。これは江戸川乱歩の子供が読む作品に対しての良識だった」というようなことを書いていた。
 ドラマの中では殺人はなかったけれど、かなりきわどいと思った。

 乱歩作品もおいおい読んでみたいと考えており、とりあえず「人間椅子」を予定にいれてます。

02.9.1

あっちゃんの感想:
 ご承知の通り江戸川乱歩の作品はこれまでもたくさんドラマ化しています。
最初に見たのがアニメの「わんぱく探偵団」でしたがそれ以降いろいろ見ました。概して昔の作品のほうが原作に忠実でしたね。金田一耕助は服装と髪型がユニークでしたから誰が演じても似て来ますが後期の明智小五郎はダンディという以外に具体的な描写は余りありませんので演じる役者によって全然異なって見えるというのも面白いところです。

 江戸川乱歩に比べ横溝正史は読めない作品が多いようです。刊行しても買う人があまりいないからかな、でもぜひどこかで全集を出してほしいですね。

 僕も来年から江戸がら乱歩の小説は読み返そうと思っています。「人間椅子」はいかにも乱歩らしい怪しい作品でしたね。

02.9.2

(漫画)自虐の詩(業田良家)
データ:
 出版社:竹書房(竹書房文庫)
くれい爺さんの感想:
 1985年から1990年まで「週刊宝石」に掲載されたもの。
 作品を言い表すとしたら“理不尽さの中の真実”とでも言おうか。
 イサオが卓袱台をひっくり返す行為の中にあるものは愛か。
 
 このような“理不尽さの中の真実”というような印象を持った作品に西原理恵子の傑作「まあじゃんほうろうき」や「ぼくんち」があった。
 「自虐の詩」はそれらと同時期かより先に発表されているだけに、この作品の価値がある。

 面白さとしては上巻は笑えるが、下巻のほうは笑えない。
 が、作品としての深みは増す。
 とくに“熊本さん”が登場してからは、驚くべき人間描写とその表現といえるのではないか。

02.9.1

(ドラマ)「相棒」第7話「殺しのカクテル」
データ:
 放送局:TV朝日系
 放送日:02/11/20
EGGさんの感想:
 11/20に放映された TV朝日系の『相棒』・第7話「殺しのカクテル」という刑事ドラマがとても面白かった。刑事コロンボの「別れのワイン」を思い出しました。水谷豊がバーテンダーの蟹江敬三を追い詰めて行くのですが、蟹江さんがまたいい演技をしてるの。重大な箇所で、ご都合主義に走ってしまいましたが、それに眼をつぶれるくらい演技も演出も一生懸命で、とても好感が持てました。推理ものではなく、O・ヘンリーばりの人情話だったのですが、どんなカクテルだったかという落ちには、ほろりとさせられました。

02.11.21

くれい爺さんのres:
「相棒」はこのところの刑事ものの中では出色の出来だと思います。
 パズル的な要素も多分に含んでいますしね。
 水谷豊の役作りが面白いですね。

02.11.28

(映画)「ジェヴォーダンの獣」
データ:
 
「ジェヴォーダンの獣」Le Pacte des Loups
 2001年(仏)
Kikuchiさんの感想:
 18世紀フランスで実際に起こった事件をモチーフにした映画だそうです。
 NHK教育のドキュメント地球時間で放送された「ジェヴォーダンのミステリー」という番組で、このミステリアスな事件を知りました。この事件は、18世紀フランス、ジェヴォーダン地方で”獣”(ベート)と呼ばれた化け物が暴れ回り、3年間に渡って100人を超える被害者が殺されたという事件です。逃げ延びた被害者の目撃証言によると、化け物は巨大な狼のようであった、だそうです。が、被害者が全て女子供であり、成年男子が一人も被害に遭わなかったこと、被害者の死体の首が切り落とされていたり、バラバラにされた死体が再度集められていたりすることなどから、この事件のウラには人の手が関わっていた、との推測もあります。
 んで、この事件についてネットで調べたのですが、検索に引っかかるのはこの映画の情報ばかりでした。仕方がないので、わりと評判もいいようだし、レンタルで見ました。
 で、一見しての感想。きっと監督はチャンバラ映画やカンフー映画が大好きなんだろうなあ、というのが丸分かりな映像の作り方。いや、こういう「けれん」は好きですけどね。そういう意味では映像に凝った作品といえるかもしれません。あとフロンサックとマリアンヌの色恋沙汰とか、マニとフロンサックの固い信頼関係とか、お約束な展開ではありますが、なかなか面白く見られました。とういか、それが本来描きたかったことで、「ジェヴォーダンの獣事件」はそれを描くための魅力的な「舞台背景」ということなんでしょうが。
 実際に起きた「ジェヴォーダンの獣事件」をより詳しく知る、という目的はあまり果たせなかったような気もしますが、ひとつの仮説としては面白かったかな。

02.12.4

(映画)ヒルコ 〜妖怪ハンター〜

くれい爺さんの感想:
このところ諸星大二郎の漫画を読んでいるので、ついでにその原作を映画化した作品を見直してみた。
原作は単行本「海竜祭の夜」に収められている「黒い探求者」。
監督の塚本晋也は1989年の「鉄男」が有名だが、1991年のこの「ヒルコ 〜妖怪ハンター〜」でも、その才能の一端を見せている。
学校での追っかけシーンは、まれに見る怖さ。
ちなみに小生の住んでいるところには“稗田神社”というのがあって、“稗田阿礼”が祭ってある。たしか学問の神としてだったと思う。
ま、関係ないけど。

(映画)情婦
くれい爺さんの感想:
アガサ・クリスティの有名な作品「検察側の証人」の映画化である。といっても原作は短編で、戯曲やこの映画になったものとは結末が違う。
その戯曲、芝居があまりにも有名で、クリスティ作品の中で5本、あるいは3本の指に数えられるほど。
僕はあいにく短編も戯曲、芝居も見てない。
で、この映画「情婦」も名作とされている。
なるほどビリー・ワイルダーのウィットに富んだ演出がよい。あらすじの予測はつくのだけれど、ラストにどんでん返しも用意されている。
マレーネ・デートリッヒ、タイロン・パワー、チャールズ・ロートンという出演者の顔ぶれも凄い。
看護婦役でエルザ・ランチェスターが出演していたな。
チャールズ・ロートンの奥さんであり、なんといってもかの「フランケンシュタインの花嫁」である。

03.2.25

(漫画)民俗学者 八雲樹
くれい爺さんの感想:
 “ヤングジャンプ”に連載の推理漫画。
このところ民俗学というものに興味があるので、単行本を手にしてみた。
元来、小生は漫画にしろ小説にしろ、推理ものは連載に向かないと考えている。
その理由は、作者が読者に示すヒントを連載を読み飛ばした為に与えられなかった場合が考えられ、読みつづけなければならないプレッシャーを読者が感じるのではないかということ。
あるいは、抜けることなく読んでいたとしても、例えば6回の連載で、最後の謎解きの場面で初回に出てきたヒントを覚えているだろうか。
事件の起こったときのコマ割りの中にヒントが隠されていたとして、連載を続けるうちには、そのコマのことなど忘れてしまうのではないか。
ゆえにこの手の漫画は単行本で読むに限る。
あるいは以前“ビッグコミックオリジナル”に描かれた「ポワ郎」のように事件編と推理編の2部構成くらいが適当だと思う。
単行本の帯に「“金田一少年の事件簿”を継承する」とあり、たしかに本格推理はしている。
謎のほうも案外単純なので、ある程度推理もできる。
“民俗学”と銘打っているが、調味料程度のもので、おどろおどろしさは出しているものの、味付けにまでは至っていない。

03.4.22

(映画)壬生義士伝 阿弥陀堂だより
くれい爺さんの感想:
映画を二本見た。
「壬生義士伝」と「阿弥陀堂だより」である。
その二本の映画を見て小生が感じたのは、小生には珍しく原作を読んでみたいということ。
元来、原作を読んだ後にはその映画化を見ることはあっても、映画を見てその原作を読むことは小生には珍しいのだ。
どちらにしても、最初に触れた作品のイメージが残りすぎるので、後から触れた作品には物足りなさを感じることが多い。
それでも、この二本の作品には、あえて原作を読もうとさせる力がある。

「壬生義士伝」
 浅田治郎の原作だが、浅田の作品というのは「蒼穹の昴」にしろ「天切り松 闇語り」にしろ、あるいは「鉄道員(ぽっぽや)」にしろ、作品の山と谷みたいなものがはっきりとしていて、彼の作品というのは映画化向きなんだろう。
 それは作品が映像的というのとはまったく違う。
 ドラマとしての盛り上がりや、そこにある作品の主張が単純明快で親しめるのだと思う。
 映画の中では東北弁のわかりにくいセリフがいくつか出てくるのは困ったが。

「阿弥陀堂だより」
 原作のほうはまったく知らなかったが、映画化されたその映像美と時がゆっくり流れるような筋に、これは癒しの映画だと感じた。
 あんな田舎に住むのは小生の憧れである。
 樋口可南子という女優はますますよくなるな。
 女優としての年輪を重ねているという感じだ。
 衰えぬ美しさや可愛さだけで売っている女優とはちと違う、誰とは言わぬが。

(ドラマ)トリック
あっちゃんの感想:
先々週から始まった「トリック」、昨日、第1話と第2話続けてみました。「トリック」は以前深夜枠でやってた頃1,2回見たことがありますが今回評判がよいので見てみました。

 軽さが気になったし一つ一つのトリックを見るとあらも目立ちます。でもなんていうのかな、ミステリー魂はくすぐられます。超常現象のトリックを論理的に解き明かすと言うのは僕の好きな本格ミステリーにも通じますし今後も見ていきましょう。

03.10.27

(漫画)エースをねらえ!(山本鈴美香)
くれい爺さんの感想:
二つ違いの妹が買っていた「マーガレット」や「少女フレンド」「りぼん」などを愛読していた小生は、同年代の男性よりは少女漫画をよく読んでいたほうだと思う。
この山本鈴美香の「エースをねらえ!」も連載のリアルタイムで読んでいた。
ドラマ化で30年ぶりくらいで読んでみたが、記憶に残っているところも多く、当時から相当に印象が強かった作品だったのだろう。
その中の一つに宗方仁のこんなセリフがある。
「特訓のつらさから魔球だなんだのとありえない技にあこがれないこと」
このセリフは“魔球の漫画”からの決別宣言という意味で、小生の心に強く残っていた。

少年漫画雑誌は小学校時代は「マガジン」、中学時代は「ジャンプ」、高校時代は「チャンピオン」、それから「ジャンプ」にもどって、今は「サンデー」と「マガジン」を読んでいる。
他には「ビッグコミック」や「ビッグコミック スピリッツ」を読んでいたころもあったが、昭和48年以来「ビッグコミック オリジナル」は欠かさず読んでいる。
そんな中で小生的に振り返ってみる。
漫画雑誌の草創から“スポ根もの”は一つの分野をなしていたが、その頃は“魔球もの”の全盛で昭和40年代の前半の「巨人の星」を頂点に数々の作品が出現した。
小生がぱっと思いつくだけでも「ちかいの魔球」「ミラクルエース」「黒い秘密兵器」等々あるが、野球漫画だけでなく、柔道、レスリングなどほかのスポーツにも現実にはありえないきめ技などを使う漫画があり、小生はそれらを含めて“魔球もの”と考えている。
少女漫画にもその傾向はあって、「アタックNo.1」「サインはV」などはそうだし、テニスでいえば志賀公江の「スマッシュをきめろ!」には「ローリングフラッシュ」という魔球があった。
「エースをねらえ!」が連載された昭和48年頃にはそういう“魔球もの”はだんだん少なくなってきていたが、それでも依然強い影響はあった。
野球に関していえば、野球好きの漫画家、水島新司が現れ傑作「ドカベン」を出すが、「ドカベン」にしろ、あるいは「男どあほう甲子園」にしろ、遊びの部分では“魔球もの”に近い表現があって、日常の野球を丁寧に描く作品はちばあきおの名作「キャプテン」「プレイボール」を待たなくてはならなかった。
そういう時代の中で「エースをねらえ!」は“魔球もの”のスポ根からの決別を登場人物のセリフの中で鮮やかに宣言したと感じたのだった。

読み返してみると「男にささえられていない女は弱い」なんてセリフが出てきていかにも昭和40年代だなあと思った。

さてドラマのほうはというと、これはもう上戸彩の可愛さを堪能するものということにつきる。
はっきっりいって、小生は上戸ファンで、彼女のものはチェック入れているので、見逃すわけにはいかない。

04.1.25

(漫画)「Dr.コトー診療所」
くれい爺さんの感想:
昨年の7月〜9月期にテレビドラマとして放送された原作コミック。
ヤングサンデーという小生にはなじみの薄いコミック誌に連載されているものなので、ドラマで知るまでまったく知らなかったのだが、ドラマがよかったのでずっと読みたいと思いながら今に至ってしまった。

山田貴敏という漫画家も絵をみればわかる程度の知識しかなかったが、優しい漫画を描く漫画家という印象を持っていた。
この「Dr.コトー診療所」もヒューマニズム溢れるいい作品である。

ドラマ化に際して、脚本家の吉田紀子は相当に読みこんでいると思った。
原作の登場人物を再編成し、性格や人物関係の位置設定をドラマチックに再現している。
時任三郎演ずる原剛利や千石規子演ずる内つる子、泉谷しげる演ずる漁労長はより複雑になっているし、筧利夫演じる和田という登場人物には新しい役割を与え、大塚寧々の茉莉子、石田ゆり子の原沢咲、小林薫の村役場の課長といった脇を加えて主演の吉岡秀隆や柴咲コウの内面を引き立たせていたように思う。
あらすじのほうも原作を極めてドラマチックに編集しており、さすがヒットメーカーの脚本家と感心させられた。
出演者それぞれのよい演技もあってか、ドラマのほうは名作の域に達しているんじゃないかと思うのだが、これは小生のヒューマニズム好みという性格の贔屓目かもしれぬ。

原作は、うん、秀作だろう。

映画化にあたっての役割にどんな役者を当てるかという話が他の話題の中であったが、小生は泉谷しげるを見るとどうしてもパトリシア・コーンウェルの「検屍官」シリーズに出てくる刑事(マリーノだったっけ)役をやらせたいと思うのであるが...

04.2.1

マリネさんのres:
私もずっとドラマ見ていました。毎回、涙してました。
原作を越えてるドラマって凄いですね。

04.2.2

くれい爺さんのres:
たしかに映像化されたものが原作を越えるというのは非常に稀ですよね。
映像化というのは、脚本、演技、演出の三つが揃わなければ優れたもの
とは思えないからかもしれません。

ドラマは本当に素晴らしかったと思います。
原作もいいのですが、原作を読んで感じたことが一つあります。
オペの終わった三上状態で、
「吉田紀子さん、私はあなたを見くびっていました。」

04.2.3

(映画)「理由」

くれい爺さんの感想:
 先日、NHKーBS2で「理由」という映画をしていた。
主演はショーン・コネリーでカッツェンバックの原作を映画化したミステリー。
ほぼ原作を忠実に映画化していたと思う(原作を読んだのがだいぶ前なのではっきりは言えないが)が、トリックがわかりやすいと感じるのは原作を読んでいるからかもしれない。
カッツェンバックの作品で凄かったのは「旅行者」というサイコ・スリラーで、これは犯罪者と被害者、とくに殺人犯に拉致されて一緒に旅するはめになった女子学生の心理が異様に生々しくて、ぞくぞくさせられた印象がある。

いつのまにか、就寝前にベッドで本を読むとき眼鏡をはずして読むようになっている。
そのほうがはっきり見えるんだよね。
ふと、歳を感じる時。

04.10.1

(映画)「半落ち」

くれい爺さんの感想:
 ほぼ原作に忠実に映画化されているが、これはひょっとして原作を超えてるかも。
原作も面白かったが、映画という手段を生かしきって、原作以上に直接に心に響かせる作品に仕上がっている。
日刊スポーツ映画賞(だったかな?マイナーなのではっきり覚えていない)で、石原裕次郎賞を得た作品であるが、たしかによく出来ている。
まず、脚本がよい。
これは原作がよいということに通ずるのだが、横山秀男の作品は多くテレビドラマなどで放送されており、もともと映像化しやすい作品が多い。
それに出演者たちの演技がよい。
横山作品は心理劇の一面を持っており、これは演技者にはやりやすいのかもしれない。
中でも、この作品では樹木希林、これは助演女優賞ものと感じた。
直木賞落選で物議を醸した、いわくつきの作品だが、映画も原作も一見、一読の価値有り。

04.1.4

(映画)「去年マリエンバートで」
kamanoeさんの感想:
映画「去年マリエンバートで」 監督:アラン・レネ
 (1961年 仏・伊合作)
****** 感想 ******
 なんだこれは?。実に奇妙な話。というか、どういう映画なのか、「夏の名残りの薔薇」を読んでなかったら、まったく分からなかったでしょう。
 移動するカメラが、廊下を、壁を、廊下の天井を次々と映していく。繰り返し同じフレーズが聞こえてくる。微妙に言葉を変えつつ。奇妙な感覚を誘う音楽が流れ、移動する白黒の画面は、しかし人間を捕らえることがない。
 冒頭から不安な心境になるのですが、人間が出てきてからも同じ。マネキンのように動かない人たち。表情さえ変えず、あちらで一人、次にはこちら、と、一部分だけ動きがある。いや〜、動かない人間は恐いですねぇ。

 「夏の〜」に書きましたが、北村薫著の「覆面作家の夢の家」の一編「覆面作家と謎の写真」に「マリエンバート」という言葉があり、印象に残っていました。ちょっと引用。

  「岸田今日子さんだったか、マリエンバートで庭園の写真を撮って来たといいます。贅沢がしたかったんですって」
  「ほう」
  「その贅沢というのが、一年経ったらアルバムに貼って、脇に書くことなんです。<<去年、マリエンバートで>>って」

 これが頭にあったので、「ちょっと楽しい。でも少し寂しいお話し」という印象だったんですね。しかし、主として「覆面作家の〜」自体の雰囲気の影響でしたね。

 内容は……、どう言ったものか。見知らぬ男性に、「去年逢った」「このような会話をした」と繰り返し言われる女性。そのような記憶はないのだが、繰り返し言われるうちに、男性の言うことが真実なのか、自分の記憶が真実なのか、幻惑されていく、という感じ?。

 そうそう、この映画の中でちょっとしたゲームが出てきます。一段目に一枚、二段目に三枚、三段目に五枚、四段目に七枚とカードを並べ、互いに取っていく。一度に何枚でも取っていいが、同時に取るカードは必ず同じ段のカードでなければならない。で、最後に一枚残した方の勝ち。(最後の一枚を取った方の負け)で、ゲームを仕掛けた男性が、先攻しようが後攻であろうが必ず勝つんですね。これって、勝つ法則があると思う(先攻、あるいは後攻が必ず勝つ)のだけど、分からん〜。
 あっ、違った、カードではなくマッチ棒か何かを並べてた。ま、たいした違いじゃないけど。

05.2.12

(映画)「アイデンティティー」
くれい爺さんの感想:
設定のユニークさで、こんなんもありかな。
嵐の山荘方式の本格ミステリーだが、途中で明かされる秘密にちょっと「ええっ」と思わされるのだが、ラストに至って明かされる謎で、理論的にきっちりとつながっていることがわかる。
飽きさせない展開とラストのどんでん返しで、楽しめる一編だった。

05.2.24

ドラマ「明智小五郎VS金田一耕助」

データ:
放映局  テレビ朝日
放映日時 2004.2.26 21:00〜23:00
あっちゃんの感想:
 多分くだらないだろうなと思ったものの結局見てしまった。まあ予想通りだったから別に腹も立たないが・・・だけどこういう作品を作る人はミステリが好きな人たちじゃないんだなと思う。そんな人たちが名前だけでもミステリードラマを制作しているというのはなんか悲しい。

05.2.27

(映画)「招かれざる客」

くれい爺さんの感想:
 題名は「招かれざる客」だが、ミステリーとはまったく関係ない。
突然に23歳の娘が結婚相手として連れてきた男性は黒人だった(娘は白人)という話。
この作品の感想を書こうとアップしたわけではない。
この作品を見たのが37,8年ぶりだったことと、そもそもこの作品を見たのが小学校の体育館(講堂)でだったことを覚えているからである。
で、同和教育の一環だったのか、当然のごとく感想文を書かされた。
が、どんな感想を書いたのかまったく覚えていない。
そのころはまだ外国映画に興味を持っていなかった(小生が外国映画に興味を持ち始めたのは中学2年の時)ので、出演者なども知らなかったが、スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘップバーン、シドニー・ポワチエなんていうと、演技派俳優の夢の共演みたいなものと知ったのは外国映画に興味を持ち始めてからだった。
小生は同和教育の甲斐もなく、いわゆる人種や生まれの差別はしないが、職業に関しては差別感を抱いているのであるが...

05.3.12

(映画)「閉ざされた森」
くれい爺さんの感想:
 ためにある映画とでもいおうか、つまり観客に証言の食い違いを楽しんでもらうというような映画。
スピード感はあるが、逆に分かりにくい印象も感じる。
ラストには驚かされるが、女性の尋問官がその推理に至る道筋がはっきり分からない。

05.3.12

(漫画)「男一匹ガキ大将」
くれい爺さんの感想:
 フリーターとニートの間を行ったり来たりしている小生にとっては、いまは本宮ひろ志の漫画など臭くて読めないが、かつて少年ジャンプの草創期に大きな柱だった漫画に彼の「男一匹ガキ大将」があった。
この漫画を思い出したのは、現在巷をにぎわしている“ホリエモン vs フジテレビ”や“堤家家憲”などで株のことなどが大きく取り上げられていることからである。
“敵対的買収”などといっても、つまりは“のっとり”ちうことでしょう。
漫画のほうは、どちらかというと相場師的な世界を描いていたような気がするが、印象に残っているのは、そういう相場の世界を“大人の喧嘩”というようなことで描いていたことである。
現在は、株売買の世界を“大人の喧嘩”などと描くより、“マネーゲーム”としてとらえることが普通であろう。
いまはホリエモンにしろフジテレビにしろ、どっちを応援するなんてことは考えないが、“敵対的買収は日本的でない”なんて言われると、あの漫画を読んだガキの頃は、そういうものにもロマンを感じていたんだけどなあ、と思い出すんだけど。
このところ本を読んでいないので、とりとめなく思い出話を。

05.4.6

(漫画)「ジョジョの奇妙な冒険」
あっちゃんの感想:
 荒木飛呂彦の「ジョジョの奇妙な冒険」の第6部にあたる「ストーンオーシャン」第17巻を連載終了から2年たってようやく読み終えました6部構成で通巻80巻、19世紀末から2011年に渡る大河長編マンガ、名作の多いジャンプの」マンガ群の中ではさほど目立った作品ではなかったかもしれないが約20年連載を続けしかも露骨な路線変更もなく打ち切りの憂き目も(多分)受けずに完結させたジャンプ誌上稀有な作品ではあると思う。
 全6部のうち後半の3部は前半3部に比べるとインパクトに欠けていたとは思うがそれでも一定の水準は保っていた。独特な絵のタッチ、擬音の使い方、しっかりとしたプロット。もっともっと評価されてしかるべき作品だと思う。

05.5.21

くれい爺さんのres:
 少年ジャンプを読まなくなって久しいが、「ジョジョの奇妙な冒険」の第1部って、吸血鬼の話だったよね。
第2部からかな、スタンドっていうのの話になったのは。
そのころまでかな、小生が読んでたのは。
第6部まで続いたのか。
たしかにたいしたものです。

05.5.22

(映画)「ミスティック・リバー」
くれい爺さんの感想:
 デニス・レヘインの佳作ミステリーをクリント・イーストウッドが映画化。
昨年のアカデミー賞レースをにぎわし、ショーン・ペンが主演男優賞、ティム・ロビンスが助演男優賞を受賞した。
原作は未読なのだが、映画を観る限り、ミステリーとして面白いとは感じられない。
映画を観て感慨深かったのは、出演者の演技がどうというより、主演の3人が歳をとったなあということ。
ショーン・ペンの若い頃というのはあまり知らないが、ティム・ロビンスは「ショーシャンクの空へ」、ケビン・ベーコンはあの「フットルース」の主演男優だからねえ。
そのケビン・ベーコンも渋い役者になったもんだ。
モンスターパニックものやサスペンスホラーなどのB級映画にも数多く出ているが、着実に存在感のある役者になっていると思う。

05.5.24

(漫画)「Monster」(浦沢直樹)
あっちゃんの感想:
 「20世紀少年」がすばらしい出来なので浦沢の代表作であるMonsterを期待して読みました。(ある人から借りました。)予想通り、いやそれ以上の作品でした。浦澤のすごいところは小出しにしないとこですね。思わせぶりな書き方で先伸ばしするようなことはせず出すべきところでは惜しみなく出す、それでいて先の展開が読めずに期待をもたせてしまう天性のストーリーテラーと思います。まだ連載中の「20世紀少年」や「プルートゥ」も本当に楽しみです。
 また主人公の天馬医師(名前はやはりアトムの天馬博士?)はもちろんほかの登場人物も本当によく描けています。冷酷無比な怪物を巡る話でありながら最後の最後までヒューマンな話であったことも評価できます。僕が昔使っていたランクでは特A級ですね。

05.7.2

(漫画)「王道の狗」(安彦良和)
くれい爺さんの感想:
安彦良和が漫画を描いていたなんてまったく知らなかった。
「機動戦士ガンダム」は第1作、いわゆるファーストガンダムしか認めない戦中派の小生にとって安彦良和というのは、そのキャラクターデザインを担当し、当時アニメ史上最高の美少女といわれたセイラ・マス、アルテイシア・ソム・ダイクンを創造したアニメーターとして残り続ける。
その安彦良和が漫画、それも日本の明治期を舞台にした歴史漫画を描いているなんて。
ストーリーもしっかりしていて面白いし、よく歴史的な出来事を調べてある。
司馬遼太郎が小説を通して司馬史観というものを表現したように、ここには安彦良和の史観というものが表現されているし、それは漫画というメディアもそういうものを発信できるということの表れでもある。
全4巻が白泉社から発行されているが、こういう作品を再刊したことは評価に値しよう。
第4巻に載せられたあとがきは一読の価値有る漫画論でもある

06.7.10

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