江戸川乱歩
 二銭銅貨 屋根裏の散歩者 人間椅子 パノラマ島奇譚 孤島の鬼 黄金仮面 魔術師 目羅博士の不思議な犯罪 押絵と旅する男 黒蜥蜴 大暗室 緑衣の鬼 悪魔の紋章 地獄の道化師 新宝島 陰獣 三角館の恐怖 透明怪人 化人幻戯 月と手袋 十字路

『二銭銅貨』

データ:

 発行年  1987.9初刷
 発行所  講談社(文庫)
 ISBN 4-06-19201-3
 シリーズ 江戸川乱歩推理文庫 1
あっちゃんの感想:
 16年前の刊行だったんですね。この間書店に行ったら光文社文庫で新たに江戸川乱歩全集刊行が始まっていました。江戸川乱歩は不滅なんですね。さて本書には初期の短編、9編が収められていますがどれもがひとひねりしてあって乱歩おそるべきといったところでしょうか。
 ちょっと書き方がくどい気もするが「心理試験」がやはり一番だろうか。
 他には「二銭銅貨」、「双生児」そして「D坂の殺人事件」が何回読んでもうならされる。

03.8.16

yobataさんのres:
 江戸川乱歩推理文庫は学生の頃毎月発売日になると、神保町に出かけて買っていました。なぜ地元で買わずに神保町に行っていたのかは自分でも謎です。
 というわけで、いちおう全巻揃っていますが、光文社文庫版も買い集めて、読み返してみようと決心、第一回配本を買ってきました。
 乱歩の長編のなかでも屈指の傑作といわれる「孤島の鬼」を読み終えましたが、いや、良かった。感想はそのうちまとめてということで。

03.8.18
『屋根裏の散歩者』

データ:

 発行年 講談社版・・・1987.11
      光文社版・・・2004.7
 ISBN 講談社版・・・4-06-195202-1
      光文社版・・・4-343-73716-1
あっちゃんの感想:
 7月は2冊の「屋根裏の散歩者」を読みました。講談社の「江戸川乱歩推理文庫」第2巻と光文社文庫の「江戸川乱歩全集」第1巻です。江戸川乱歩の作品を網羅していると言う点では講談社版で充分なのですが徐々に書店の書架に並んでいく光文社版を見ていて欲しくなりました。そこで1ヶ月に1冊ずつ第1巻から順番に買って読んでいく事にしました。(8月は第2巻の「パロラマ島奇譚」となります。9月は第3巻が出ていないので第4巻の「孤島の鬼」という風に・・・)また昨年から講談社文庫版を第1巻から順次呼んでいくことにしていてたまたま重なってしまったわけです。講談社版に収録されているもので光文社版に収録されていないものはB「火縄銃」だけでしたので今回は感想アップは兼ねます。

 感想
以前講談社版の第1巻の感想時にも書いたかもしれないがセンスが古びていない。落ちの付け方など洗練されている。江戸川乱歩は既に初期の段階で自己の世界を確立していたことがよく分かる。処女作の「二銭銅貨」のどんでん返しはどうだろうか。またその妖美なる世界の魅力も捨てがたい。「百面相役者」や「人間椅子」、ユーモアという点では「算盤が恋を語る話」、「一人二役」などもちろんロジックもおろそかにしていない。
僕の大好きな「心理試験」や表題作、もうここに乱歩の魅力が詰まっているといっても過言ではないだろう。

04.8.14
『人間椅子』
くれい爺さんの感想:
 あっちゃんやyobataさんほど乱歩を読もうという感覚はないのだけれど、まあ代表作の一つや二つは読んでおこうかということで読んでみた。
江戸川乱歩という名は日本の推理小説の草分けとしてもちろん知っているが、作品のほうはどちらかというと怪人二十面相や名探偵明智小五郎の創作者として知っているといったほうがよく、あまりその作品を読んでいない。
乱歩の作品で有名なものに「陰獣」などがあるが、映画やドラマで観た記憶はあるのだが、その作品を読んだ記憶はない。
乱歩の代表作であげられる作品はいろいろあるが、先にあっちゃんやyobataさんが感想をアップしていた「屋根裏の散歩者」もその一つだし、またこの「人間椅子」やあるいは「押絵と旅する男」などをあげる人もいる。
というわけで、今回はその一つの「人間椅子」を手にした。
短編の内容は「人間椅子」「お勢登場」「毒草」「双生児」「夢遊病者の死」「灰神楽」「木馬は回る」「指輪」「幽霊」「人でなしの恋」の十篇。
「人間椅子」はその着想の面白さと耽美的な話の進め方で、なるほど代表作の一つといわれるのもわかる。

04.9.11
『パノラマ島奇譚』

データ:

 発行年   2004.8
 発行所   光文社(文庫)
 ISBN  4-334-73733-1
 シリーズ  江戸川乱歩全集 第2巻
あっちゃんの感想:
 「闇に蠢く」
ちょっとご都合主義のところもあったが乱歩らしいグロな作品、
 「湖畔亭事件」
珍しい本格派の作品、僕はこういう話好きです。
 「空気男」
完結していたらどんな話になっていただろうか、展開が奇抜なだけに惜しい作品、
 「パロラマ島奇譚」
子供じみた夢と言ってしまえばそれまでだがパロラマ島言ってみたいですね。
 「一寸法師」
乱歩は失敗作だと書いているがそんなことはない。楽しませてもらった。

04.9.20
『孤島の鬼』

データ:

発行年  2003.8
発行所  光文社(文庫)
ISBN 4-334-73528-2
シリーズ 江戸川乱全集 第4巻
あっちゃんの感想:
 「孤島の鬼」の方は前半の本格推理から雰囲気が変っていくがいかにもといった趣きがあって楽しめた。「猟奇の果」もまさかという展開でこれはこれでいいのかなと感じた。楽しい1冊だった。

04.12.5
『黄金仮面』

データ:

発行年  2003.9
発行所  光文社(文庫)
ISBN 4-334-73552-5
あっちゃんの感想:
 「何者」・・・短編ながらよくまとまっている本格もの、僕の推理は外れてしまいました。
 「黄金仮面」・・・彼が殺人を犯してしまうというのはちょっとショッキングな展開ですが痛快娯楽作品としては上出来でしょう。
 「白髪鬼」・・・陰惨な話です。最後まで救いはありません。

04.12.5
『魔術師』

データ:

発行年   2004.11
発行所   光文社(文庫)
ISBN  4-334-73788-9
シリーズ  江戸川乱歩全集 第6巻
あっちゃんの感想:
 乱歩の通俗長編の傑作「魔術師」、「吸血鬼」の揃い踏み、いずれも動機が弱いと言うか説得力が無いがもうこれでもかと言うサービスで楽しませてくれた。特に独身者が多い名探偵の中で既婚者となる明智のロマンスが語られると言うのもおもしろかった。

04.12.23
『目羅博士の不思議な犯罪』

データ:

発行年   2004.6
発行所   光文社(文庫)
ISBN  4-334-73700-5
シリーズ  江戸川乱歩全集 第8巻
あっちゃんの感想:
この中では「地獄風景」がすごかった。最後はスプラッターのオンパレードでよくあの時代にかけたものだと思った。「目羅博士の不思議な犯罪」はちょっとありえないようなトリックだったがそれなりに説得力があった。「恐怖王」は確かに中途半端になったが傑作になっていたかもしれないという可能性を感じた。「鬼」はよくまとまっていた。「悪霊」は「トリビアの泉」でも取り上げられていたが続きを読んでみたい作品だった。
「火縄銃」は推理クイズのような作品だったがおもしろかった。
「幼虫」は通俗探偵小説らしくよかった。(子猫を殺す必要があったのか?)

05.2.27
『押絵と旅する男』

データ:

発行年    2005.1
発行所    光文社(文庫)
ISBN   4-334-73820-6
シリーズ名  江戸川乱歩全集 5
あっちゃんの感想:
 押絵と旅する男・・・幻想的な作品です。味があります。
 蟲・・・結構グロな作品、気持ち悪さでは1,2位を争うかもしれない
 蜘蛛男・・・非常に乱歩らしい展開、初めて読んだ時は意外な展開に驚いたがそういったことを知った上でも十分に楽しめた。
 盲獣・・・身体上の問題から犯人があそこまで犯罪を行えるかどうかと言うことはあるがしかしこれもまた乱歩らしい趣向でしかも新しい試みも加味されおもしろかったです。

05.6.19
『黒蜥蜴』

データ:

 発行年    2003.10
 発行所    光文社(文庫)
 ISBN   4-334-73568-1
 シリーズ名  江戸川乱歩全集 第9巻
あっちゃんの感想:
 黒い虹・・・中断しているのが惜しい作品、続き代みたい。
 黒蜥蜴・・・乱歩の長編には何作か女性が犯人と言うのがあるがこの作品は中でも異色、明智と戦った犯人の中でも異彩を放っています。
 人間豹・・・異色といえばこちらも異色、ユニークな犯人像と共印象に残る作品
 石榴・・・本格派の中篇、なかなかおもしろかった。

05.6.19
『大暗室』

データ:

発行年   2003.8
発行所   光文社(文庫)
ISBN  4-334-7329-0
シリーズ名 江戸川乱歩全集 第10集
あっちゃんの感想:
 「怪人二十面相」・・・まあちゃちと言えばちゃち、しかしそのちゃちがまたいい。
 「大暗室」・・・乱歩作品によくあるパターンの1つだがある意味集大成。作中明智の名前は出てくるが本人は関与していない。その代わり好漢有明の活躍が楽しめる。

05.6.19
『緑衣の鬼』

データ:

 発行年   2004.5
 発行所   光文社(文庫)
 ISBN  4-334-73687-4
 収録作品 緑衣の鬼、幽霊塔
あっちゃんの感想:
 「緑衣の鬼」・・・何度も読んでいるのに楽しめました。乱歩の作品にしてはちゃんと本格していましたしね
 「幽霊塔」・・・随分強引な展開もありましたが娯楽作品としては充分楽しめました。

05.8.7
『悪魔の紋章』

データ:

 発行年   2003.12
 発行所   光文社(文庫)
 ISBN  4-334-73606-8
 シリーズ  江戸川乱歩全集 第12話
あっちゃんの感想:
 少年探偵団、妖怪博士・・・面白かったです。二十面相が少年探偵団に対してむきになるのは大人気ないといえばそれまでですがそこがまたいいですよね。
 悪魔の紋章・・・何度となく読んできた作品だが相変わらず面白い。動機が何ていうのかワンパターンって感じがするがよく考えられていた。

05.9.19
『地獄の道化師』

データ:

 発行年    2005.8
 発行所    光文社(文庫)
 シリーズ   江戸川乱歩全集 13
 ISBN   4-334-73919-9
あっちゃんの感想:
「暗黒星」・・・タイトルが何とも魅力的、犯人の意外性は何度読んでも失せることはない。「地獄の道化師」・・・こんなにおどろおどろしい作品だったとは、「幽鬼の塔」・・・なかなかまとまっていて楽しかった。
「大金塊」・・・二十面相が出てこない子供向けの作品だが暗号の面白さなど楽しかった。

05.11.6
『新宝島』

データ:

発行年  2004.1
発行所  光文社(文庫)
ISBN 4-334-73623-8
シリーズ 江戸川乱歩全集 14
あっちゃんの感想:
「新宝島」・・・もっとストーリー展開が首尾一貫していればもっと面白かっただろうに、
「智恵の一太郎」・・・ミステリーと科学読み物が渾然としてしまいちょっとこちらも惜しい
「偉大なる夢」・・・以前何回か読んだ時には国策小説としてあまり評価していなかったが今回読んでみてそれでもなおかつ娯楽作品としてはなかなか上出来だなと見直した。

05.12.11
『陰獣』

データ:

発行年   2005.11
発行所   光文社(文庫)
ISBN  4-334-73979-2
シリーズ  江戸川乱歩全集 第3巻
あっちゃんの感想:
 この中では表題作が良かったですね。凝った構造で最後まで楽しめました。今回初めて読んだのが「空中紳士」だが複数作家の合作と言うことを抜きにしても娯楽作品としては上出来(ご都合主義があるにしても)
他には「毒草」、「モノグラム」、「人でなしの恋」、「盲獣」がよかった。

05.12.28
『三角館の恐怖』

データ:

発行年  2004.2
発行所  光文社(文庫)
ISBN 4-334-73644-0
シリーズ 江戸川乱歩全集 第15巻
あっちゃんの感想:
「青銅の魔人」・・・怪人二十面相が酒を飲んで顔を赤くして帰ってきたりなかなか今まで気付かなかった場面もあり楽しめた。
「虎の牙」・・・無理な設定もあるがおもしろかった。
「断崖」・・・江戸川乱歩の短編の中にはこういう優れた作品も多い。
「三角館の恐怖」・・・僕が乱歩の長編作品の中でもっとも本格度が高いと思っているのが本作品、何回読んでも感心してしまう。登場人物たちの人間くささもいいです。

06.1.7
『透明怪人』

データ:

発行年  2004.4
発行所  光文社(文庫)
ISBN 4-534-736873-4
シリーズ 江戸川乱歩全集 第16巻
あっちゃんの感想:
「透明怪人」・・・いくらなんでも言うトリックだが話そのものは面白かった。
「怪奇四十面相」・・・シジュウメンソウと読むんだったんですね。僕はずっとヨンジュウメンソウと思っていました。「大金塊」もそうですがこうした暗号絡みの秘宝探索モノはうまいですね。
「宇宙怪人」・・・いくらなんでもトリック2といった感じですが・・・子供の頃読んだ時はトリックに使われた装着型ヘリコプター装置にすごく惹かれた記憶がある。
「畸形の天女」、「女妖」・・・両作とも完成した形のものを読んでみたい

06.3.19
『化人幻戯』

データ:

発行年  2005.4
発行所  光文社(文庫)
ISBN 4-334-73866-4
シリーズ 江戸川乱歩全集 第17巻
あっちゃんの感想:
「鉄塔の怪人」・・・明智小五郎と少年探偵団の敵としての存在意味しかない怪人二十面相というものなんだかなあという気はするがそれだけにサスペンスは充分だった。
「凶器」・・・こういうトリック重視の短編がまぎれているので見逃せない。
「悪霊物語」・・・いかにもという感じの作品だがどう展開していったのか興味深い。
「化人幻戯」・・・解説では新保博久の解説によると辛い評価が目立っていたようだが特筆すべきは真犯人像であろう。この描写は鬼気迫るものがあった。
「海底の魔術師」・・・実はこの本を読んだのは「怪人対名探偵」を読んだすぐ後だったのだがそれだけにおもしろかった。

06.3.19
『月と手袋』

データ:

 発行年  2004.10
 発行所  光文社(文庫)
 シリーズ 江戸川乱歩全集 18
 ISBN 4-334-73771-4
あっちゃんの感想:
「影男」・・・まあ結構落ち着かない作品ではありましたがおもしろかった。
「月と手袋」・・・まだこんなすぐれたミステリー書いていたんですね。
「灰色の巨人」・・・昔読んだ時は「灰色の巨人」の正体にびっくりし
たものですけどね
「黄金の虎」・・・少年探偵モノにこんなユニークなものがあったんですね・

06.5.1
『十字路』

データ:

発行年  2004.9
発行所  光文社(文庫)
シリーズ 江戸川乱歩全集 第19巻
ISBN 4-334-73752-8
あっちゃんの感想:
「防空壕」・・・いくらなんでもという気はするが乱歩らしいと言えば乱歩らしい
「大江戸怪物団」・・・ちょっとわかりにくかったか
「十字路」・・・乱歩の完全なオリジナルというわけではないがミステリーとしては傑作、
「魔法博士」・・・ラストがしょぼいのはいつものことながら致し方ないか
「黄金豹」・・・**というトリックだけは勘弁して欲しいな
「天空の魔人」・・・すぐに犯人がわかってしまうのはねえ、列車消失のトリックはなかなか

06.6.11

←戻る