有栖川有栖
 海のある奈良に死す 暗い宿 絶叫城殺人事件 マレー鉄道の謎 朱色の研究 ジュリエットの悲鳴 孤島パズル スイス時計の謎 双頭の悪魔 虹果て村の秘密 幻想運河

『海のある奈良に死す』

データ:

 発行年   1998.5初刷り
 発行所   角川書店(文庫)
 初出    1995.3双葉社刊 単行本
 ISBN  4-04-191302-0
あっちゃんの感想:
 懐かしかった。と言っても作品自体ではありません。この作品を読むのは初めてです。しかも国名シリーズばかり読んでいたので長編も久方ぶりです。(国名シリーズの「スウェーデン館の謎」は長編でしたが・・・)実は学生時代に2度小浜市にはアルバイトを兼ねた文化財調査に行きました。特に第3章の「小浜ミステリーツアー」は実際僕が行った寺社も出てきました。
 さてミステリーとしてもよくできていたと思います。僕なんか引っかかるところで引っかかり翻弄されてしまいました。またラストもよかったですね。今まであまり好きになれなかった火村ももしかしたらいいやつなのかなと思ったりもすいました。さて次に読むのは国名シリーズの新作が出ない限り「朱色の研究」になるのですがその前に「孤島パズル」を読むことになるかもしれません。有栖川有栖はもっと読みたいんですけどね。

02.2.25
『暗い宿』

データ:

 角川書店
 ¥1500
 2001/07/30
EGGさんの感想:
評価 暗い宿      B
    ホテルラフレシア B
    異形の客     A
    201号室の災厄 A−
・「201号室」 火村が思わぬ災難に出くわす話で、限られた時間の中で
  密室事件を解決しなければいけないと言う設定が、読ませる。
  久しぶりにひねりの聞いた佳品。
・「異形の客」 包帯で顔を隠した客が殺害されるという、横溝が使いそうな
  設定にもかかわらず、火村の犯罪者への思い(憎しみ)が一歩も二歩も
  踏み込んで描かれているところに非常に価値がある。
『絶叫城殺人事件』

データ:

 有栖川有栖
 新潮社
 ¥1600 2001/10/
EGGさんの感想:
評価 黒鳥亭殺人事件 A−
    壷中庵殺人事件 B+
    月宮殿殺人事件 B
    雪華楼殺人事件 C
    紅雨荘殺人事件 B+
    絶叫城殺人事件 A
・「黒鳥亭」 事件の真相と、あどけない少女の対比が見事。クイズの答えがまた良い。
・「壷中庵」 推測でなくロジックでたたんだところを評価。
・「紅雨荘」 トリックとロジックは気に入ったのですが、短編にしては少し込み入りすぎていて把握しにくい話だったかも。
・「絶叫城」 犯人の動機の奥に潜むもう一つの動機(多分、保身)を火村が暴き出したというところに、この作品の価値がある。ただ狂気といってしまえばそれまでだが、ここへ持ってきたことで、現代の世相そのものにも切りこんでいるように思う。

というわけで火村助教授シリーズの短編集2冊です。
このシリーズ、あまり気にしていなかったのですが、結構いいかも。いつの間にか有栖川さん、老成なされてしまったようで。(片足突っ込んだくらい)本音をいえば、作風が変わる前の人工的かつトリッキーな、若くなくては書けない作品をもっと読んでみたかったのですが、いまさら若返れといってもねえ。(となると、青春シリーズは、待ってても出てこない可能性が…)

Aをつけた2作品は、どちらも火村と犯人のかかわり方がポイントで、友人のアリスが火村の手の内を(読者に)明かしたり、火村が(証拠のない)犯人に「絶対に**なんかするな」と喧嘩腰に迫ったり。読む価値のある2編でした。

02.4.11

『マレー鉄道の謎』

データ:

 出版社:講談社(講談社ノベルズ)
 出版日:02.5.8
 価 格:\940
  ISBN :4-06-182027-3

あらすじ:
 マレー半島を訪れた推理作家・有栖川有栖と臨床犯罪学者・火村英生を待ち受ける「目張り密室」殺人事件!外部へと通じるあらゆる隙間をテープで封印されたトレーラーハウス内の死体。この「完璧な密室」の謎を火村の推理は見事切り伏せられるのか?
(裏表紙より抜粋)

yobataさんの感想:
 臨床犯罪学者、火村英生のシリーズ。海外を舞台にした密室もの。このシリーズキャラクター火村があまり好きではないので、ものすごく久しぶりに読む有栖川作品のような気がします。
 密室トリックはいくつか先例があるトリックの亜流で、あまり目新しさはありません。それなりに面白かった。

02.6.10
kikuchiさんの感想:
 いわゆる本格のお約束を詰め込んだ一作。密室殺人、連続殺人、そして主役の探偵より先に「真相が分かった」と言いながらもったい付けている脇役は殺される、っていうのとか(笑)。
 細部のつくりはかなりいい感じとは思いますが、ただ実際問題として密室トリックはそんなに意外性のあるオリジナリティ溢れる方法でもないし、マレーシアを舞台にする必然性もよく分からないし。だいたいタイトルからして「マレー鉄道」じゃなくて「マレー・トレーラーハウスの謎」とすべきだろうに。さらに最近の火村の傾向だけど、謎は解くものの証拠は示さず、犯人の自白に頼るという脆弱さがそのまんま(例えば『絶叫城』は、犯人の心情を描いたサイコスリラーとしてはともかく、本格ものとしては決めてに欠けるのが×だと思う)。
 でもまあ、ペルシャ猫で変な方向に走り始めたかと思ったらまともな方に戻ってきてくれたので、とりあえずは安心しましたが。

02.6.19
あっちゃんの感想:
 シンプルだがそれだけに難しかった密室トリック、そして事件の真相と深層、読み終わってみればやはり有栖川有栖の作品だったなと思った。
まあ事件が2人を追いかけるというシリーズ特有の展開になりそうなのは気になるけど・・・

04.8.28
『朱色の研究』

データ:
 発行年  200.8初刷(単行本:1997.11)
 発行所  角川書店
 ISBN 4-04-191304-7
あっちゃんの感想:
 ちょっと動機に説得力がありませんでした。と言うかこんな人まだいるのかなというような人物でしたね。でも話そのものはおもしろかったです。
火村の過去というか謎も出てき始めましたしそれは今後の展開を楽しみにしましょう。実は途中で2番目と3番めの犯人わかってしまいました。話の流れ方が読んだことのある某海外作品に似ていたのですがそれで見当がついてしまいました。

02.9.7
『ジュリエットの悲鳴』

データ:

 出版社:角川書店(角川文庫)
yobataさんの感想:
 有栖川有栖のシリーズキャラクターが登場しない作品集。ショートショートから心理サスペンスまで、いろいろなスタイルの作品が楽しめます。思っていた以上に良い作品集でした。個人的には有栖川有栖といえば本格を期待してしまうのですが、失礼ながら、こんな作風のものも書けるのか、と感心してしまいました。「裏切る眼」「危険な席」「夜汽車は走る」あたりがオススメ。

02.9.23
『孤島パズル』

データ:

 発行年  1996.8初刷り(単行本:1989)
 発行所  東京創元社(文庫)
 ISBN 4-488-41402-8
あっちゃんの感想:
 あえて不完全な推理と言わせてもらいます。しかしそれだからこそ後半の盛り上がりがあったのだと思います。有栖川有栖を部屋に呼び、自分の辿り着いた真相を話す江神、必死に自分の推理にアナがないかと食い下がる江神、すばらしいドラマとなりました。ラストは予想は出来ていたがなんともやりきれなさが残る。それだからこそすばらしい作品になったのだと思います。

02.11.20

山本わおさんの感想:
 「月光ゲーム」は動機が弱かったのが難点でしたが、これは面白かった。モアイのパズルも魅力的だったし、登場人物もしっかり描けていました。推理も見事だったし、もちろん動機も納得。いやあ、やっぱり夏はミステリですね。孤島の夏の休暇が舞台とあってピッタリでした。それにしても事件の後心に傷を負ったマリアが休学してしまったのが気がかりです。丁度ミステリーズ!でマリア入部の短編を読んだばかりだったので尚更。うーん、「双頭の悪魔」も読みたくなってきたな。

03.8.30

『スイス時計の謎』

データ:

 題 名:スイス時計の謎
 著 者:有栖川 有栖
 出版社:講談社(講談社ノベルズ)
 出版日:03.5.7
 価 格:\800
  ISBN :4-06-182316-7
 収録作品:あるYの悲劇、女彫刻家の首、シャイロックの密室、スイス時計の謎
 初 出:「Y」の悲劇(講談社文庫)、小説NON1998年11月増刊号、2001年5月号、小説現代増刊号「メフィスト」2003年5月

あらすじ:
 2年に一度開かれていた”同窓会(リユニオン)”当日、メンバーの一人が殺害され、被害者のしていた腕時計が消失!犯人の意図に臨床犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖が迫る表題作のほか、ダイイング・メッセージ、首なし死体、密室と、本格ミステリファンには堪えられない超絶品全4編。有栖川有栖の真髄がここに!(裏表紙より)
kikuchiさんの感想:
 ん〜、玉石混淆な連作です。っていうか、表題作以外は読まなくてもいいかも。
 で、「スイス時計」ですけど、与えられた条件からロジックをひねくり回して一人の犯人を割り出すという謎解きの姿勢は非常にいいです。読みながらわくわく、読み終わって感心、というところ。だけどよく考えるとアラもあって、一番いけないのが消去法だということ。5人の容疑者のうち4人が消去されたから、残りの一人が犯人です、っていわれてもねえ・・・。まあ、純粋な論理で犯人を指摘することが目的の話ならばそれでもいいとは思うのですが、少なくとも、容疑者を集めて「さて、皆さん」と始めるなら、ロジック的には後付でも、何か証拠を用意してからにするべきでしょう。あと、被害者と容疑者がアリスの元同級生だったとか、アリスの高校時代の失恋話とか何の役にも立たない無用のエピソードは入れるべきではなかったと思います。無駄な内面描写は読まされてもイライラするだけです。
 江神先輩シリーズを書かないで火村ばっかり登場させる有栖川とはそろそろお別れしようか、と思っているとこういうのを書くから油断がならない。でも表題作以外の3作を読むと、やっぱり別れ時か、とも思う今日この頃。またしばらく様子見をしなければならないようです。

03.5.30
『双頭の悪魔』

データ:

 発行年  1999.1初刷(単行本:1992)
 発行所  東京創元社(文庫)
 ISBN 4-488-41403-6
あっちゃんの感想:
 著者が有栖川有栖でしかも長編、読者への挑戦が3つも付いているのだからさぞかし読みにくいだろうなと思いきやそんなことはなく比較的楽しく読めた。しかしそのことと推理にチャレンジすることとは別問題、まさか最後にあのトリックが待っていようとは、いやあ、読み応えがありました。

03.11.3
『虹果て村の秘密』

データ:

 講談社ミステリーランド ¥2000
内容:
(「MARC」データベースより)
12歳の秀介は、同級生の優希と虹果て村にある別荘で夏休みを過ごすことになった。虹にまつわる7つの言い伝えがあるのどかな村で密室殺人事件が起こり、2人は事件解明のため、おとなも驚く知恵をしぼる…。
EGGさんの感想:
 評価 85点

久しぶりに気に入った有栖川ですが、高いよ(笑)。現代ミステリー作家による新しいジュブナイルという志は買いますが、このシリーズって小学校の図書室においてもらえるだろうか?

主人公の二人がとてもよい。まっすぐで一生懸命で、お互いを認め合っているのにそぶりすら見せない。自分が相手を好きだっていうことにまったく気づいていない。あとがきを読むと、有栖川氏と奥様の関係がこんな感じだったらしいのだが、うらやましいというかほほえましいというか。とにかくミステリー少年の思いがたっぷり詰まった一冊。ミステリーとしてもなかなかでした。

03.12.6
『幻想運河』

データ:

 発行年    2001.1
 単行本    1996.4
 発行所    講談社
 ISBN   4-06-273058-8
あっちゃんの感想:
 決してつまらないわけではない。が何ていうのか僕好みの作品ではなかった。

05.11.3

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