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タイトル感想>「剣客商売 黒白」
記事No1286
投稿日: 2008/07/13(Sun) 15:19
投稿者くれい爺 < >
「剣客商売 黒白」
  池波 正太郎

現在のストーリーテラーの第一人者というなら、小生は宮部みゆきだと思っているが、過去をふくめすべての作家から考えても、池波正太郎は3本の指に入るのではないか。
さて、読書好きのものにとって、このまま終わってほしくない、ずっと読み続けていたいというような作品に出会うことは至福のことであろう。
もちろん人それぞれの好みによって違うが、そういう作品に出会うことはめったにないことであることはたしかだろう。
この「剣客商売」の番外編「黒白」は、小生にとってはまさしくそういう作品であった。
秋山小兵衛の若かりし頃を舞台にしているが、常盤新平は解説で「シリーズを読む前に読みたかった」と書いているように、この「黒白」を読んでからシリーズを読めば、もっと面白かったかもしれない。
この作品を読んで思ったのは、池波正太郎という作家は人の生かし方と死なせ方が抜群にうまいということ。
それによって作品は極上の味わいになっている。