タイトル | : 感想>「新世界より」貴志祐介 |
記事No | : 1267 |
投稿日 | : 2008/02/05(Tue) 21:05 |
投稿者 | : kikuchi |
「新世界より」(上・下)(貴志祐介)
データ: 出版社:講談社 出版日:08.1.23 価 格:各\1,900 ISBN :978-4-06-214323-3(上) 978-4-06-214324-0(下)
内容: ここは汚れなき理想郷のはずだった。 1000年後の日本。伝説。消える子供たち。 著者頂点をきわめる、3年半ぶり書き下ろし長編小説!
子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のど かに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。 いつわりの共同体が隠しているものとは――。何も知らず育った子供たちに、悪 夢が襲いかかる! (上巻帯より)
見せかけの平和がいま崩れる。 人類が手にしたのは、神の力か、悪魔の力か。 空前絶後のエンターテインメント、ついに佳境!
八丁標の外に出てはいけない――悪鬼と業魔から町を守るために、大人たちが作 った忌まわしい伝説。いま伝説が、「実体」となって町に迫る。 新しい秩序とは、おびただしい流血でしか生まれないのか。少女は、決死の冒険 に身を投じる。 (下巻帯より)
感想: 「硝子のハンマー」から約3年半ぶりの新作ですが、前回の本格ミステリと打っ て変わって今度は本格SF大作です。 エンタテインメントとして力作と思います。これって、カレル・チャペック「山 椒魚戦争」がモチーフ?と思わせるような展開があるのですが、あまり近代資本主 義における労働者への抑圧が云々かんぬん、ということを主張したいというわけで もないと思います。異世界における文明の興亡をエンタテインメントに仕立てた話 として、楽しんで読むのが正しいかと。後から思い返してみると、細かい部分で筋 が通っていないように感じるところも多々あるのですが、スピーディな展開と、あ の手この手の大アクションに誤魔化されて(笑)、それほど気にはなりませんでし た。 あ、あと特殊超力の使用法に一定のルールがあって、その範囲での息詰まる知力 戦という意味では「デスノート」(大場つぐみ/小畑健)にも影響を受けているの かも(貴志祐介はどこかの大学の講演で、デスノートにハマっているというような ことを言っていたらしい)。
その他とりとめのない感想としては、PKがあまりに万能的すぎないか? とか、 最後の方の野狐丸とのやりとりは、ウルトラセブン第42話「ノンマルトの使者」を 思い出させるなあ、とかそんな感じです。やっぱ貴志祐介は面白い。もっとペース 早く新刊出して欲しい。
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