タイトル | : 感想>「針の誘い」 |
記事No | : 1078 |
投稿日 | : 2006/06/11(Sun) 14:04 |
投稿者 | : くれい爺 <
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「針の誘い」 土屋 隆夫
幼児誘拐、身代金受け渡し現場で夫と刑事が見守る中、母親が殺される。 犯人は誰か...?という話。 土屋隆夫の代表作の一つとされている。 土屋隆夫の「影の告発」を読んだときにも書いたが、主人公の千草検事が自分の推理に早くからこだわりすぎている感じは相変わらずだ。 それゆえにアリバイくずし、犯人が使ったトリックの解明に重点があって、どんでん返し的な面白さは期待できない。 アリバイくずしの思考の中で、犯人の身代金受け渡し指定場所に関する言葉から、アリバイがないものにアリバイができ、アリバイがあるものにアリバイがなくなるという逆説的思考の転換をしているところはよく考えてあって見事。 逆に、脅迫状のトリックに関しては、郵送された場合は配達した郵便局員がいるだろうし、郵送されなかった場合は当然配達した郵便局員はいないことになる。 この点、犯人はどう考えていたのだろうか。
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