2011年

9月5日 (月)  

abc★赤坂ボーイズキャバレー
〜2回表!〜 -喝!&勝つ!-
at シアターBRAVA!

 過去に何作か上演され、シリーズ化している作品ではあるのだけれど、自分は今回 が初見。お祭りみたいなイメージがあって、ちゃんと付いていけるかしらん、などと 考えていたのだけれど。開演1時間前に開場して、さらに30分後には一部のキャスト による会場内の練り歩きが。作品上の役柄そのものになっている役者もいれば、役柄 に関係なくコスプレなどしてパフォーマンスする役者もありで。例えば、柏進演じる 利根川渡は、そのまま利根川渡という天空旅団という劇団に所属する役者として、劇 団の手ぬぐいを物販のところから1枚拝借して掲げて、「天空旅団!」「ダダンダダ ン!」というコール&レスポンスを行なったり。他にも、ヲタクなミュージシャンの 格好でヲタ芸をしてみたり、ウエディングドレスの花嫁と花婿になっていたり(出演 者は男性のみです、あくまでも)、忍者や戦隊風ヒーローがいたり、ピエロの格好で ディアボロを披露してみたりを、ホールから階段、そして客席内を回って練り歩いて いくので、観客も客席につかずにホール内をあちこちウロウロしながら一緒に楽しむ という、一風変わった、でもとても面白い空間が劇場内全体に出来上がっていたの が、さらに“お祭り”感を覚えさせた。
 その流れのまま、舞台本編が始まっていく。若者をオーディションで募り時代劇作 品を上演する、というストーリーなのだけれど、役者1人1人に与えられた役柄がまた 個性的で、いろんなシチュエーションを盛り込みながら1人1人が自己紹介していく形 で物語は進む。その中には、役者本人の個性を生かした役柄も少なくなく、例えば、 少年社中の森大ちゃんと30-DELUXの清水順二氏を含めた派手な殺陣のシーンなどは、 やはりすごく見応えのある場面に仕上がっていて。少し意外だったのが、かつてゴセ イブラックだった(そして今回はサムライブラック?な)浜尾京介くんが、すごく動 ける人だったこと。刀を使った時代殺陣をそつなくこなしていて、感心を超えて感動 すら覚えた。アクションシーンはあまりなかったものの、かつてボウケンブラック だった齋藤ヤスカくんなんかは、自分としてはそれこそボウケンジャーのファイナル ライブツアー以来に生の姿を見たわけで、あれから4年半が過ぎてしまったことが無 駄に感慨深かったりしたのだけれど。また、ダンスシーンで特に目をひいたのが、三 浦涼介くん。背が高くてスタイルも良いから、観ていてものすごく清々しくて。ハニ カミ屋さんのりょんくんだけれど、最っ高にイイ笑顔を間近に見ることも出来た。そ れから、柏進さん。利根川渡一人芝居、なんてのを前から演ってたりしたから、実を 言うと、利根川渡という役者さんが別にいるのかと思っていたりしたのだけれど、今 回やっとこさ、柏さん…っつか、かっしびえーるが演じているということを確認でき た次第で。それも、物語の中で、別の作品でもあるバンビーノのシーンが少しだけ出 てきて、そこで、ああやっぱカッシーだ、と確認したぐらいなもので。それ以外はホ ント、柏進ではなく「利根川渡」しか、この空間にはいなかったように思えた。あ、 そういえば、自分はDVDでしか観てないけれど『奇々怪々』でも旅芸人役をしていた なぁ…。
 暗転して、ポスター撮りという設定で、フラッシュが一瞬だけたかれてヌードな 面々が一瞬で消える、という衝撃(?)シーンの後、インターミッション。その後始 まった第2幕は、劇中劇というスタイルで物語が進む。その内容で、この作品が決し て単なる“お祭り”ではなく、演劇もしくは芝居あるいは役者とは何か、何のために あるのか、という極めて重要かつ重大で根源的なテーマを抱いていることが、分かる のだ。劇中劇のセリフと、劇中のセリフと、両方に共通して出てくる「芝居なんて何 の役にも立たない」という言葉。日々の暮らしの中で、むしろ生きていく上で、芝居 など必要なものでは決してなく、もっと他に金になること、人々の役に立つことがあ るだろう、と。しかし、役者達はこう願うのだ、「芝居をやる自由を、許してくださ い。」と。そう簡単にたどりついた答えではない。確かに直接役立つものではないか もしれないけれど、芝居をやること観ることで豊かになるものもあるはず。だから、 だからこそ、と。実のところ、観客として観ながら、どう答えを導き出すのか、どん な結論をもたらすのか、とてもとても不安だった。この問い掛けは、観ている自分自 身にも問われていることのように思えたから。そして、未曾有の大天災に襲われた今 のこの国に居て、不謹慎だの自粛だのと声高に言われてきた娯楽の意味や存在理由 を、どう結論づけるのか、とても興味深かったから。
 今の自分なら、こう言える。そんな、何の役にも、少なくともあなたが生きていく ためには何の役にも立たない芝居を、観る自由をわたしにください。わたしの心が豊 かになって、わたしが明るく笑って元気に生きていけるためだけのものだけれど、そ れを楽しむ自由を許してください、と。そうすればきっと、毎日をもっと楽しく、一 緒に過ごせるようになるはずだから、と。
 この日は大千穐楽。タキシード姿でハンカチ回しなど毎回のカーテンコールを終え たあと、再び全員が舞台上にずらりと並び、1人1人が自己紹介と好きなセリフを。総 勢28名のメンバー達が、ここでようやく1人1人の役と名前と顔が一致する、という事 態に見舞われていた自分だけれど、それだけにとてもありがたかった。でもね、ここ でもやっぱり、かっしびえーるは柏進ではなく、とことん利根川渡だった。まあ、そ れもそのはず、自分は時間がなくて観られなかったのだけれど、公演終了後に劇場の 外で「利根川渡一人芝居」を演ることになっていて「俺、そっちの千穐楽が、まだこ れからだもん。」ということだったから、なのだけれど。そして、キャストも客席も 全員で「ダダンダダン!」の掛け声を。…ああ、気持ち良かった。ありがとう。

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