2009年

12月27日 (日)  

Knock Out Brother -X-
at スペース・ゼロ

 暴力には、理由が要る。血の繋がりだったり、宗教だったり、邪悪な野望だった り。そして、暴力は連鎖する。…誰かが断ち切るまで、ただひたすら連綿と。その為 に必要なのは、…愛。
 この作品が持つメッセージは、つまりはそういうことなのだと思う。
 だから、劇中におけるアクションハグズクラブの存在意義というのは物凄く大きく て、それは観ている側にとっても、物語の側面を占める重たい空気を和ませる役目を していて。だって、ハグって、マジですごいステキなコミュニケーションだと思うも ん。日本人には馴染みが薄かったけど、今はそうでもなくなったしね。
 誰かが誰かを大切に想う気持ち。兄弟でも、家族でも、友情でも、恋愛でも、その 気持ちこそが大切で。誰もそれを、あざけ笑ったりないがしろにしてはいけない。そ んなことを、今、考えながら、舞台の上に渦になり流れ漂っていた“想い”を、振り 返ってみたりしている…。

 まず、凄かったのが、アクションの素晴らしさ!!!まあ、ある意味、当然の話でも あるんだけれど。だって、かのJAE(ジャパンアクションエンタープライズ)に所属し ているもしくはしていたメンバーがゴロゴロいて、その上に倉田プロ他でアクション やアクロバットの経験を積み重ねてきた精鋭たちが集っているわけで。きちんと構成 された殺陣に、生で間近で観るアクションの物凄さを、改めて味わって感動した。 すっげぇカッコ良かった!!!
 演出面では、特に、シーン毎の音楽と照明がマッチしていて、気分がすっと場面に 入り込めた。選曲のセンスが良かったってことかな。スポットライトの当て方も工夫 されていて、観客の目線が上手にコントロールされていた感じ。ストップモーション がね、まあ個人的にトラウマになっててあんまり好きじゃないんだけど、でも、それ もみんな上手かったなあ。
 出演者それぞれのキャラクターが、1人1人しっかり立っていて、それも素晴らし かった。見た目も重要視しながら、内面も十分にあぶり出されていた。(ダイコン氏 の彼女がどうとかってだけは、さらっと流されちゃって、ずいぶん誤魔化された印象 が強かったけど。)
 ただ、ストーリーに宗教を絡めた部分だけは、ちょっと分かりにくい印象を残して しまった気がする。むしろ…過去の実際の事件を引き合いに出したのは、決して気分 の良いものではなかった。もちろん、否定する意味合いを持たせるための引用では あったのだけれど、物語のコアの部分に潜む危険性を感じずにはいられなかったか ら。
 とはいえ、セリフの中に“想い”が込められているシーンがいっぱいあって、胸に 沁みてきたのも多く。たとえば、護のセリフなどは、演じるARCHE氏の声の特性とあ いまってか、じんわり響いてくるものが多かった。そういえば、マーカスやサファリ 真木ちゃんの英語のセリフ、いっさい誰も訳す場面がなかったけれど、あれは何かそ ういう狙いがあったんだろか。かく言う自分も、だいたいにしか分かってないけど。 でも、2人とも凄く聞きやすいセリフ回しで面白かったな。

 さて、毎度のコトながら(?)特筆すべきは…。
 っと!!!その前に!!!やっぱりこの作品のすんばらしいエッセンスになっていた、サ ワ役の富永研司(あ、ケンジだ。)さん!!!!!もう1人の特筆すべきケンジさんが、出て なかったり他の人の陰に隠れて見えなかったりした時は、もう間違いなく釘付けでし たからっ。自分にとって富永さんは仮面ライダークウガ(の中の人)であって、ドラマ 「東京DOGS」に出演されてるお姿も見たりしましたけども、6月に行われた平成仮面 ライダー10周年記念イベント“十年祭”でのトークショーの模様をDVDで見た日に は、富永さんのステキ過ぎるキャラを目の当たりにして、アイロンがけの手が止まり まくるという状況で。そこにきて、このサワ役。アクションがカッコイイのは言うま でもないにせよ、風貌も、一昔前の陣内孝則みたいになってたり、和柄なのに真っ黄 色なジャケットとか着ちゃったり、ボンタンがやたらめったら似合ってたり、不思議 ちゃんぽいんだけどお茶目ちゃんでもあって、みたいな。っつか、サイコーーーーーっ!!!!! この日のマチネ終了後のトークイベントでも、そのステキキャラは遺憾なく発揮され まくっていて、腹筋よじれるほど笑わせていただきましたからっ。滑舌の悪さをいつも 指摘されてるらしくて、すんごく意識的にやってみちゃったりしたみたいで、共演者の ケンケンさえ「むっちゃびっくりした。」って言ってたぐらいで。ソワレ終了後のカーテン コールでは、勝手に(でも音響さんと打ち合わせはしていた??)1人オンステージぶちかまして みたりして。…いっそのこと変身して欲しかったス(爆)

 そして、お待たせしました(?)、特筆すべきケンケンことダイコン役の斎藤健二さ ん。お人形さんの髪の毛みたいにばしばしの金髪にして、衣装も明るくてあったかく て柔らかい印象のアースカラーで、いつもリーダーのフランク氏こと野崎さんにひっ ついてて(お昼ご飯の牛丼(並)は「俺がおごってやる。」って言ってくれたそうな)、 ケンカはほんとはイヤで仲間をいつも守ってて、オベーションでもアイバニーズでも ないモーリスのエレアコは高校生の時に初めて質屋で5万で買った宝物でペグが ちょっとやばくなりかけてて、ダイコンという役柄と斎藤健二本人の人柄がとてもナ チュラルにシンクロしたりミックスしたりして、本当に楽しかったし素敵だったし幸 せな気分になれたんだ。舞台の上に生きてこその役者魂、それを本人が本当に心から 楽しんでいるのが、伝わってきたから。もちろん!!!アクションもアクロバットも、 やっぱりイチバンくるくると、誰よりも高く跳び、誰よりも多く回り、キレのいい見 事な技を繰り広げていて。地域密着型スターでありながら、いや、あるが故の優しさ にあふれているのが、たまらない魅力となっていて。そして、歌。生美役の佐伯さん とのハモリも、素敵に響いて胸を打たれて、涙する女が最低2人はいた(爆)

 2009年の最後を締めくくり、例えばケンケンにとっては20代の最後を締めくくる芝 居となったであろうこの作品には、同じく彼にとって今年1年のテーマだったという 『愛』が、様々な形を見せていた。そして、自分にとっても、そう思いたくはないし そのつもりもないけれど、最後になるかもしれない危険性を冒してまで観に来た作品 に、いろんな『愛』を改めて見せ付けられて、楽しくて幸せな時間を過ごした後のた まらない寂寥感にさいなまれつつ…。差し出された両手を、本当はずっと握っていた かった。広げられた腕の中に、本当はずっとしがみついていたかった。でも、そう、 自分自身の内に秘めた静かなる“暴力”は、誰かが断ち切らなければならないんだ。 …愛でもって。

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