家庭の医学      K-103   副作用についての認識・意識  欧米諸国との違い **    家庭医学のTopへ
 
 日本と欧米とでは、薬剤・ワクチンの副作用についての意識が大きく異なるようです。

 
国民性・医療制度・社会様式が作用しているようです。

 子宮頸がんワクチンを例にして語ります。
 
 欧米、中でもアメリカでは医療事故・薬剤の副作用被害は訴訟で解決する考え方が優先しているようです。 多額の賠償費を得ることも可能であり、被害者は国に求めるのではなく医療機関に求めるようです。 

 日本では訴訟で個人が勝訴する事が稀で、大半は医療側に有利な結果が出ています。 国を相手にした集団訴訟で稀に被害者を救済する結果は得られていますが、被害者は納得していないでしょう。

 
 日本での医療訴訟では医療側のミスを、被害者である提訴者が証明する必要があるとするのが裁判の進行です。 この証明は難作業で、患者側 (被害者) に寄り添った証人(医療関係者) を探すことは不可能に近い難作業です。

 医療被害者は本来、訴訟で金銭的な賠償で満足はされないでしょうが、訴訟での勝訴も得られないが事実です。

 独立行政法人組織による救済制度が設けられていますが、ここでも認定には大きな壁が立ちはだかっている様です。

 例えば、皆さんでも判断できる例を取り上げましょう。 血液型を間違えての輸血が行われても、その結果との因果関係は否定されて、医療側には責任賠償は課せられません。 皆さんが理解している医療知識とはかけ離れています。 訴訟では発生した被害が基礎疾患に原因があると判定されるのです。

 このような社会構造の中では、医療被害の防止は個人の意識で防止するしかありません。

 欧米の様にワクチンのメリットを重視しての接種奨励は日本にはなじみません。

 日本ではメリットとデメリットを勘案して、接種の意義を評価する方式が選ばれるのです。

 WHO も日本に、子宮頸がんワクチン接種の早期再開を勧めています。 WHO は欧米の意識 (副作用に関しての) に基づいての考え方です。 日本では日本人の意識を重視した施策が適切と考えます。



 アメリカに留学された医師から聞いた話です。 「アメリカでの治療現場では、効果があるとされる医薬品は最大限に活用する。 万が一に副作用が出れば、その後に対策を考えれば良いとされている。」 。 この話が大半の医師に共通するのか一部かは判りませんが、アメリカの社会構造が医療に影響している一面と受け取れます。 



 日本も資本主義国家としてアメリカと同じグループに入ります。 しかし、アメリカの強固な資本主義とは異なり、緩い資本主義国家と表せるでしょう。 全てを資本・金銭で評価する強い資本主義国家ではなく、資本・金銭による格差の緩い国家です。

 医療施策も、強い資本主義国家が行う施策と我が国の施策は異なるのも当然です。 日本の医療政策の現状を良しと評価は出来ません。 しかし、薬剤・ワクチンの副作用についての認識がアメリカと異なるのは国民の意識と国家制度の違いにあることは指摘しておきます。 

 WHO からの勧告 (子宮頸がんワクチン接種の奨励) に賛意は示しません。 接種を推奨する関係者には、ここに書いた事項にも配慮した発言と行動を望みます。
 
 

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