育児の広場     I-074  乳児の姿勢発達は訓練で早くすることは不可能です   育児Top へ戻る
 
 早くから立て抱きすると、早く首が座ると考える保護者が多いようです。  早くから立て抱きをした弊害は残っても、早くに首座りが獲得できることはあり得ません。
 
 “お座り” についても同様の誤解があります。
 
 間違いであることを知るために、姿勢発達を説明しましょう。
 
 自力で出来る運動の順としては【寝返り】,【四つ這い】,【自力のお座り】,【つかまり立ち】が正確です。  これを当てはめれば10ヶ月になれば可成りの長時間,座らせても無理にはなりません。
 
 多くの人は 【首座り】,【寝返り】,【お座り】,【四つ這い】,【つかまり立ち】 の順を信じています。
 
 正しくは 【お座り】 でなく、【軽い支えで短時間のお座り】  と読み替えてください。 6ヶ月検診では、検査者は乳児を  ‘座位の姿勢にした時の反応’ を調べているだけで、‘自力による座位の獲得’  を調べているのではありません。
 
 “乳児が臥位から自力で座位に代われる (座位が自力で取れる) のは10ヶ月頃である” が正しい知識です。
 
 保護者が乳児の姿勢発達を観察する時には、“自力で出来る”  を重視して 【首座り】,【寝返り】,【四つ這い】,【自力でのお座り】,【つかまり立ち】  の順序と理解してください。
 
 外見的な姿勢発達を説明しました。
 
 姿勢の維持には身体の構成組織の成熟が必ず必要です。
 
 【首座り】・【お座り】 について練習することが良いこととする風潮と,育児知識の無知から1ヶ月後半から立て抱きする・3ヶ月頃から座らせる風潮が強まっています。
 
 【首座り】,【寝返り】,【四つ這い】,【お座り】、【つかまり立ち】 には姿勢を保持するための筋肉・靱帯の成熟、運動を進めるためには骨・筋肉・靱帯の成熟とコントロールする機能の獲得が必要です。
 
 このような組織の成熟、機能の獲得は  “ヒトの進化とヒトに固有の発達時間”  が強く働くのが自然の節理です。
 
 ここまで説明すれば  「乳児の姿勢発達は訓練で早くすることは不可能です」  を理解されるでしょう。 必要な組織の成熟を待たずに訓練することは弊害を残します。
 
 ヒトの姿勢発達の中心は “身体の垂直保持” と言えるでしょう。
 
 自力で臥位からお座りが出来る10ヶ月にして,腰椎から上の脊柱を垂直に保に必要な筋の成熟が完成したと考えられます。 これ以前の長時間の垂直支持は関係する筋肉に負担を掛けることは否定出来ません。 その影響として,成長した児童の脊柱の屈曲,若年性腰痛の遠因にもなりうると考えます。

 ← ワイドモニターを使用の時  育児Top へ戻る  HPトップへ   子供の病気へ    家庭医学へ    運動発達へ