育児の広場 | I-036 | 幼児期の一日の牛乳量 | 育児Top へ戻る |
子供に飲ませる牛乳量についての質問を多く受けとります。
一日量を保護者の意志でコントロールするのは離乳が完了した一才から一才半の時期にして欲しいと考えます。
1才半は離乳が完了して幼児普通食に変わった頃です。
離乳食の終盤・三回食が始まる時期には,ミルクの哺乳量は一日 500 cc 以下になっているはずです。
このミルクが完全に固形食に置き換えられた時が離乳食の完了です。
摂取カロリーだけに限れば離乳食が終わり普通食に移行した時には,ミルクは‘0’で良いわけです。
この時期の幼児で一日の必要水分量は1000 cc と考えます。
食事に含まれる水分量がここから差し引かれます。
多くの場合に、必要以上の牛乳を飲まされています。 多量の水分量は食事量を少なくしているようです。
この時期の牛乳量としては 300 ~ 400 cc 前後で牛乳による栄養素の摂取は十分と考えます。
本来,食生活は文化と考えます。 常識をこえる場合を除き,数値的な根拠に拘るものでないと考えます。
牛乳信仰が ‘過度な健康食品ブーム’ に繋がる傾向を心配します。
「欲しがる量を飲ますだけで,強制して飲ませていません」 と話されますが,幼児の場合は保護者が用意するものはある程度 ‘飲まされる’ 側面があることを知って欲しいと考えます。 保護者がコントロールしている訳です。
子供の病気と“脱水”は密接です。 治療の第一は“脱水”からの脱出です。日頃お茶・湯冷ましに慣れのない子は補水が難しくなります。
病的状態の時には,淡泊なものしか摂取出来なくなります。 濃厚な飲料を好むと,淡泊な味の飲料を摂りたがらないとの意味です。
日頃に牛乳・ジュースを飲料としていますと,脱水初期の補水が不十分となり点滴のお世話になる事態が起こります。
日頃から子供の健康に真剣に配慮されている人から見れば笑い話ですが,診療にあたってはよく出会います。 最近,小児科診療で点滴が多くなっているのもここに一因があります。
‘牛乳を水がわり’ の育児ではなく,適量の牛乳とお茶・白湯の好きな子供に育てて欲しいと考えています。
牛乳の量とは関係ありませんが,日頃のお茶・白湯を勧める方針で,私の診察室で点滴をする事態は年間に一から二例です。 初期の脱水時に補水の努力をはたしてもらい点滴を少なく出来ています。
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