家庭の医学      K-063   医学検査の採否    診察の進め方    不必要な検査   家庭医学のTopへ
 
 皆さんは家庭医学書・知人からの話等から多くの医学情報をお持ちです。 持ち合わせた知識からの推論を前提にして、診察・検査を希望される場合も多く経験します。
 
 診察室に来られると、自己判断から検査の種類も決めて希望されます。
 
 医者の立場で症状を聞きますと、予想される疾患とはすこし違う状況も推測することがあります。 簡略な病名としては当たっていても、条件が全て合致しない例です。 
 
 患者の希望を受け入れすぎて、不必要な検査をされている事例も見聞します。
 
 診断の進めにはステップが必要との理解をしてください。 血液検査を含めて、検査の実施にもステップが必要です。
 
 初診の日に全ての検査を実施することは不可能です。 予約の必要な検査項目についての話ではありません。
 
 最近の血液検査では少量の血液で自動的に多種の検査が可能となりました。
 
 一回目の検査で多方面について検討が出来ますが、ムダな検査が実施されていることもあります。 (このムダは保健医療の財政面に絡む問題です。)
 
 一度の受診で全ての分析を試みて、ムダな検査が多くなり、この中には不必要なレントゲン検査が実施される場合もあります。
 
 診察に限って云うと、小児科医院でスクリーニング・レベルの簡単な診察から始まります。 最初の検査結果を判断して、更なる診察が必要となれば検査も含めて診察を続行します。
 
 純粋に小児科医で対応できる病気でも、専門分野の小児科医の診察が必要なら総合病院小児科へ紹介します。 重複検査は避けたいものです。
 
 他科の領域に属する病気が疑われる時は、該当する診療科へ紹介します。
 
 検査については、初回から全ての検査を必要としません。
 
 一次医療機関で全ての検査を実施せずに、二次医療機関に任せる配慮が出来れば重複検査も排除出来るはずです。
 
 患者・保護者も理解され、医療側も現在の診療を再検討すべきでしょう。
 
 私が知り合ったドイツの小児科医師の話です。 『 乳児の発達を診断する時は生年月日を知る前に診察しなさい。 診察した結果で発達月数を推論しなさい。 その後に誕生日を聞いて診断結果と比較しなさい。 診察前に知ると誤った結果を引き出します。 』
 
このアドバイスは診察室の全てに有用なものではありませんが、先入観に左右された診断の誤りについての警告です。

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