家庭の医学  K-006   子供の体温について  家庭医学Top へ戻る
 
 正常(健康時)の体温は年令により異なります。 乳・幼児の場合、体温を一定に保つ能力が未完成のため種々の外因で容易に変動します。 体温の振幅 (温度の幅) は広く、最高温 (正常の) も高く変動します。
 
 このような事情を加味して二才前後までは 37度台後半 (38度以下)、小学生以下で37度台前半 (37.5〜37度) までも正常範囲と考えて下さい。 
 
 この年令を越えると健康時には36度台に安定するものです。
 
 次にこの正常体温に0.5°を加えた範囲までを微熱と考えて下さい。 この微熱の範囲では交通信号に例えれば黄信号にあたり今後の体温の変動に注意が必要でしょう。
 
 この微熱の範囲を越えれば発熱(高熱)と考えて下さい。 この範囲になれば解熱に配慮して下さい。 初期には簡単な努力で充分です。
 
 しかし、乳・幼児で39°、学童期で38.5°を越す時には以前に増して解熱に努力して下さい。

 もう一点は体温変化のスピードです。

 皆さんは子供の発熱を心配されます。 なかでも熱性ケイレンの原因として心配されます。

 熱性ケイレンの原因は確かに体温上昇 (発熱) ですが、“ 急激な上昇 ” も条件になります。 

 数値 (体温) の高さにビックリするのでなく、変化のスピードにも注意が必要です。

 
 解熱への努力として、大半は水分の補給・室温の調節・衣服の調整で十分です。
 
 熱は病気、特に全身感染症の重要な症状の一つですが、世間では熱に対して異常とも云える程に危険意識が増長されていると思います。
 
 体温の変動には充分な観察・注意は必要ですが、誤解と異常な危険意識は解消して正しい対応と処置ができるようにして下さい。
 
 よく診察室で 『高い熱で頭がおかしくなりませんか?』 と聞かれますが、細菌等による脳細胞の損傷は起こるとしても、カゼや肺炎による高熱で脳細胞が損傷されることはありません。 
 
 誤った知識で高熱を恐れ安易に解熱剤を多用・乱用して副作用に泣く前に、正しい知識を持って高熱に対処して下さい。

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