育児の広場   I-312   少数民族の育児法・育児用具は日本人に適しない   育児Top へ戻る
 

 スリングをはじめとして、抱っこ紐・背負い用具を紹介する文書には世界各地の少数民族が使用している便利な商品として紹介しています。

 乳児の抱き方・背負い方でも同様な紹介がされています。

 これらが日本人にも便利で有効と、賛美の文言が添えられています。

 しかし、考え直す必要があります。 育児法・育児用具は世界各地の生活様式・活動様式に合わせ、時代を超えて考案され・実用化されているのです。

 アフリカ・東南アジアの狩猟民族の生活様式と、日本人のタタミ生活は全く異なります。 日本人のタタミ生活と欧米のイス・ベッドの生活様式も異なります。

 狩猟が現在も主流になる民族と都会地域の社会生活の活動方式は大きく異なります。

 世界各地の育児法、その育児法に合致した育児用具が、世界共通に有効とは限りません。

 日本人はタタミ・床に座り、食事時も含めて “座る” が主となる生活様式でした。 この様式に合わせて、長期間に仰向けに寝させる育児法・移動に際しては背負うことが日本人の育児法でした。

 欧米ではイス・ベッドが主になる生活様式で、早くから立位を獲得させる必要がありました。 これに合わせて、うつ伏せ寝も早期から採用される育児法が主流です。

 世界各地での育児法・育児用具の利点を参考にするのは良しとしても、無判断に取り入れるのは反対です。

 日本も第二次世界戦争の後には、欧米の文化輸入が盛んとなりました。 生活様式も欧米の様式が取り入れるようになりました。 イス・ベッドの生活が多くの家族に採用されてきました。

 しかし、日本の現状は日本古来の生活様式と欧米の生活様式が混在しています。 「私の家庭ではイス・ベッドの欧米風です」と言われても、“座”から抜け切れていないはずです。 標準的なマンションの広さで保護者と子供のベッドを置く部屋は確保できません。 実家に里帰りして、祖父母と一家がイスで食事できるとは限りません。 旅館・料理店でも座る時間が必要です。 欧米の生活様式への変更途次と考えられます。

 一方で育児法は欧米方式への変更が一歩前に進んでいます。 現在の生活様式を考えると、日本古来の育児法も併用する必要を訴えます。

 日本古来の育児では六ヶ月以降にお座りができても、タタミ生活ですから乳児の臥床時間が長くなります。

 欧米ではお座りが出来るようになると、ベビー用イスに座らせ、臥床時間が短くなります。

 乳児期後半の臥床時間の長短に適した育児法が必要となります。

 生後四ヶ月までは横抱きが最善と指導しても、早期から縦て抱きを採用されます。(@)

 うつ伏せ寝の必要を説いても、これを無視して仰向け寝を続け競れます。(A)

 注 @ は早期からの立位が必要な生活様式では、頭の保持に不向きです。

    A 乳児期後半にはイスでの生活が多くなります。 体軸の強化に必要な準備です。

 育児法の安易な変更、育児用具の熟慮を欠いた採用は弊害が伴うことを知ってください。

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