育児に便利な用具は数多く販売されています。　これらの品のなかには母親には便利ですが、赤ちゃんの発達・発育に支障を来すもの、注意して使用しないと悪い影響をのこすものがあります。　

　

　ベビーを抱く時に使用する用具としては　“抱っこバンド” 、 “スリング”　が多くのママに採用されています。　ここでは　“スリング”　について考えます。　“ 抱っこバント ”　については他で説明しています。

　

　スリングで横抱きしますと、布袋にベビーを落とし込んだ状態と形容出来ます。　三ヶ月頃までのベビーは　‘まるまった’　姿勢が自然です。　街で使用されている光景・ネットの使用法に使われる画像ではベビーの体幹が曲がりすぎています。　頭も極端に前方屈曲を強制されています。　　一回の使用時間は 15以内に限るべきでしょう。 　赤ちゃんの首がしっかりする３ヶ月半から４ヶ月まで の使用に反対です。　反対の理由は死亡事故の発生です。　( 注−１ )

　三ヶ月頃までのベビーを横抱きの形で使用されている場合、ベビーの手足も　“スリング”　の中に収まり自由がありません。　 “スリング”　・　“抱っこバンド” を使用せずに抱かれる時はベビーは手足を動かしています。　イモムシの如くにグルグル巻で長時間は良くありません。　乳児は15分の使用でも嫌なはずです。 　下肢の運動が自由に出来ないことは、股関節脱臼を予防するために大きな障害となります。　

　

　四ヶ月以降も、手足を自由に動かせられる様にする注意として、　“スリング”　に包み込む使用は間違いです。　手足を　“スリング”　から出して使用してください。

　この月齢から６ヶ月までは、縦抱きの姿勢で使用されても良いでしょうが、ベビーの頭は必ずママの手で支えてください。　街でママは両手に荷物を持ち、ベビーの頭が後屈（後ろに傾く）した光景に出会います。　ベビーの首・頭に悪影響を残します。

　

　睡眠しているベビーに使用する時は横抱きの姿勢で使用してください。 　ただし、観察を頻回に繰り返し、窒息事故に留意してください。

　

　“スリング”　は三才頃までは使用可能と説明されています。　一才を過ぎた幼児は活発です。　この時期の幼児で使用されている光景では殆どがダメな使用をされています。

　使用されている実情、ネットの画像を見ますと、月齢・抱き方に関係なく、保護者は自身の手をベビーに添えておられません。　　これも誤りです。　手を添えて使用してください。

　

　外国の大柄な保護者が使用されていますと安心出来る使用と見受けます。　日本のママには使用が難しいと考えます。　18ヶ月を過ぎれば使用しない方が良いと考えます。

　悪い使用・使用法の誤りは、街で見かける光景とパンフ・ネットの広告に使用されている写真を参考にして指摘しました。　正しく使用されている光景が少ないと考えています。

　

　商品としての効果は認めますが、誤った使用が多いことに警鐘を鳴らします。 　正しく使用されない育児用品は弊害をもたらすだけです。

　

　このような指摘は母親には不便・不都合で不満も聞かれそうですが、ここでは赤ちゃんの健康を優先しています。　ファッションを優先されるか、赤ちゃんの健康を優先するかはお任せします。

　

　パンフ・ネットではベビーの脊柱の正しい管理が配慮された使用法が説明されていません。　使用の現状も大半が不適切な使用をされています。　この二点を根拠に、スリングの使用には全面の賛成は出来ません。

　この様な注意点を採用しますと、販売会社が使用を勧めるメリットを否定することになります。　スリング使用のメリットは探せません。

　説明の中で書きました反対の根拠は他のページにも説明しています。　参考にしてください。

　

　◎　［ 抱っこバンド ］　に関して　　　◎　［正しい抱き方］　に関して

　

　注　抱っこバンド・ハンモック型だっこ用具・スリング　の使用には注意が必要です。

　　　　反対の根拠は［ 乳児の正しい抱き方 ］を参照して頂ければ理解されるでしょう。

       股関節脱臼の防止と治療に配慮する整形外科医から、スリングを批判する意見が出されています。　注目してください。

　注−１　小児科学会HP にスリング使用時の事故例が掲載されています。　２ヶ月27日の乳児で、推測される原因は窒息でした。　

　　　　当HP では四ヶ月未満児の抱っこには横抱きを勧めています。

　　　　保護者が補助具を使わずに腕だけで抱っこをされても、頭部が強く胸側に押さえられることはありません。

　　　　しかし、スリングを細心の注意を払わずに使用すると、頭部が強く胸側に押さえられて窒息事故を起こす心配があります。

　　　　死亡事故を知り、『赤ちゃんの首がしっかりする３ヶ月半から４ヶ月まで の使用に反対です』　と記事を書き換えました。