育児の広場     I-101   乳児の脊柱成熟 経過内容と所要時間   育児Top へ戻る
    
 脊柱が身体を立位に保持出来る力を備えるまで、乳児の身体を縦位置にすることは害があります。
 
 この原則を守るなら、ベビーカー・子供用イスの背もたれの角度は制限されるはずです。
 
 ベビーカーは背もたれを変更出来ますから、月令に合わせた使用は可能です。
 
 子供用イスの背もたれ角度は固定されていますから、使用時期を制限する必要があります。
 
 先に書きました原則を詳しく説明します。
 
 脊柱は円筒形の骨が積み重なり、周囲を靱帯・筋肉・軟組織で強化されています。 骨の成熟と、靱帯・筋肉・軟組の成熟が協力して縦位置でも崩れ落ちない、必要な屈曲が出来るように進化します。
 
 脊柱の成熟は重い頭を支える役割も担います。
 
 ソバを入れたセイロを積み重ねて運搬するとき、傾けるとひっくり返ります。  接着剤は使用していませんが、垂直に積み重ねると運べます。
 
 垂直に保持されている間は安定しているように見えますが、確実な固定と安定ではありません。 一ヶ月頃のベビーは垂直位にすると一見では安定して見えるカラクリと同じです。
 
 図の模型を傾斜した板に載せた状態を想像してください。頭に該当する球の重みは垂直方向と積み重ねた立方体の軸方向にも働きます。 積み重ねに耐える成熟を果たしていない脊椎骨には “押しつぶし” に相当する力が作用しています。 
 
 軸方向への力をゼロに出来る位置は、傾斜する板を水平にした時だけです。 ベビーで云えば床に寝させた時です。 ここまでは、物理を理解すれば知れる知識です。
 
 纏めましょう。 姿勢を傾斜させる時には、体軸にも押しつぶす力が作用します。 この力を無くすには、姿勢を水平にすることです。
 
 乳児の成熟から、脊柱の強度を考えてみます。 四ヶ月頃までは受け止める備えはゼロと考えてください。 垂直になっている時にはカラクリで頭を保持しているように見うるだけです。
 
 この時期に続けて、体を垂直位 (立位) にして頭を支える脊柱の補強を開始します。
 
 本人が自力でお座りを出来るようになった時には、体を垂直位 (立位) にして頭を支える補強は半分は進んでいます。
 
 四つ這いは骨盤周囲の筋肉・靱帯の補強と供に、股関節を動かすことで、立位になった時に腰部分が頭を支えるのに必要な姿勢のバランスを保持する力を強化します。
 
 四つ這いを十分に経験することは、体を立位に保つバランスの保持に有用です。 
 
 人間の体格を観察すると、脊柱は完全な一直線ではありません。 首・胸・腰の部分で前後の曲がりがあります。 重い頭を細い脊柱で支え、ヒトの走る・歩くの運動時に脊柱を効率よく曲げ、重量物を持ち上げる力を分散させる役割を持つように作るれています。
 
 この様な身体の仕組みを理解して育児を勧めて欲しいと望みます。
 
 一方では、四つ足動物の基本を無視した二足歩行がヒトには要求されます。 生活面でも人の守るべき基本規律があります。
 
 幼児期から、食事時のマナーを教える為に座位・イスに座っての姿勢が必要です。 この目的に限って乳児期から食事時の座位は許されるでしょう。
 
 ベビーカーの使用・抱っこバンドの使用・スリングの使用は母親の便宜に役立つ物です。
 
 上に書きました内容は乳児・幼児の健康を第一とした意見です。 
 
 “子供の健康” と “母親の便宜”  のどちらに視点を向けた育児をされるかは保護者の選択です。 保護者の自由です。 賢明な選択を期待します。  

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