育児の広場  I-031  乳幼児の頭の変形   育児Top へ戻る
 
 
乳児の頭の変形 (左右の不対称) は時々見受けます。 大半は自然に「目立たない状態にまで戻る」 と言われます。 しかしこの説明は保護者を安心させる目的が多くあります。

子供が寝返りが出来る時期を越えて変形がある時は元には戻り難いものです。

原因は出生から生後三ヶ月の間の寝かせ方にあります。 この時期に寝かせている時間帯には頭の向きを交換する必要があります。
四ヶ月未満の乳児で、一方向に長い時間に頭を向けるクセのある場合があります。 この場合には逆方向に頭を向ける努力が必要となります。

うつぶせ寝をさせる習慣のある地方では変形は少ない様です。 うつぶせで育児する時間を多くしてください。

この時期に変形に気づいて直す努力をすると対称形に戻ります。
この時期にしばしば周辺の人から,『放っておいても,大きくなるまでに自然に治ります』  との言葉を信じて放置して,後日に困ることがよくあります。

自然に治ることはありません。軽い変形なら頭髪で隠せるだけです。
変形後の努力より,変形前の注意は楽なことです。

軽度の場合に頻繁に頭の方向を変える努力もすると効果があります。

変形が気がかりになるとよくドーナツ枕を用意されます。 保護者が常時監視してドーナツ枕から頭をはずさないようにすれば効果は出ますが、常時の監視は保護者に大きな負担を強いることになります。 

枕に任せきりでは効果は上がりません。 頭の転換に努力をするなら,ドーナツ枕は不用です。  突然死への予防には留意して覚醒時のうつ伏せで遊ばせることも効果があります。

寝返りができた後で,気が付けばひどい変形がある時の直し方は側臥位で寝させるしかありません。 昼間に保護者が長い時間に目を離さないようにして横向きで寝かせてください。  夜間の就寝の時は自然にしてください。

四ヶ月以前の乳児と異なり、動きが激しいのでクッションの利用が必要となります。 利用するクッションはバスタオルを堅く丸めて棒状のクッションを作ります。 太さは胴体の太さ程度に、長さは身長より長くしてください。 (クッションが柔らかいと、体幹の保持が不完全になります) 

乳児の体幹の下に用意したクッションを置きます。 頭の出っ張りのある側を下にして、体幹が 図-A の様に斜め 45度程度になるようにします。 乳児の動きを少なくするために、フトン・バスタオルを体に載せるのも良いでしょう。 この寝かせ法は三ヶ月未満でも可能です。

変形が強い場合には壁際を利用し,壁を背にして全身を横向きにすることです。 頭の出っ張りのある側を下にします。 図-B
模式図では 45度の傾斜にしていますが。スタート時には、この傾斜より強くしても大丈夫です。 この場合に使用するクッションは少し太くして、壁-床-体幹 の三角部を埋める様に工夫してください。

よく頭だけを変換する努力をされますが,乳児は全身を動かして協力してくれません。 ドーナツ枕でもはずしてしまうからです。 全身で体位変換をさせてください。

頭の変形はよほどのものでない限り機能への影響は少ないと説明されますが、欧米の研究では体幹 (頸椎部・胸椎から腰椎部) のねじれ、このねじれが頭痛・肩こりを引き起こす、強ければ運動能力の低下にも繋がると報告されています。

頭は脳の容器です。 変形した容器は中に収まった脳も変形します。 変形が続けば脳の機能に影響することも当然に予想されるでしょう。 美容にも関係します。 頭髪・帽子で隠しきれないでしょう。

成長した子供に恨まれないように予防に努めてください。

変形が強くなれば,心を鬼にして上記の方法を続けてください。

『放っておいても,自然に治ります』  との心ない発言を子育て中の保護者にしないでください。

まとめです。 
四ヶ月未満の乳児で変形のない場合には、うつ伏せ位置での遊び時間を多くして予防してください。
四ヶ月未満の乳児で、一方向に長い時間に頭を向けるクセのある場合には、逆方向の時間を多くしてください。
  
小さな変形がある乳児の場合には、マクラを利用して変形を直す努力をしてください。

寝返りが可能で動きが多くなる時期には、全身の体位を変換する育児をしてください。


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