育児の広場  I-008  自律哺乳はいいことですか   育児Top へ戻る
 
 以前は乳児の哺乳回数、哺乳量の模範が説明され (これを計画哺乳と表現します)、指導もされました。 しかし最近は乳児の自然の要求に任せて授乳するようにとの指導も多いようです。
 
 大半の乳児で本人の要求に任せることで、以前から説明されている形に落ち着くものですが、困ったことも起こりますので注意点を書いておきます。
 
 最初は母乳、ミルクだけで育児をしますが、四ヶ月にもなると離乳食を始めることになります。 最初は日に一回から始めますがこれを午前にすることが多いようです。 そのやり方も方程式ではありませんが、母親の生活サイクルを考慮して落ち着いて取り組める時間帯としてのお奨めでしょう。
 
 この離乳を始める頃には、回数と時間が一日のサイクルでおおよそ定まると後の離乳の進行にが楽になります。 自律哺乳は赤ちゃんが欲するときに欲しいだけ飲ませることと誤解され、3−5ヶ月頃でも6,7回の授乳が必要なら離乳は難しくなります。
 
 自律哺乳は本人の勝手気ままにする事ではありません。 ここで一つのモデルとして説明します。 最初の数週間は本人のなすがままに任せてよいでしょう。
 
 それでも10日目頃には一日400mlは飲めるようになってきます。 この半分の量が数日続くなら要注意です。 生後数週間頃で生活が落ち着くと一日の哺乳量は体重1`当たり150ml程度と計算して下さい。 母乳の場合特別に計量する事はありませんが一回の哺乳時間は15分程で止める用にして下さい。 一日の回数は1−2ヶ月で6回、3−5ヶ月で5回が適当でしょう。 そして先の一日量を目途に各回の哺乳量を大体本人任せにして下さい。
 
 授乳が巧くいっているかどうかの判断基準として体重増加があります。 体重増加は一ヶ月で500g以下で要注意として下さい。 「体重が増えない」「ミルクを飲まない」という相談がよくありますが、母親の少しの配慮で心配は解消することが多いようです。
 
 赤ちゃんが泣けば飲ませ、欲しそうにすれば飲ませることで回数が、上に適当としたものよりかなり多いと子供がおやつを何回も食べているのと同じで、食事とすべき時にも空腹になっていないので飲む量が少なくなります。
 
 短時間で空腹になりまた時間外の哺乳が必要になります。 この悪循環で日々の哺乳量が足らなくなります。 この様な日が続くと体重の増加は望めません。 母乳の場合には安易に授乳できるので上に紹介したことがよく起こります。 母乳の場合に、体重増加が悪いのは飲む量が少ないと判断して多く飲ませようとして哺乳時間を長くする母親があります。 赤ちゃんは飲むことに大量のエネルギ−を使います。 長い時間の哺乳で疲れが多くなり次の時間までも疲れが残ると、次回の哺乳量が減ります。 この後は短時間で空腹になり機嫌も悪くなると、時間外の授乳となり悪循環が始まります。 ほ乳瓶を使っているとよく分かりますが、10分以内で大半を飲み終わり、後は楽しんで飲んでいます。 これからも分かるように一回の授乳は15分で止めることも必要です。
 
 泣けば飲ませる。 機嫌をよくするために飲ませる。 これは【食事】の面でも悪い影響をもたらしますが、【躾】の面でも禍根を残します。 ここでは簡単にしておきますが両親より尊大な子供を育てる始まりになります。
 
 先ほど要注意ですと書きましたが、この場合には数日ここに書きました配慮を実行しても不安が残れば小児科医に相談して下さい。
 
 未熟児、心臓に病気がある、その他にも先天的な病気がある時は別の注意も必要になります。 小児科医とよく相談して下さい。
 
 本人の自由を取り入れた自律哺乳を批判するものではありません。 
 
 自律哺乳の対語として ‘計画哺乳’があります。 この杓子定規な方法が母親の苦労を多くし悩みも多くするとの批判から ‘自律哺乳’が推奨されるようになりました。 
 
 極端と云えるほどに融通をなくして対比する比較に反対意見を説明しました。 
 ここで書きたいことは、両者に良き面があることを知り、かたくなに一つの方式に拘って結果を悪くしない授乳方式が望まれます。

 

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