育児の広場  学級崩壊は幼児期で危険信号  I-005   育児Top へ戻る
 
 
 最近、新聞・テレビで“学級崩壊”と言う言葉をよく聞きます。この現象は学校関係者、保護者、生徒、第三者と立場によって捉える視点は異なり、原因として指摘されるものも異なります。
 
 以前に臨床教育研究所「虹」が全国の保育所の保母を対象に実施された調査結果が報告されていました。 小学校の学級崩壊の中で低学年に起こるものの原因として幼児期の子供の状態が影響していると考えて保育園の保母の目から見た最近の子供と保護者の変化が調査報告されたとの内容でした。 (注 1999に朝日新聞で報道されました。 内容は現在にも通じると判断し、引用させて頂きました。)
 
 ここに報告されていた現象は小児科医も診察室でしばしば出会います。 この様な現象は子供の年令に応じた成熟が以前より遅くなっていることであり、子供同士の協調性・社交性を低めていると考えています。 そして大事なことは参加した場所でのルールが守れないことです。
 
 この現象を気にとめず自然の発達の一段階と見過ごそうとされる保護者もありますが、問題のある現象と捉え解消する努力をして欲しいと考えます。
 
 このしるしが出る前に乳児の保育の段階で注意が必要です。 この立場でこのホ−ムペ−ジの育児のセクションでアドバイスを連載しています。
 
 社会生活に必要なしつけを教えるのは生まれた日から始めることが大切です。
 
“躾は何才頃からはじめますか”と質問すると、“三才頃から”とか“幼稚園に入る頃”と答えられますが指導は生まれた日から始める心つもりが必要です。
 
 指導すべき保護者にも問題を感じます。 約束したことが守れず迷惑を掛けても平気な人,他人の協力・援助に感謝の気持ちが持てない・感謝の気持ちが表現出来ない保護者も多くなりました。
 
 学級崩壊が社会の変化の副産物・現代の社会構造に原因があるとする意見には賛成出来ません。
 
 紹介した調査に見られる幼児の現象,診察室で観察される現象をもたらすのは,育児の影響によると判断します。
 
 記事に書かれていた調査報告を紹介させていただきます。
○子どもの変化として、◆朝の登園時間にお菓子をもって食べながら登園する。◆おはようと声をかけても、子供も母親も挨拶をしない。◆部屋に入ったとたん近くの子をいきなりたたく。◆お昼の給食時間にかむことが苦手、飲み込めない子がいる。◆年令に応じた給食の量が食べられない。◆食事時間に片足をイスにのせたり、ひじをつく。◆前を向いていられない。◆遊び時間にもしらけて遊びに参加出来ない。◆「疲れた」、「もうやめる」とすぐに云う。◆静かな雰囲気に耐えられずわざと奇声を発する。◆できないことはやらない。◆プライドが高く失敗をおそれてやらずにすませる。◆みんなでやることをおそれる。◆自分が拒否されることを極端に受け止める。◆「こ−か」「こ−か」と確認しないと不安がる。◆保母を独占する甘えっ子が多い。  
 
○親の変化としては、◆簡単な連絡事項も細かく伝えないと理解されない。◆しつけや生活面でめんどうなことをさける。◆ゆっくりと子とかかわることが少なく、遊ぶと大型観光(海外旅行等)が多い。◆父親は仕事中心か育児参加に積極的の両極端。◆子どもをしかれない父親がふえた。◆親ではなく友達感覚、都合のいい時だけ親になる。
 
 
 朝日新聞に関連記事が掲載されていました。(朝日新聞 1999/02/16 関西版 朝刊)

 

 ← ワイドモニターを使用の  育児Top へ戻る  HPトップへ   子供の病気へ    家庭医学へ    運動発達へ