子供の病気      P-053   脱水   子供の脱水には十分な注意が必要   子供の病気Topへ
 
 子供の脱水は多くの原因で起こりますが,下痢・謳吐を伴う感冒・ウィルス感染症の多い冬の時期には注意したい状態です。
 
 子供の場合には多くの病気で起こることを予想して病気の始めから水分補給が必要です。
 
 脱水が発熱の原因にはなりませんが,脱水があると発熱を持続させることがあります。
 
 脱水は器官・細胞の活動を阻害して回復能力を弱め,病気を悪化させる事態は多くの医者が何回も経験していることです。
 
 脱水によって状況を悪化させる頻度は成人よりも子供に多いものです。
 
 脱水の確認としては‘唇の乾燥’が初期に見られます。
 
 医者なら ‘皮膚の乾燥’ ・ ‘眼の落ちくぼみ’ ・ ‘大泉門の陥没 (乳児)’ 等を次の段階の症状として観察します。  しかし,これらの症状はかなり進行した時に見られます。 この段階までに家庭での水分補給を望みます。
 
 家庭では下痢・謳吐・水分摂取量の減少を脱水の始まりと考えてください。  家庭で努力して欲しいことは水分の補給を繰り返して努力して欲しいのです。
 《下痢・謳吐・水分摂取量の減少》 がある時に水を飲ませる場合,体温を上げると効果があります。  身体が冷えていると摂取が難しくなります。  部屋の温度を普段よりは暖かめにしてください。  一度に多くを望まず,回数を多くして総量を多くする配慮が必要でしょう。
 
 脱水の治療としてしばしば利用されるのが点滴です。 小児科医院で実施される短時間の点滴がどれ程に有効かが問題です。
 
 点滴のスピードを早めることは子供に取っては危険が伴いますから、ゆっくりと行う必要があります。 一時間をかけて 300ml の点滴をする量を口から補給するのは簡単です。
 
 点滴を外来診療で受けた子供が多くいます。 点滴の大半が軽度の脱水で行われています。  小児の場合に限れば外来で受ける点滴の大半は不必要と考えます。 保護者の努力で防げるはずです。
 
 常に脱水・水分補充を考えてもらえば、点滴の回数が減るはずです。
 
 この努力にも係わらず,‘唇の乾燥’ が残る時には受診を急いでください。
 
 小児科外来で多用される点滴に反対の意見を書きました。 自宅で飲用する水分の増加で代替え出来るとの提案です。
 
 口からの補給が不可能な場合、急速に投与出来ない注射液を薄めてゆっくりと投与する必要が有る場合は、この提案は取り下げます。
 
 まとめ。 
 ○ 点滴は脱水の治療には有効な手段です。
 
 ○ 小児科外来で行われる短時間・少量の点滴は口からの投与で代替えが可能です。
 
 ○ 自宅で常に水分補給を努力すれば、医療機関での点滴は無用になります。
 
 注 このページで触れています “ 点滴 ” は水分補給を目的にした点滴に限って解説しています。 他のページに書きました [ 点滴の過信 ] も読んでください。
 
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