子供の病気  P-009   子供の下痢   子供の病気Topへ
 
 下痢について正確に知っていますか。  小児科には下痢と云ってよく診察に来られますが、聞き直すと 「水のような便をします」・「便が軟らかくなりました」・「便の回数がおおくなりました」 と内容はバラバラです。
 
 水のような便は別として、程度にもよりますが、軟らかい・回数が多いだけでは、大半は‘下痢’と表現するものではありません。 勿論、病気と言えない状態です。
 
 逆に言えば、正常の便通を正確に理解されていないと思います。 小児科医でも ‘正常’ と ‘下痢’ の間を区別は簡単に説明出来ません。 成人でも便の状態・回数は個人差が大きくあります。 一日に一回で普通の固さを共通とは云えません。 乳児では個人差は成人より大きくなります。 幼児期では形のない軟便を一日に数回の児はよく出会います。
 
 便の固さ、回数に個人差があることに加えて、周期的にあるいは単発的に変動することもよくあります。 正常を明快に表現できる小児科医も少ないでしょう。
 
 ここでは下痢の解説ではなく、どの程度の変化で小児科に行けば良いかを書いておきます。
 
 水の様な便で24時間に一・二回なら一日は様子を見て下さい。 翌日に良くなることがなければ相談に行きましょう。 軟らかい便になり回数が日に数回なら、様子を見ることで大丈夫です。 心配な (悪い方向) に進行すれば診察を受けてください。
 
 一方、“発熱・高熱”で慌てても“下痢”なら様子を見るとして、ゆっくりされる保護者にもしばしば出会います。 上の説明を参考にして適切な時期に受診してください。 年令が低いほど脱水になりやすいことがあります。
 
 日に三回以上の水様便 (全く形を残さない程の) が翌日も続くなら診察を受けることは必要です。
 
 水様便と共に謳吐が伴うときは診察が必要です。
 
 ここまでの変化であれば夜間の救急受診の必要はありません。 休日昼間の診察は受けて下さい。
 
 下痢・水様便になると、水を飲ませることが悪いと考える人も一部にはあるようですが、これは間違っています。 乳幼児、子供は脱水状態になりやすいので水分の補給は充分に努めて下さい。 この努力で水分補給を続ける中でも尿の出が少なくなれば時間外の受診が必要になります。
 
 同じ食事をとった者が、水様便・腹痛・謳吐があらわれると食中毒が疑われます。 この時は時間外でも受診が必要です。
 
 乳児で便が緑色になりましたと受診されることがありますが、人口栄養児でも異常と速断することはありません。 便の色には関係なく上のような変化を観察して対処して下さい。
 
 小児科で治療を受けると大半の場合は一、二日で激しい症状は改善されます。 ウィルス性の病気に伴う下痢でも数日で改善に向かいます。 一週間も続くことで勝手な転医をされる事を見かけますが、乳児では糖分の分解が出来ないことから下痢になることがあります。
 
 ミルクによるアレルギ−反応で下痢になることもあります。 このような下痢では普通に使われる薬では治療出来ません。 この薬で効果がない時に、次の段階としてこの様な病気を疑い治療法を変えます。 治療にはこのような段階が必要なことも知って置いて下さい。
 
 原因の一つに治療がされても、次の原因が現れ治療がされていないこともあります。 再度の受診を優先させるべきです。

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