【質疑・応答】                           kodoke-W_QA

このペ−ジには皆さんから寄せられる質問・提案等で公開すれば多くの人に有用と考えられる事項を掲載します。その可否は当グル−プに委任してください。プライバシ−の保護には最大の配慮はします。特別の要望はメ−ルに記載して下さい。内容の引用は一任されているものとして運用します。

インフルエンザワクチンの効果  *ベビースイミング について *乳児健診の意義と必要性 *薬に頼らない解熱法 *高熱が出ると脳神経系統の後遺症がありますか *嫌がる口の中の診察 *夏期熱について *薬とミルクの混合 *治療中の転医

【質問】インフルエンザワクチンの効果について   05/01/16

  インフルエンザ・ワクチンの幼児への効果は2030%と説明されています。

  この意味を詳しく説明してください。

【回答】

  ご存じのようにワクチンを接種すると、該当するウイルスに感染しても発病を阻止する抗体が体内に作られます。

 簡単に言えばこの抗体価がどの程度の確率で作られるのかが問題です。

 麻疹ワクチンでは95%以上、おたふくかぜワクチンでは80%程度とされています。

 ところがインフルエンザ・ワクチンでは僅かの2030%の低率です。

 100人の接種者の中で2030人の子供に抗体が作られるだけです。

 100人の子供の全員に25%前後の阻止力を作るとの意味ではありません。  約75人は阻止力ゼロのままです。

 ワクチン接種を受けた100人の中で75人前後の子供は接種を受けていない子供と同様にインフルエンザに罹る可能性があります。

 僅かの25人にだけ予防効果をもたらします。

 もう一つの問題は年々流行するインフルエンザウイルスのタイプが異なります。

 流行するタイプを予想してワクチンは製造されます。ほぼ予想は当たりますが100%の確度ではありません。

 この25人にも感染の可能性は残ります。

 他のワクチンでは 70% の効果が得られない時には使用は奨められません。

 2030%の低率で「効果がある」と奨められる根拠は理解できません。

  接種を奨める医師は「ワクチンの副作用は軽微」と説明しています。「副作用が少ないから、効果は少ないが接種を受けなさい」と言っているのです。

  現在時点で確認されている副作用は軽微でしょう。しかしこれから先に重篤な副作用が現れないとの確固たる予想も不可能です。過去の薬害・食品被害は時間の経過後に副作用が現れています。

 25%前後の効果と副作用阻止の問題についての判断が保護者に任されているのです。

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【質問】ベビースイミング について
最近、ベビースイミングは乳児の健康維持にも効果があると四ヶ月からの受け入れていると聞きます。

一方では、乳児の皮膚は弱く、消毒用に使用される塩素の副作用も心配です。

健康管理に良い面は取り入れたいのですが、ベビースイミングについての意見を聞かせて下さい。

【回答】
スイミングスクールの衛生管理、塩素の乳幼児皮膚への影響についても詳細は知りません。

プールの管理は保健所も監視しているはずです。しかし、参加する中に乳児が含まれることを想定しての基準が作られたとは聞きません。

他の問題ですが、公衆浴場で循環させたお湯による感染症の発生がニュースになることも有ります。
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スイミングの呼吸器系統への良き効果は信用しています。

喘息児童のスイミングは私の診察室でも勧めてきました。

呼吸器系統に働く効果は、肺活量の増加があります。

自宅から娯楽としてプールに行っても効果は少ないものです。

指導者がおって、顔を潜らせて実行するスイミングに効果が期待できます。

身体を水に浸して効果が出るのではありません。
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この様な視点から、ベビーへの効果は別次元です。

勧める意見を持つ人は強く勧めるでしょう。

私はベビーのスイミングには消極的です。診察室では勧めていません。

勧める人は弊害を認めないでしょうが、上に書きました健康被害の可能性と効果のどちらが多いかの問題です。

私は積極的にベビースイミングを取り入れる効果に期待しません。

余暇を楽しませるために趣味を取り入れる年代とも考えません。

ベビースイミングが直接的な呼吸器系統への効果は疑問です。

‘運動’ と考えての間接的な影響に止まると見ています。

“健康管理”  と構えるのでなく、“娯楽の一部”  と気楽に判断されては如何ですか。

この問題は生活様式と同様に ‘文化’ の問題と考えます。

保護者が判断される問題と考えます。

もしインターネット等に情報を探られるなら、勧める意見が多いはずです。

反対意見は載せる必要がありませんから。

健康商品と同様で、営業が優先される情報が過多になっている実情にも注意は必要です。

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【質問】海外在住で日本の様に定期乳児健診が受けられません。  

乳児健診の意義と必要性を教えてください。       03/06/01

【答え】乳児健診・幼児健診の時期を何ヶ月頃と明記しているのは,発達の確認と遅れを知り対策を講じるのに好都合として捉えています。

 一才以前の健診は運動発達について,誕生日以降の健診は知的発達の確認と大別できます。

 前者については3,6,10,12ヶ月が適当とされています。

 後者については18ヶ月・三才時が推奨されてきました。

 18ヶ月・三才時を設定した当時と現在では幼児を取り巻く環境も変わりましたので,子供によっては間隔を短くして六ヶ月間隔での健診も必要と考えます。

 運動発達については専門的な知識も必要ですから,適切な医療機関での受診を奨めます。

 知的発達は主として言葉の発達,年齢に応じた社会性の獲得と異常行動の有無を確認しています。

 此については診察室でも可能ですが,24時間の充分な観察が勝ります。家庭での保護者の観察が短時間の診察に勝ることが多いものです。

 十分な観察で不審なサインがあって健診を受けられることで代行できます。

 受診を奨めますが,内容が伴わない健診なら意味はありません。

 身長・体重の計測と心音の聴診で済まされる乳児健診は目的にかないません。

 自己判断で済まされる場合も,不安点に出会えば専門医両機関を受診してください。

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【質問】 薬に頼らない解熱法を教えてください。    99/10

【答え】 皆さんは高熱の影響を強く心配され,効果の早い解熱を望まれます。高熱を強く恐れる必要が無いことを先に理解してください。

発熱の目安として,二才以下の年令で37.5℃、幼稚園の年代37℃を少し越える程位を健康時の上限として下さい。小学生になると36℃台に安定します。

これを越えても 37℃ 台なら微熱と判断して下さい。

解熱剤の使用に反対する意見はよくあります。 しかし子供の発熱も心配になると思いますから、子供に負担をかけない方法を紹介しておきます。

微熱、38.5℃位までの発熱時には水分を多く飲ませ、着ているものを少し薄くする程度の配慮で十分です。

水枕を使うことも良いことです。 手足や背中で触って熱い所に水でしぼったタオルをのせて冷やすことも良い方法です。

この数値を越えてより積極的な解熱法には “ぬるま湯での入浴” があります。 夏なら35℃程度、冬なら38℃程度のぬるま湯で十分位入浴させます。 アメリカ・ヨ−ロッパの育児書・医療機関ではこの温度のぬるま湯を浴槽に座らせた子供の腰までためてタオルで繰り返しふくことを指導していますが冬の期間に日本でやるのは奨められません。 家の中が全部暖房されているような住環境と違い、居間だけが暖房される日本の場合には肩までぬるま湯をためての入浴にして下さい。

この方法になじみのない日本では危険視されますが、諸外国では日常に実行される方法で、WHO の小児救急法にも記載され、日本の育児書にも何回も紹介されています。

この他に、室温を下げることも必要でしょう。

幼児では熱性ケイレンの併発を心配されることも多いようです。高い熱の数値だけを心配するのではなく、短時間に急激に上昇する熱がより心配です。早期からの水分の補給と上に紹介したような方法をうまく活用して下さい。

熱が上がるときに、寒気を訴えたり歯をがたがたさせるような時には温かいお湯を飲ませて下さい。

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この回答は以前に記事として掲載しました。 解熱のためにぬるま湯に浸すことを解説した書籍の紹介を希望するメ−ルを受け取りました。 ここに紹介しておきます。  なお、ペ−ジに記載した事項の出典として記載するもので、他意はありません。      99/12/01

外国の育児書の翻訳としては下記の本があります。 現在も販売されているかどうかは確認しておりません。

『絵でみるこどもの応急手当』 マーティン・I.グリーン(Green, Martin I.)著、西村昴三訳  改訂新版 東村山;教育社 (発行) 東京;教育出版サービス(発売)1989、10

欧米での育児書には大半のものに記載されているそうです。手元にあるものでは下記の書籍があります。

 DAY BY DAY BABY CARE A Patients' Manual for the First 3 Years to Give You the Confidence to Care for Your baby Miriam Stoppard M.D.

医師用書籍としては

Primary Child Care A manual for health workers     Maurice King 他   Oxford Medical Publications

直接に内容を確認している書籍に限り紹介しておきます。

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【質問】  高熱が出ると脳神経系統の後遺症が合併すると聴きますが、よく起こることですか。    99/09/16

【答え】  日射病、溶鉱炉とか異常な閉鎖環境での事故は別として、カゼの様な感染症に際して高熱が脳細胞に障害を起こすことはありません。

髄膜炎等の疾患が合併しても、高熱が原因で起こるのではありません。

髄膜炎の症状には高熱があり、髄膜炎特有の症状を察知する以前に 高熱〓カゼ  と判断することから、カゼ→高熱→脳神経系合併症の誤解が生じたのではないでしょうか。

逆に高熱の処置として投与した解熱剤 (勿論座薬も含みます) の副作用で脳に重篤な合併症が起こることがあります。

高熱が脳に障害を残すと言った誤解から、解熱剤を安易に使用することを避けて下さい。

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【質問】  診察の時 、口のなかの診察をいやがり、時にはもどすほどです。 心配はいりませんか。 何か解決策はありませんか。    99/08/16

【答え】  口の診察時には、ステンレスのへら(舌圧子) で舌を押さえます。 これは子供でなくても気持ちのわるいものです。謳吐をもよおすのも自然の現象です。 気にせずに、子供をしかったり、我慢を強制しないで下さい。 

解決策としては、診察の時に「ア−」と発音してもらうと、診察が楽になります。 舌圧子を使用しなくても扁桃腺の部分までは見えます。

普段から「ア−」の発声の練習を家でさせて下さい。

この質問とは関係ありませんが、子供は診察室を嫌います。 小児科医は診察室を子供に安心されるように工夫もします。 白衣を着ないこともします。 子供には好かれたいと望んでいます。

しかし、三才も過ぎても診察を大声で泣いて拒否する子供もあります。一才も過ぎると診察室に恐怖を感じる子供は少なくなります。三才を過ぎて大きな恐怖を現す子供には時として情緒不安児があります。 この様な時には保健所の三才児検診か医療機関で相談して下さい。

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【質問】  夏期熱について説明して下さい。     99/07/16

【答え】  乳幼児・小児で脳が外気温(環境温度)の影響を受けずに、体温を正常に保つまでに成熟していない年代では、体温は環境温に左右されます。この年代の幼児が暑い部屋に長時間おりますと、体温も上昇します。38度を越える体温になることもあります。このように病気とは関係なく異常に高温になることです。

この様な時、風邪の症状もなく元気にしていた子供が暑い部屋・暑い場所にいて急に体温が上がった時は、水分を飲ませ涼しい場所に移動させて下さい。

長時間涼しすぎる場所に居ると体温を正常範囲に保つ調節機能の一時的麻痺が起こります。調節機能を使う必要が無くなるのです。この時に外出しますと体温は以上に上がることが有ります。

両方は状態は違いますが、体温をコントロ−ル出来ないことが原因と考えて下さい。

 

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【質問】  子供が薬を嫌がります。ミルクに混ぜてのませてもいいですか。       99/07/01

【答え】  薬は胃の中で食物と混じるわけですから、食品に混ぜて効果が下がるものは殆どありません。 絶対混ぜられないものは医者から注意があります。しかし薬を食品に混ぜて飲ませることは極力避けて下さい。 赤ちゃんの主食のミルクに嫌がる薬を混ぜて、ミルクも嫌いになれば困ります。 そして小さい時からごまかすことは避けて下さい。 納得して飲ませる努力は小さくても必要です。 水薬なら水で薄めても良いでしょう。 一度に飲める量まで薄めると苦み、においも薄まり納得してくれます。 一、二回薬が抜けても良いでしょう。 しかし絶対に必要な時はジュ−ス等で混ぜることも仕方ないでしょう。

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【質問】  子供がかぜをひいて近くのお医者さんにみてもらっています。 一ヶ月近く通っているのですが、せき、はなみずがいっこうに直りません。 違う先生に見てもらえばという人がいるのですが。     99/05/01

【答え】  色々な問題があります。私たちの考えを箇条書きにしておきます。

◆一ヶ月間連続して治療していますか。 よく経験することですが、一度受診して薬を数日分もらい、数回服用して症状が軽くなるとくすりを止めます。 数日後に症状が再び現れると残りのくすりを飲みます。  くすりが無くなり日が経って気になると受診します。 断続的に治療しているのです。 これでは薬の効果はありません。 治療は継続して下さい。 よくあるかぜの場合大半の例ではくすりを飲むにしても二日で十分でしょう。  追加してもさらに二日もあれば効きます。 自然の治癒力も期待できます。

◆病気の治療中に患者の安易な考えで代わらない方がよいでしょう。 患者の気持ちは遠慮なく医者に伝えて下さい。 病気によっては医者が転医を必要とする時は紹介します。  医者も毎日が経験の繰り返しです。 あなたが他に行けば治癒したものと判断されます。 あなたの訴えから良い方法が見つかればあなたにも、医者にもよいことです。

しかし、今すぐに転医を希望されるなら心証を悪くするのは覚悟して治療の内容を文書にして貰いなさい。 これがないと次の医者は最初からやり直しが必要です。 無駄な繰り返しは体に無用です。

◆日常から転医を考えなくてよい医者、医院を選んで下さい。

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