育児指導の具体例 F 不安を持つ保護者へ 06
[症例] ○ 通過点を早く通過しています。 標準が良いと聞きますが、問題はありますか。
通過点を早く通過することは問題ナシ、あるいは良いことと喜ばれる保護者に出会いますが、再検討をしてください。
通過点とされる姿勢が問題なく、確実に獲得していましたか。 保護者に尋ねますと、不完全な要素が見られる事例が多くありました。
この HP では、『確実に通過点を獲得するのが良き育児』 と説明しています。
通過に要する時間も十分にあり、確実に習得している事も必要な条件です。
標準の姿勢獲得と必要な身体構造の完成は平行しています。
人類の進化から検討して、姿勢発達と身体構造の成熟は自然の摂理で標準が決まっています。
育児法では一見して似ている姿勢は獲得させることが出来る場合もあります。
確認して欲しい事−1
通過点に到達する時には、身体の構造もこの時期には完成すべき要件を満たす必要があります。 必要条件は他で説明しています。
例えば “首座り” のためには、頸椎部の骨の強固さと共に頸椎部の7個の骨を強固に連結する筋肉・靱帯の完全な成熟が必要となります。 骨・筋肉・靱帯の成熟には必要な期間が自然に決まっています。
保護者が早期に “首座り” を獲得したと判断される乳児を診察しますと、身体の構造は完成していないと判断できます。 乳児の体位を傾斜させますと、頭部がフラフラな状態と判ります。 垂直に保持して、安定しているように見せかけているだけです。
「通過点を早く通過しています」 と云われる乳児では、身体の構造の準備が遅れていると推測出来ます。
確認して欲しい事−2
“肘支持” の獲得は三ヶ月頃とされています。 “手支持” は六ヶ月頃とされています。 “肘支持” から “手支持”迄の三ヶ月間に寝返りも可能となります。 両手を自由に操れるまで に安定した肘支持姿勢が完成します。 [一歳までの発達] コーナーの四ヶ月頃の説明を参照してください。
“手支持” の後には四つ這いの獲得と、四つ這いが巧くなることも大切です。
各通過点を充分な期間を経験して超えてゆく必要があります。
「通過点を早く通過しています」 と云われる乳児では、この様な条件が満たされずに進んできた可能性が考えられます。
この HP では、『確実に通過点を獲得するのが良き育児』 と説明しています。
充分な時間を要し、各通過点をユックリと通過させて、各姿勢を成熟させるのが “良き育児” と勧めています。
どの時期から発達が早まっているか、どの通過点が足りなかったか、を確認されて [事例−4] を参考に再スタート時期を判断してください。
改善の方策も他の事例を参考にしてください。
このコーナーの全てを読まれると不安も小さくなり、改善点・努力目標も判るでしょう。
しかし、今までの検診に不安が残る保護者、不安が解消出来なかった保護者には、セカンド・オピニオンを求めて専門医療機関の受診を勧めます。
運動発達について信頼できる検診を望まれるなら、運動発達専門医療機関を受診してください。
運動発達専門医療機関については C 粗大運動の説明 K 運動発達専門医療機関 を選んで、説明を読んでください。
このコーナーの目次
紹介した事例と不安が一致した方は、まとめ のコーナーに進んでください。 → まとめ
この事例が合わない場合には、次の紹介例から選んでください。
@ 症例−1 反り返りが強い A 症例−2 肘支持が遅れている B 症例−3 お座りが出来ない C 症例−4 手支持が出来ない・四つ這いが遅れている D 症例−5 通過点を飛ばした発達をしている E 症例−6 通過点を速く通過している F 発達遅れに共通する原因
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