【 乳幼児の運動発達 4】 手の機能発達 微細運動・巧緻運動の発達  04

   C 自然な ‘摘み運動’   “ ピンチ ”   (23)

ヒトの ‘摘む’ は指の先端だけで物をつかむ運動です。

5ヶ月頃には “握る” から “摘む” に進み、親指と他の四指  (一体として作用する) で挟みます。

“摘む” に進むと、初期には、親指、人差し指、中指の三指を使って物をつつまみます。 平均で 7〜8ヶ月頃です。 (Cb)

成熟すると、ヒトの ‘摘む’ は親指の先端と人差し指の先端で挟む運動にすすみます。  平均で 10〜12ヶ月頃です。 (D)

“握る” の説明で行った実験に続いて、もう一つの実験をしてください。 今回も無意識・無我の状態で実行してください。

「親指と人差し指で ‘摘み’ 運動をゆっくりと実行してください」  この指示を受けて実行すると大半の人は 下図 の状態になります。  

指示を受けて目的意識が明確にされると可能になります。 未成熟と成熟の差は 無意識←→意識 で運動に反映しています。

この時の親指と人差し指の運動量を観察してください。

指の運動量 (移動量) は 5:5 〜 7:3  の比率で人差し指の移動が多いのが判るでしょう。

更に、人差し指を動かさない (固定) ようにして親指を人差し指に近づけるには不自然を感じるでしょう。 親指側の手関節の近くでも運動が起こっています。

ゆっくりと D の運動を実行してください。 この時も人差し指の運動が大きいことが判るはずです。

自然な ‘摘み’ 運動では人差し指の運動が優先されている事を知ってください。

C から D への成熟はヒトに特有ですが、努力も加わって成熟し繊細な作業が可能になります。

“ ピンチ ” と呼ばれるつまみです。

「握ってください @」 と 「摘んでください A」 を実行する時、どちらが自然に実行出来ますか。  僅かな・微妙な違いですが、@ は自然に A は少し意識が働いている違いを感じるでしょう。 @→A  へは ‘努力’ も関係した証拠です。

現代の若者は ‘摘む’ が未熟です。 無意識 (自然体) での握り運動を指示すると図-E になります。

親指が人差し指の中央部に届きます。 携帯電話の持ち方、ペンを持つ時の持ち方です。

変なペンの持ち方、下手な持ち方の原因です。

 

 

運動発達の原則として、機能の成熟は “頭側から尾側へ”・“中心から末端へ”・“尺側からトウ側へ” 進みます。

“握る” は手のひら ( 手掌 ) と指の運動です。  “つまむ” は指先に限られた運動です。 原則に従って、機能の成熟が完成した証拠です。

手指の機能発達の説明 目次      D に進んでください。

 @ “握り” の発達と成熟    A 手の機能開発 1 腕の屈 伸と手の開閉    B 手の機能開発 2 ‘摘む’ 機能   

 C 自然な ‘摘み運動’    D ‘ねじる’運動も重要    E 手・手指の機能を成熟させる努力

   上の解説を実践する方法は [ 育児で活用できるアイデア ] で説明しています。

 

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