【 乳幼児の運動発達 4】 手の機能発達 微細運動・巧緻運動の発達  

      B 運動発達  手の機能開発 2 ‘握る’ 機能 から ‘つまむ’へ   (22)

原始的な  “握る”  は出生前からヒトに備わった機能です。

出生直後の新生児は手は堅く握った状態です。

保護者が新生児の手を開き棒を入れれば、握った状態となります。

月齢を重ねるに連れて、手の握りは緩みます。 意志に拠って手の開閉 (握り  開き) をコントロール出来るように成長します。

ヒトに必要な機能として “つまむ・摘み” の獲得が必要です。

図で説明しましょう。 Aa Ab は “握り” の状態です。 ここから “摘み” への成長に進みます。

誕生時に持っていた原始的な “握り” は消え、本人の意志で行う “握る” (B) は硬さが取れた緩やかな状態です。 新生時期では ‘堅くにぎっている’ と表現出来ますが、六ヶ月頃では ‘ゆるく握っている’ と云えます。

B では親指の先端部は人差し指の側面で、関節Aから関節Cの間で接しています。  小さな物を摘むためには不都合な状態です。

C では親指の先端は人差し指の側面に接しています。  摘み” が獲得出来た状態です。

この段階は ‘摘み’ と云えますが未熟な段階です。 平均して9ヶ月頃に可能となります。

成熟した ‘摘む’ は親指と人差し指の先端が接触する状態になります。 (右の図 D)

C から D へはゆっくりと進みますが、より高度な成熟には指導と訓練が必要です。

簡単な実験で体験してください。 目を閉じて無我の状態になって軽く手を握ってください。 目を明けて確認すると B の状態のはずです。

ヒトの自然な ‘握り’ は B と考えてください。  上の実験で A を行っても、その結果は問題の受け止め方の相違です。  大きな問題ではありません。

次の実験です。 小さな物を摘む状態を見せてください。

親指と人差し指は C か D の状態でしょう。 “摘み” です。 小細工の上手な人は D に近づいているでしょう。

結論を言えば、ヒトは自然に C の状態までは自然に進めるのです。 しかし、進行のスピードは育児法に影響されることがあります。

ヒトの当然 (自然に) の到達点までの獲得は進みますが、より巧緻な段階へは指導・訓練が必要となります。

手の巧緻・器用・上手にエンピツを持てる・上手に箸が扱える為には C の状態から Dに成熟している必要があります。

子供にエンピツを持たせて正しく持てる子は D の状態でエンピツを持ちます。 間違っている子は C の状態でエンピツを持ちます。

ヒトの持つ機能は全員が同等に得られるものと理解されているでしょう。 しかし個人の習熟で完成される機能もあります。

努力・習熟無くして同等に得られない機能もあることを知ってください。

手指の機能発達の説明 目次      C に進んでください。

 @ “握り” の発達と成熟    A 手の機能開発 1 腕の屈 伸と手の開閉    B 手の機能開発 2 ‘摘む’ 機能   

 C 自然な ‘摘み運動’    D ‘ねじる’運動も重要    E 手・手指の機能を成熟させる努力

   上の解説を実践する方法は [ 育児で活用できるアイデア ] で説明しています。

 

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