いざり這い シャッフル・ベービー Shuffle の評価
最初に、“いざり這い”・“シャッフル・ベービー” の用語を説明しておきます。
いざり這いとは、お座りの姿勢で下肢を動かすだけで前進する移動です。
シャッフルとは、お座りの姿勢から、脇の下を抱えて体を持ちあげると、両方の脚を前方につきだして腰は直角に曲げた姿勢のままで、空中に上がってきます。
この様な症状を示す乳児を “シャッフル・ベービー” と呼びます。
注 “シャッフル”、 “シャフリング”、 “シャッフル・ベビー” 等の用語が出てきますが、全てを同じとして読んでください。 この子達の移動がいざり這いです。
この項では “いざり這い”・“シャッフル” の評価を探ります。
ネット上で 「ずり這いは病気
(異常でない)」 ・ 「シャフリングは病気でない」 と主張される著明小児科医の説明に注目しました。共通して 『発達のひとつの型なので治療も心配も必要ありません』 ・ 『個人差として受け止めればよい』 と説明されています。
加えて 『歩行開始は標準より遅れ、2歳になってやっと歩けることもあります。 言葉の発達も遅れることがあります。 その後には、発達の障害は残りません。』・『精神遅滞、脳性まひ、ミオパチーなどの病気と区別することが必要ですので、専門家に経過を診てもらうようにしてください 。』 との説明も添えられています。
この
HP でも “ずり這い” ・ “シャフリング” を異常・病気とは考えませんが、標準の運動発達コースからは外れていると考えます。 保護者には補正する努力をして欲しいと説明しています。
紹介した著明小児科医も運動発達の遅れを伴うと説明されています。 言葉の後れも伴うと説明されています。 保護者の皆さんは “ずり這い”・“シャフリング” の気配を感じた時にこの説明のコースを選ばれますか。 少しの努力を加えて標準のコースを進んで欲しいと望まれますか。
著明小児科医の説明は “ずり這い” ・ “シャフリング” のコースを進む乳児を持って心配される保護者へのイタワリのある説明です。
子供の健康・相談室に同様の相談が寄せられた時、 “ずり這い” ・ “シャフリング” の経過時間が長い場合には、『殆どの場合に治療が必要となる心配はありませんが、念のために専門医療機関の受診は済ませてください。』 と不安をあおらないコメントを書きます。 経過時間が少ない場合には改良を促します。
この
HP ではイタワリの気持ちも持ちますが、解消して標準のコースを進ませて欲しいと願って説明しています。どちらの意見を採用されるかは、皆さんに任せます。
“ずり這い”・“シャフリング” をする乳児の共通として、「うつ伏せをとても嫌い、寝返りをほとんどしません。」 とも著明小児科医は指摘されています。
この説明からも標準の発達コースを進んでいない事が判ります。 四つ這いの変形として、小さな問題でないことが判ります。
生後2〜3ヶ月頃からの育児法との関連がうたがわれます。
乳児初期からお座りを強制されて、身についた結果が関連しています。
HP・子供の健康では受動のお座り (強制された) と自動のお座り (自発的な) を区別しています。
受動のお座りは関連する姿勢と身体構造 (筋肉・靱帯) の準備が出来ていない時に、保護者からお座りをさせられる状況です。
自動のお座りは四つ這いの次に出来る姿勢です。 お座りを安定して保つ身体構造も完成しています。
受動のお座りを長く経験すると、両方の脚を前方につきだして腰は直角に曲げた姿勢で固まります。 これがシャッフルと呼ばれる状態です。
移動に際しても、この姿勢を解くことが難しいのでいざり這いが余儀なくなります。
誕生後の早い時期からうつ伏せで保育する時間を多くし、お座りを強制しない育児を進めて、シャッフルを防いで欲しいと願います。