【医者の主張】   ホームペー ジTop へ    患者の意見    このHPの主張・論壇

 このペ−ジは医者の意見を掲載します。その内容は治療のための情報、医療に関する意見、患者への意見等如何なるものも掲載します。投稿されたものも掲載します。編集に集まった者も個人の資格で投稿します。

 HP子供の健康で過去に掲載した話題も残しています。 最近にも通じると考えて残しています。 一部については、現状に置き換えてください。

20 真実と現実    2007/05/01 
医師の学会で話される事と診察室の方針の違いを書きます。

「カゼに抗生物質は必要ない」 は学会・医師同士の話しでは共通の話題で、大きな反対意見は語られません。

今年の小児科学会・タミフルについての討論会に出席しました。 この場では 「インフルエンザの治療に、患児の全員にタミフルを投与する必要はない」 が多くの小児科医から聞かれました。

異常行動をタミフルの副作用とは考えないと主張される小児科医も上の意見を主張されます。

「タミフルが効いたとの印象はある」 との意見も聞きました。 

しかし診察室では大半のインフルエンザ患児にタミフルが投与されています。

主張と行動のおおきな違い・落差はなぜでしょうか。

一人一人の病気の状態は異なります。 必要な治療法に差違があるのは当然ですが、違いが大きすぎます。

タミフルの効果を肯定される主張は  ‘・・・と感じる’ ・ ‘・・・の印象はある’ と主観的な意見です。  科学的なデータを語られていません。

副作用を認めない主張に ‘因果関係は無い’  とする確定的な意見も聞かれません。

ここでは理由・原因には言及しません。 皆さんの想像に任せます。 

19  時間外診療の診療内容について     2007/01/01
大都市に設置された救急医療を本来の業務とする医療機関 (一例として、救命救急センター) 以外は不完全な体制で診療が行われています。

夜間の検査態勢は不完全です。 血液検査を実施する検査技師・レントゲン技師の夜間常駐も期待できません。 大都市大規模総合病院では最小限の検査技師・レントゲン技師は当直しています。

通常の病院では検査技師を当直させられる財政的余裕はありません。

小児を対象として夜間救急体制の不備が叫ばれています。 都市圏で夜間救急の受診経験を持たれる保護者は満足を語られますが、内実は知らないでしょう。

内科系一名の当直体制で小児科医が勤務している保証はありません。 入院患者の急変に備えた配置です。 検査態勢もゼロに近い状態です。 非常に手薄な体制で診療が行われているのが現実です。 

外来時間外診療の守備範囲は“通常の診療時間内医療の補完” であることを知ってください。 時間内の診療体制の継続ではありません。

診療時間内から、あるいは数日前から症状が始まっていたのに、夜間になって心配となり受診されるのは間違った判断です。

此処に書いた意見は、懸命に救急医療を担当される小児科医には失礼な意見とも受け取れるでしょう。 医師の力量を問うのでなく、診療体制の不備を指摘する意見です。 保護者には安易な時間外受診を少なくして夜間勤務される医師の負担を少なくすべきとの意見です。

一般の職種で通常の労働時間をはずれて勤務する場合は週の労働時間制限は守られています。
 
医師の場合には通常の勤務時間にプラスして当直勤務が科せられ、代休等の時間軽減はありません。 当直以外の時間外診療(5時以降の) も日常に多発しています。

時間外診療では通常の診療時間と同等の医療は提供できません。
数日間状態を観察しての時間外受診、日中経過を観察しての夜間受診を控える努力も必要と望みます。

Q は以前に書いた意見です。 この現実は何ら解消される事無く、小児救急の必要性だけが叫ばれています。 再読してください。

18 小児救急と勤務医の現状を知って下さい。   03/07/01

皆さんは小児科勤務医の生活実態をご存じでしょうか。
比較的に労働条件も恵まれた施設から、週休二日が実行されない施設まで幅広くあります。 平均的と考えられる状況を説明しましょう。
勤務医の労働状況は労基法の対象外かと疑われます。

結論を先に書いておきます。 総合病院では当直勤務を必要とした医師数は確保されていません。 奉仕を期待した人数です。現行の医師数では外来救急を閉鎖するしかありません。

一日の労働時間は一応8時間で終わるように診療時間 (外来の診察時間と入院患者の治療時間) は決められていますが、入院患者の病状では勤務の終了を5時とは決められません。
当直の日に当たれば、夕方の5時から翌朝の9時までが当直勤務となります。
当直あけの日にも9時から5時までの通常勤務ははずせません。
32時間の連続勤務となります。

当直勤務は仮眠が許されますが、この間に入院患者の診察・処置が可成りの仕事量として残ります。
此に加えて外来救急患者の診察・治療も加わります。

救急を受け付けていない病院でも、日中に診察した患者の急変、慢性疾患で治療中の患者の急変は受け付けなくてはなりません。

仮眠が可能と言っても疲れを取れるほどの仮眠は出来ません。 翌日の診療は平生と同様に果たさなくてはなりません。
当直業務以外に受け持ち患児の重症が有れば、保護者の希望に合わせて休日にも病院に駆けつける医師が多くおります。

以前に過労死した青年医師がおられましたが、多くの勤務医は同様の勤務状態を続けています。

規模の小さい総合病院では当直医は内科系一名と外科系一名で夜間の診療に当たります。 小児科・内科・神経科等の内科系全般の夜間を守ります。
内科医が当直の夜でも小児科に重症患者がおれば、内科医に診察を任すことも出来ずに臨時の夜間勤務が必要になります。
他の職種でサービス残業が問題にされていますが、医師もサービス残業が日常化しています。

小児科救急の必要が叫ばれています。
現在、夜間の小児救急を受け入れている施設でも、夜間の診療が日勤の延長として実施されているのが大半です。

看護師の勤務状況の如くに一日8時間の三交代勤務にされている施設は皆無です。(全国に一、二施設は有るかもしれませんが・・・。)

小児救急を利用された保護者、一般の保護者でこの実情を知る人は何人居られるでしょう。 医師側から「緊急を要さない救急患者が多い」との意見がしばしば発せられます。 保護者側からは 「緊急度の判断は出来ない。受診して安心を得たい」 との反論があります。

保護者の意見は当然ですが、現状の勤務態勢では夜間の受診を減らせて貰わないと対処できない事実も知ってください。
保護者の希望を叶えるには医師の三交代勤務体勢が必要となります。
少し譲って、仮眠を可能としての夜間勤務 (夕5時から翌朝9時まで)  を一勤務として設定できる二交代労働体勢 が実現するまで責任を果たした救急医療は不可能です。

現在、小児科が一名勤務医の体勢で運営されている施設は全国に多数有ります。  この状況では小児救急は不可能です。
医師の仕事内容と緊張度を考慮すると、医師の夜間勤務は一週に二回は不可能です。

子供の夜間救急を小児科医が担当する体制を組む為には、試算すれば病院の規模とは別に一施設7名の小児科医が必要とります。

規模が大きく現行で6名以上の小児科医で運営されている施設なら五割の増員で対処出来るでしょう。

全国的に小児科の閉鎖・小児科の縮小・小児科医の減員が ‘制度改革・経費節減’ のかけ声の元で強行される現状は小児科救急整備に逆行する施策と云わざるをえません。  不備な現状も破壊する施策と考えます。

17 説明は診察医から聞いてください。    03/06/01
この HP の相談室を安易に利用しないでくださいと書いています。

‘些細な問題の相談’  を断っているように誤解されての意見を受けとる事がありました。

HP に書いています真意は ‘安易に利用しないでください’,‘便利屋としての利用は断ります’ です。

質問内容の重要度を云っているのではありません。

「診察を受けた先生に聞けなかった」,「掛かり付けの先生は忙しそうで聞けなかった」 と前置きしての相談が寄せられます。 これは主治医に聞いてください。 主治医に話しかける努力も必要です。 

説明をしない医者が非難されています。一方で質問をしない患者・保護者もおかしいと考えます。

診察室で検査を受け薬をもらえることで診察が終わったと勘違いしているのではありませんか。

自宅に帰って不安になるのは保護者にも間違いがあったと考えます。

この様な小さな間違いは、再度受診して説明を受ける努力が必要でしょう。

16 医療機関の説明を正確に    03/04/01
皆さんの会話を聞きますと医療機関の説明が不正確です。誤った会話です。

「子供が熱を出したので、病院に行きました」 との話を聞きます。大半は 「〇〇医院に行きました」 が正しい内容でしょう。

上の‘病院’には全ての医療機関が含まれるようです。

‘総合病院’・‘診療所’・‘医院’ の全てを 「病院」 と云われているようです。

“〇〇病院” と標榜していても、実態は、主な対象が内科 あるいは 外科患者 の場合もあります。

医療機関関係者はこれらの医療機関の役割は異なると考えています。

診療方針も異なります。

皆さんも医療機関は違う役割を持つことを知ってください。

受診に際しても区分を知って受ける必要を感じてください。

過去に受診された医療機関を知ることは重要な情報です。

医師に、以前の治療経過を説明する時は正確に伝える習慣をつけてください。診察室なら確認をして誤りがないように注意は出来ます。

医療内容を厳密に評価する為にも、日常の会話から直してください。

15  「医療判断医」   03/02/14
先日、新聞のコラムに「医療判断医」 と云う言葉を見つけました。

筆者が医師の役割として、患者さんが最善の医療を選べるよう支援するのを役目にしていると書かれた一節です。(朝日新聞 030208 朝刊 カルテの余白 寺下謙三)

皆さんは治療を任せる医師の選任に困っておられるようです。

治療法の選択を問われた時にも決断できないで困っておられます。

第二・第三の治療法が説明された時、「選んで下さい」と問われても決断は出来ないようです。

この様な時も含めて、セカンドオピニオンの活用が勧められています。

セカンドオピニオンを聞いても、最後の決断は患者・保護者が決めなくてはなりません。

セカンドオピニオンの必要は否定しませんが、選択肢の羅列だけでは決断出来ないでしょう。

この様な時に必要なのは「医療判断医」と思います。

治療法を羅列した医師とは異なる立場から、選択のアドバイスが必要です。

このHPではホームドクターの選任を勧めています。

このホームドクターには「医療判断医」としての仕事も期待して下さい。

急病の治療にだけ受診するなら信頼は生まれません。

日頃から患者の環境を知る医師のアドバイスは役立つはずです。

「医療判断医」は信頼できる患者・保護者の前にしか現れません。

信頼されていない患者・保護者に判断を助けるアドバイスは出来ません。

14 小児科医の不足    02/11/16
現在、小児科の救急医療が問題になっています。

根底に小児科医の不足が指摘されています。

小児科医の不足は時間外救急だけでなく、日中の小児医療にも影響が現れています。

“小児の医療は待ったなしでキツイ”・“医療費の面で小児医療は冷遇されている”等々の原因から、医学生に好まれないとの解説もされています。

上に書いた二点以外に、小児科医の嘆きがあります。

昼には内科医の診察を受けながら、夜間・休日には小児科専門医の診察を受けたいと保護者は望まれます。

昼間の患者は内科医院にとられ、夜間のキツイ仕事を押しつけられる小児科医は嘆きたくなります。

小児科医を増やすために、昼間も子供は小児科医に任せるとの協力も必要と考えています。

地方に設けられた公的総合病院の小児科医に欠員が出ています。

患者の減少と採算悪化 (小児医療費が成人に比べて低いため) を理由に閉鎖が各地で計画されています。

医療過疎地帯に住まれる家庭では、子供の病気を小児科医に見せたくとも不可能です。

都会地域に住まれる保護者には『子供は小児科へ』を強く望みます。

医学生に小児科医への夢を持たせるには、これらの現状が改善されるべきです。

小児科医を増やすには、医療を受ける側にも理解と協力が望まれます。

過疎地の保護者にも理想を声に出して要望されるように望みます。
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医療は開業医療機関と総合病院が車の両輪となって進められます。
今回は開業医療機関からの意見です。
小児救急には一次機関として開業医療機関の参加が望まれています。
上に問題提起した要件が現実のネックです。

13 小児救急について    01/10/01

今,朝日新聞で 《小児救急SOS》 として読者の意見が掲載されています。

9/13 には小児科医の意見として 『かかりつけ医を日頃から決めておけば時間外の事態にも,家庭で出来る看護法が指導され困られる事態は少なくできる。必要なら診察をします。』 と発言されていました。

翌週には保護者から 『夜間の診察依頼は簡単に拒否される。』 との反論がありました。 これも現実として認めます。

開業医個々では一年365日全日の対応は出来ませんが,小児の急変は夜間にも有ることを知っている小児科医は残っています。

“ホームドクター” と “かかりつけ医” の混同もあるようです。

保護者から “ホームドクター” と評価されていると知れば相談を簡単には断れないはずです。

時間外の診察については保護者も再考してください。

保護者の不安も理解できますが,自宅で対処でき・翌日まで待てる病変での受診が多いのも医療担当者は経験しています。

総合病院の夜間態勢では小児科医が待機していないのも多数で,適切な小児救急が機能していない現実があります。

時間外の急変については, 《症状を伝えて指導を求める》 から始めてください。

自宅での看護で十分と判断されれば方法を指導されます。

医師は電話の診察依頼に 『翌朝まで様子を看てください』 と発言する時には責任も感じて重要な判断をしているのです。

直ぐの診察が必要とされる場合には診察もされるでしょう。

時間内に診察した患児からの連絡で病院施設での対応が必要な段階に進行したとの判断があれば病院受診を奨めることもあります。

医療機関では,時間内と同様に患者希望に沿った 100% の受診機会は用意されていないことを承知してください。

〈時間外には電話を取らない〉・〈夜間の連絡電話を教えない〉 医療機関は “ゆきつけ” に出来ても,“ホームドクター” には出来ないとの考えも必要です。

これ位の厳しい選択眼も必要です。

理想の追求は難しい問題です。 しかし,“かかりつけ医” に困った事態を翌朝にも訴える事をしなければ,現状維持に繋がります。

“かかりつけ医” を “ホームドクター” に変革させられるのは保護者パワーしかないでしょう。 

【家庭医学】 の欄に掲載しています “ホームドクター” と “かかりつけ医” の違い  も参照してください。

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ここに書きました内容は,本来は医者・医療従事者に向けるべきでしょう。 しかし患者サイドで医療機関を選ばれる時にここまで考えておられないようです。

『要求が無ければ対応も必要ない』 で済まされてしまいます。

患者側からの要求の声が小さいなら,医者側も深く考えずに業務を続けられます。

12 育児の初歩は保護者もマナーを       2001/07/01

相談室から多数の回答を送りました。 回答に対しての返信は三割です。 謝辞を頂く場合と反論を寄せられる場合もあります。 反論はこれからの対処に大変有効と感謝しております。

返信のないものの大多数は捨てられたものでしょう。  アドバイスに賛成出来ない時には反論を寄せてください。

インターネット上の相談にも礼儀を求めるのは間違いでしょうか。

医療不信・医者不信がしばしば話題になります。

この様な礼儀を守るのは育児の第一歩と考えます。

医者との信頼関係が作れない原因に保護者のこの様な姿勢もあるように考えます。

育児の中に社会のルール・マナーを教えることも当然に含まれます。

保護者が礼節を守れなくて,育児は不十分と考えます。

子供の健康を熱心に願っての相談なら,アドバイスには受け取りの確認程度の謝辞は当然と考えます。

11 主治医への質問は遠慮なくしてください。     2001/02/01

相談室には当然病気の説明・治療法も質問として寄せられます。

しかし,その大半は主治医に聞かれるのが妥当と考えるものです。

病気の原因に遺伝的要因があるのか,難治性の病気ですかと言った相談には面談なくしては答えられません。

受けられている治療が正しいか否かの相談もあります。 治療の評価は診察・検査結果を知って可能になります。

“主治医の先生が忙しそうなので充分聞けませんでした。”と言って相談を寄せられますが,このような配慮はいりません。

“主治医の先生が忙しそうなので,看護婦さんから聞きましたが間違いありませんか”と言った相談もありますが,看護婦を困らせる行為です。

病気の説明は積極的に尋ねてください。

付け加えれば,健康保険の医療費には説明する行為も含めて支払われています。

10 保健婦からのメッセージ       2000/07/16

良く知る保健婦さんから手紙を頂きました。

『永年,保健婦として乳幼児の保健指導をする中で,若いお母さんの育児の悩みの相談にものってきました。 子供が健康である限り,子供の家庭と保健所の接点は三才前後でとぎれてゆきます。

自分の娘は高校生になりました。もう親から離れ、うるさいことは聞きたくなく、家より友人と過ごすことが何より、「お母さん」と声がかかるのは、「○○でお金いる、ちょうだい・・・」の時だけです。 大きく脱線はしませんので安心はしています。 それでも時々はもう少し伝えて置きたいと思うこともあります。

ここまで育った我が子を見て,自立を喜ぶ一方で,躾は小学校に入るまでと最近つくづく思います。

今年の子供の日は何となく気の重い一日でした。 (編集者・少年の事件の有った日です。)  社会現象と決めつける前に,子供と保護者の接点について考える一日でした。

20年も保健婦して来ましたが、子供を産むということがどういう責任を負うことになるのかを,きちんと伝えられたかと振り返っています。

これからは乳幼児を持つ家庭との接点を長く持って,次世代での修復を課題に仕事をしようと思う毎日です。』

追加  HP 編集者も同意見です。 躾は幼児期までが大切な時期です。 社会現象と云われる少年事件についても 育児・躾・家庭 の関連に目を向けるべきと主張します。

9 受診の必要性は電話では判断出来ません   2000/05/03

診療所に「〇〇〇の様な症状があります。治療を受けた方が良いですか。」と云った電話がよくあります。

保護者の方は‘診察’と‘治療’を同一と考えているようです。

治療が必要か否かの判断は診察をしないと出来ません。

診察の必要があるか否かの判断もその場にいない医者には的確には出来ません。 ‘営利’ を考えるなら “ 診察に来てください。” と返事すれば解決です。 患者はそのようなことは考えていないでしょう。

相談の大半は治療が必要か否かの判断を期待してのことでしょう。 しかし,・・・

診察が必要か否かは患者・保護者で判断してください。

治療が必要か否かは医者が真剣に判断して説明します。 治療の必要がないと説明された時,ムダな診察を受けたと考えないでください。

健康管理には必要な事であったと受け取ってください。次に同じような状況の時の判断には活用できるでしょう。

相談室にも同様の相談があります。 この様な相談は回答出来ない時もあります。

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上段の 小児救急について で書いています 電話依頼 とは異なる問題です。

時間外との制約での問題です。

日頃に診察している子供について,ホームドクターは “緊急性に限って判断する” との意味です。

8 繰り返して受診を     2000/04/16

急性の病気で小児科を受診して三,四日分の薬を貰うと次の受診は薬が無くなってからと考える人が多いようです。

勿論,症状が改善する方に進み心配も無くなればそれで十分でしょう。

しかし,新たな症状が現れたり,薬を飲ませても快方に向かはないのに再度の受診を急がない人が多いようです。

医者も薬を渡す時に,その日数の間は完全に安心できるとは考えておりません。

症状の変化・新しい状況・快方に向かわない時は当然連絡なり,再度の受診はしてもらえるものと考えています。

薬をませていながら良くならない,薬が残っているがどうしたらよいのか,と言った相談が寄せられます。

心配な状態が続くなら同じ日に二回目の受診もしてください。 薬の変更・追加がないと無駄のように考えられますが,不安な夜を過ごすより健康的です。

7 セカンドオピニオンの意議を誤解しないでください。   2000/03/01

小児科医をしていて経験した話です。

発達の異常を疑う所見を見つけることが時々あります。 中には長期にわたって治療が必要となり、家族にとっては信じたくない病気の疑いを話さなくてはならないことがあります。

例えば、‘運動発達が遅れているようだから専門の治療施設での診察を受けて欲しい’、‘言動に落ち着きが無く情緒不安定が心配だから専門医の診察を受けることが必要でしょう’と伝えます。

診断を信じたくない気持ちを持たれる心情は想像できます。

その気持ちを抑えきれずに、他の小児科医の診断を受けに行かれます。

そこで、意に添う診断を受けるとそこに従われます。

こちらの診断が誤りであれば、本人にも家族にも喜ばしい結果です。

しかし、第二の診断が誤りで早期の治療の開始が遅れることもあります。

最近、セカンドオピニオン (他医の診断も受けて誤りをなくそうとする奨め) の必要が主張されています。

先の例はこの運動と同一ではありませんが、患者は自分の意に添う意見を強く望まれるようです。

セカンドオピニオンを求められる時は、診療分野を狭めている専門医、限られた分野を詳しく知る専門医の意見を求めてください。

6 抗インフルエンザウイルス剤の発売   2000/02/01 

今冬にもインフルエンザは流行しております。 マスコミから昨年に続き新しい抗インフルエンザイルス剤が発売されたとのNews を知られた人は多いと思います。

しかしこれらの薬剤には “小児等に対する安全性は確立していない (国内での使用経験がない)。” と使用説明書に記載されています。

勿論、成人に投与した時の副作用についても記載されています。

マスコミNews から画期的なインフルエンザ治療薬が開発されたような印象を持たれたと思いますが、日常の罹患時に簡単に使用できる薬剤ではありません。

現在、治療として使用されているのは痙攣が起こったような重篤な状態が始まる場合です。

実験としてインフルエンザの罹患が判明した時点での使用が始められていますが、説明書から危険を示唆するコメントが除外される段階にはなっていません。

インフルエンザに罹ったと判断されての受診で、このような薬剤が使用されない事に不審を感じられる人が居られます。

まだ使用できる時点では無いことを理解してください。

【くすりの話】 の欄も参照してください。

5 『薬の副作用』 について   編集者から     2000/01/16

今回のホームページでは、漢方薬 (小柴胡湯)  解熱剤 (ポンタール・ボルタレン) の副作用についての厚生省の勧告・指針を掲載しています。

血液製剤等での厚生省のあり方については国民から大きな批判を受けました。 “厚生省を全て信頼出来ない” と考える人の多いことも承知しますが、今回の薬剤の副作用に関する方針は追認しても良いと考えます。

日本の医学界では、薬剤の副作用認定には慎重な姿勢をとり、新しい薬剤の導入には積極的な姿勢をとる流れを感じます。患者の健康の為には逆の流れと考えます。

学会内部では副作用を指摘する報告・指摘には根強い反論が出されます。 討論は十分に必要ですが、危険を知らせる情報は積極的に取り入れる事を優先して欲しいものです。

医療の現場でも副作用については消極的な捉え方です。

当面は、医療を受ける側の関心を強くしてください。 これがこのページを作成する者の主張です。

4 “のどが腫れています”   99/11/16

よく医者は「のどが腫れています。」と話しています。 私は長年小児科医ですが、のどが腫れたことを確認出来ませんでした。 ここで‘のど’は扁桃腺を意味しています。

‘のどが腫れる’と‘扁桃の肥大’とは全く別のことです。 医学書でなく、国語事典では全く別の意味で解説しています。 腫れるとは急性の炎症で皮膚・粘膜がふくれること、肥大とは長い期間で大きくなっていることと説明されています。

‘腫れる’と言う現象は毎日の状態を確認・記憶できて判断できることです。 扁桃腺やその近くの部位の炎症で風邪と考え受診していますから、扁桃腺も炎症の状態には違いありません。

日頃よく診察している子供でも、扁桃腺のサイズを正確に記憶していることはありません。 正常の粘膜の赤さと炎症を起こしている時の赤さの違いは判断できても、僅かにふくれた状態を確信出来る眼力は持ち合わせておりません。

しかし高熱の時に「のどは腫れていますか」に「扁桃腺が腫れています」の会話は信用されても、「扁桃腺は腫れていますか」に「扁桃腺は腫れていません」か「それは判断できません」と返答すると医者は信用されません。

くどくどと書きましたが指摘したいことは、診察室では非科学的な会話が重宝されていることを説明したいのです。 似たような事例は多くあります。医者は難しく説明すると信用され、簡単に説明すると(安易な用語の意味ではありません)信用されません。

大きな医療訴訟で充分な説明の有無が問題になりますが、充分な説明とか正確な説明には当たらない会話が日常の診察室にはあることを医者も患者も見直す時期になったと考えます。

3 解熱剤の使用について考えてください  編集者からの提言   99/10/16

医療機関で渡す薬は医者が治療に必要と判断し、個々の患者に副作用も少なく最適な薬剤と認めて処方しています。 大半の薬は飲む時間、飲み方、飲む期間を決めて渡します。

しかし一部の薬剤は使用法を説明して一回一回の使用の判断を患者にゆだねているものもあります。

小児科の場合、解熱剤がこれに相当します。 使用する薬剤は医者が選択していますが、使用についての大まかな指導はあっても個々の判断は保護者にまかされています。

このホ−ムペ−ジでは解熱剤の使用に厳格な判断を求めています。 医者への提言としてでなく、患者・保護者への提言としております。

日本の医療の‘薬漬け’が批判されてずいぶんの時間がたちました。

解熱剤が本当に必要な薬なのか、その時に解熱剤を使用すべきか、自分で判断する機会にしてください。

判断に必要な情報はペ−ジに掲載しております。

‘薬漬け’を医者の姿勢と批判するだけでなく、患者側にも薬に頼る姿勢が無かったかを自問自答してください。

2 飲んでいる薬は知らせて下さい。 99/06/01

複数の医療機関で同時に治療をしている時には病気が違っても教えて下さい。違う科で治療を受けていて、もらう薬が違うように思っても効能が同じのものもあります。食品の食べ合わせのように、一つの薬としては副作用が現れないのに他の薬と体内で混合されて副作用が現れたり、一つの薬の効果が増大して悪影響をもたらすことがあります。医者に薬品名を書いて貰って両方の医者に服用している薬は伝えて下さい。

漢方薬、民間薬は医院でもらう薬と全く異なるものとして飲まれていますが、この種の薬は医療機関でよく使われる薬より多くの効能をもつものが多いのです。だから重複しての副作用、悪影響も多くなります。

医院でもらう薬、漢方薬、民間薬は全てに情報公開が必要です。勿論、薬局で購入し飲んでいる薬も教えて下さい。  

1 『薬の使用は慎重に』 誰に云っているのですか。     99/05/01

先日、新聞の報道でアトピ−性皮膚炎の治療に “ステロイドの使用は慎重に” とありました。 内容は厚生省に委託された委員会でこの病気の治療のガイドを検討している記事でした。

医療機関で使用する薬には必ず使用時の注意事項が添付書として配布されます。 副作用の解説とともに ‘この薬は妊婦、小児にたいしては安全性の証明が充分になされていないので、使用にさいしては慎重に検討すること’ と書き加えられています。 全てを調べたわけではありませんが、この一文が書かれていない薬に出会ったことはありません。 逆に言えば小児に安全が保障された薬剤は存在しないことでもあります。

小児科医は泣き言は云いません。 この一項を無視 (?) して必要と判断する薬を渡しています。 渡すことでの責任は当然医者に問われるでしょう。

一方で薬に頼る風潮が患者側にあることも事実です。 薬を少なくする指導は医者に任される事ですが、強く指導すると医者を代えて薬を貰っていることも経験しています。 薬を少なくすると医者は嫌われます。

“慎重に” とは誰に向けた指導なのでしょうか 。医者だけが受ける提言でしょうか。

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