新型インフルで知ってほしい情報  安心出来る情報 10/02              ss_new_inful_03

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 五月初旬には物々しい空港の検疫風景がTV画面に映され、新聞紙面では「本日の確認数○○」・ ‘発熱外来の混乱’ が報じられました。

 混迷・混乱をうけて、厚労省からは  『不安を解消して冷静な行動をして欲しい』  と伝えられました。

 残念ながら不安を解消する  “安心の根拠”  は示されませんでした。

 日本感染症学会からは緊急提言として安心材料が提供されています。 新聞紙面にも安心材料が取り上げられています。

 これらを短く解説しましょう。

 現在、専門家は弱毒型と説明しています。 病状が軽微に終わるとの意味ではありませんが、治療は可能で大きく恐れる心配は必要ないでしょう。

 行政から広報されている発熱時の受診法・発熱外来への連絡法等は、事前に熟知しておいてください。

 今回の豚由来新型インフルの発生・流行以前の広報は鳥由来新型インフルを想定して行われてきました。 この後に提示されている試算も鳥由来新型インフルを想定したものです。

 最初に過去の大流行とされる事例の、日本における状況です。

 発生年  当時の人口 被害 (日本での)
スペイン風邪  1918

   1920

 5596 万人 (1920 調査)  死者    48 万人

 致死率 23

アジア風邪    1957 8928 万人 (1955 調査)  死者    47 万人

 致死率 0.2 以下

香港風邪    1968

   1969

10372 万人 (1970 調査)  死者    47 万人

 致死率 0.2 以下

季節性インフル      死者     1 万人

 致死率 0.1 以下

 

2000以降の季節性インフル     2000秋 〜 2001春    13846人
   2001秋 〜 2002春      913人
   2002秋 〜 2003春     1078人
   2003秋 〜 2004春    11215人
   2005秋 〜 2006春     2400人
   2006秋 〜 2007春     6849人
   2007秋 〜 2008春    集計中
   2008秋 〜 2009春    集計中

 *  この表は朝日新聞記事( 2009/06/07) に掲載された数値を、感染症学会の報告の数値で補正しました。

 *  人口は発生直近の調査結果を参考材料として記載しています。

 *  2000年以降の集計では以前と比較して少傾向がうかがえjますが、変動が大きい傾向もあります。
 

 厚労省の試算  2006 国勢調査に依る総人口数 12777 万人 を基に推計 

 感染者 3200 万人 (感染率 25% として)  死亡数 32〜64 万人 (致死率 1〜2 % として)

 スペイン風邪の流行時はインフルエンザウイルスが発見される前であり、二次感染として多い細菌性肺炎の治療薬である抗生物質が実用化されるよりはるか前の出来事です。

 インフルエンザがウイルス感染症であることが判明し、治療に抗生物質が使用されるようになり、新型インフルエンザ(1957年からのアジアかぜ、1968年からの香港かぜ)の我が国での死亡数は激減しました。 それでも総人口数で換算しますと 89 万人の死亡数となります。 最近の季節性インフルの死亡数 1 万人に比較すると約 10 倍となります。

 近年には抗ウイルス薬もインフル治療に使用されるようになり、香港風邪で被った被害を減少させる可能性は非常に高いと推測されます。

 今回の新型インフルの流行でも、日本での感染者数 540 人で死亡は 0 です。(6月12日現在)

 日本感染症学会も 『今回の新型インフルエンザが今後大流行した場合、わが国の死亡者数や死亡率が香港かぜの場合を大きく超えるようなことはないと思われます』  と推測しています。

 この推測の根拠として次の二点が挙げられています。

 ◎ 新型インフルエンザによる死亡は、各国の経済状態の反映、あるいは公衆衛生の向上と医療水準の反映といわれています

 ◎ インフルエンザの診断能力と治療では圧倒的に世界をリードしており、新型インフルエンザの被害を大幅に制御することが可能と思われます。

 現時点での集計で、今回の新型インフルの死亡率は通常の季節性インフルエンザのそれを少し上回る0.1%台を現時点で示しており、軽症例が多いとみられています。

 これらを根拠にして、厚労省が試算し広報する 『新型インフルエンザが蔓延するとわが国では32万人から64万人が死亡する』  は過大と考えられます。

 過去のどの新型インフルエンザでも、出現して12年以内に2550%、数年以内にはほぼ全ての国民が感染し、以後は通常の季節性インフルエンザになりました。 数年後に季節性インフルエンザとなって誰でも罹患しうる病気になります。

 スペイン風邪から始まり、その後のアジア風邪や香港風邪でも初期には若い年齢層に被害が多く見られ、数年後に被害は高齢者中心に移行することが観察されています。

 高齢者の多くは過去に型の異なるインフルエンザに感染し免疫を作っています。 若年層ではこの様な感染歴が少なく、新型が流行する初期には感染数が多くなります。 数年して若年層から成人層までの全年齢層がほぼ等しく免疫を保持すると抵抗力の弱い高齢者に被害の中心が移って行くと考えられています。

 季節性インフルと同様に高齢者への感染予防と治療に配慮が必要になります。

 今回の新型インフル流行ではメキシコで多数の死亡例が出ました。 メキシコでは、発症から受診までの期間の長短が死亡率に影響したと報告されています。 死因としては細菌性肺炎の併発が指摘されています。 この細菌性肺炎は抗生物質で治療が容易で、早期の受診と適切な治療で死亡率を下げられます。 在宅での治療も可能とされています。

 ここまでの説明に加えて 『感染症学会は感染症を研究する団体として、新型インフルは現時点でも軽症であると言い切ることはできません。』  と注意喚起をされています。

* ここまでは日本感染症学会の提言を参考にしました。 原本は、同学会HPで閲覧出来ます。

 マスク着用については各く方面から解説されています。 要約すれば、感染者から他への飛沫感染を少なくする可能性はあるとしても、健康者の感染防止には繋がらないとの 意見で一致しています。

 手あらい・うがいについても健康者の感染予防については疑義も聞かれます。 エチケットとしての範囲内での励行は奨められます。  薬用洗剤を使用した手洗いをしてください。

 今回の感染経路・感染履歴を報道から読みますと、接触に近い近距離間の感染は起こっていました。 感染時の外出は控えて欲しいと望みます。

 「行政・マスコミが大騒ぎ」 との批判はあります。 しかし現実を詳細に報道することもマスコミの使命です。  

 マスコミから提供されている情報を取捨選択する責任は読者にあります。

 関連する情報の全てが報じられていません。

 複数の情報を組み合わせて的確に理解することが読者に求められます。 

 厚労省の新型インフルの被害推測 [感染者 3200 万人、死亡数 32〜64 万人] についても、上記の様な下方修正する意見を平時に報道されていれば、大きな危険意識は生まれなかったと考えます。

 新型インフルの発生早期に、この様な解説が聞かれれば、冷静な対処も可能と考えます。

 感染症学会の提言と同じ主旨の評論も発生一ヶ月を経過して聞かれました。 専門家・関係者からは早くこの様な発言をして欲しいと望みます。 

 厚労省の被害推測 と 感染症学会の見解の幅を知って、皆さん自身で安心出来る予想を出してください。 現時点では、感染症学会の見解に近い推測が良いでしょう。

 マスコミ情報から “真に必要で、有用な情報” を見分ける眼力は皆さんが持つべきでしょう。

 新型インフルによる死亡も伝えられています。 冷静に季節性インフルエンザ死亡数 (年間に数千人) とも比較してニュースを読んでください。

 * 朝日新聞 2009/06/07 朝刊 【耕論】 の記事も参照してください。 (図書館等からこの記事が得られない時は連絡してください

 『 新型インフル  WHOに癒着疑惑   「製薬会社と流行扇動」 』 のタイトルの記事が新聞紙に掲載されました。

 記事の内容は、WHO と新型インフルエンザのワクチンを製造する製薬会社との癒着が、世界的大流行を宣言したWHOの判断に影響を与えたとの疑惑が浮上し、欧州会議は調査を開始する、との内容です。     2010/1/13

インフルエンザ脳症患者 は増加    2010/02/20

 例年の季節性インフル流行時に報告されるインフルエンザ脳症患者の症例数に比して、新型インフルの流行が始まった昨年8月から今年2月までの期間では増加しています。

 患者は59歳の小児に多く発症しています。 

 しかし近年の治療法の向上で、経過が判明している118人の患者 (全年代) では、96人(81%)は後遺症なく回復しています。 一方で、8人(7%)が亡くなり、14人(12%)に運動まひなどの後遺症が残っています。

 調査機関の担当者は新型インフルの関心が医療現場でも高まり、報告する医師が増えている可能性もあると分析しています。

 ウィルスは同時に二種類以上の大流行は観察されていません。

 今回も新型インフルとと季節性インフルは同時に流行しませんでした。

 毎年10・11・12月に流行するノロウィルス (感染性胃腸炎) が新型インフルの流行に押さえ込まれ、新型インフルの減少に変わって2月から増加しているのも一例です。                                                             

 

 このHPでは詳しい解説は行ないません。 行政からの広報、報道等から多くの情報を得られたでしょう。

  A ワクチンについても簡単に説明します。 → 新型インフル・ワクチン

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