論説・解説・主張   【解説】 “インフルワクチン有効のニュース” について  2001/04/01 
  今期のインフルエンザ流行時期も最終となりました。 今年の流行は “大流行” と云える状況にならなかったようです。

  一部で  『小児へのインフルエンザワクチンが有効であったと確認された』  との報道がありました。

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  約500名ずつのワクチン接種を受けたグループと受けなかったグループで比較すると,インフルエンザ罹患率はそれぞれ 65%,54% であった。

  罹患リスクを計算すると 1.0 と 0.6 となった。 よって,1.0 と 0.6 の差をもって罹患リスクが軽減できた。

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  このような内容でしたが,説明での統計解析に疑問が残ります。

  ワクチンの効果を検討するための調査を実施するには,条件を同じくして二つのグループを作り比較検討することが最低限の必要条件です。

  上の調査ではこのような設定がされていません。

  統計処理は専門家がするものですが,統計を知らない者でも罹患率で 65% と54% に違いは認められないでしょう。

  もう一つ気がかりなニュースを見ました。

  2001/03/22 朝日新聞 によれば,【インフルエンザ 集団接種は有効と分析】 と報道されています。 主な内容は  『‘インフルエンザワクチンの接種に異なる方針を持つ日米の比較検討の結果, 日本の小中学校で実施されていたインフルエンザの集団予防接種は、肺炎などによる高齢者の死亡を減らす効果があった』  と推論されると書かれていました。

ワクチン接種が子供のインフルエンザ罹患に効果があったとの報告ではありません。 高齢者の死亡を減らす “社会防衛” の観点で,小児への接種は有効との判断です。

 どの世代にも “社会防衛” の観点は必要ですが, “高齢者のための社会防衛”  に小児を利用することには賛成出来ません。

 世界的に認められる統計調査として “子供にインフルエンザワクチンが有効であった”  と結論される報告は今年度の期間ではありませんでした。

  それにも係わらず,日本では  “子供に有効”  とのムードを作りたいようです。

  行政・専門家の真意を聞きたいものです。

  インフルエンザ脳症は治療の難しい病気として子供には危険なものです。

  病気の本態が解明され,対策が確立されるまでは関心を持ち続けてください。

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