論説・解説・主張  【主張】 小児科医の不足について  2001/08/16 
 


  厚生労働省が計画した小児救急医療の拡充策は,小児科医の不足により頓挫しているとの報道がありました。

  小児科医の不足・医学部学生から小児科医になる希望者が減少している原因の一つとして,小児医療費が内科に比して少ないとの指摘がありました。 

  この指摘も正しいと考えますが,日本の経費節減・医療費の圧縮政策の中では,小児医療費の倍増計画は見られない夢です。

  子を持つ保護者として,夜間・休日の小児科救急医療の不備は多くの人が不安を感じておられると考えます。

  医療保険診療報酬での政策から小児科医の倍増は不可能です。

  小児科医になる決心は 「患者の訴えが正確に受け取れないことがある。」・「手数が掛かる。」・「時間外の診療が多い。」 等の理由で敬遠されます。

  この状況の中でも小児科医を目指す医学部学生は残っています。

  患者・保護者として微々たる力であっても小児科医を励ます行動をして欲しいと考えます。

  救急医療に際しては小児科専門医の診療を望みながら,日常の医療では内科医・産婦人科医での受診に疑問を持たずに過ごされています。

  小児科診療の中でも ‘気楽な部分’ を専門外の他科医師に任せ,気苦労の多い小児科診療の中でもより難しい小児救急医療を,一握りの小児科医に任そうとされる保護者が多いのです。

  小児科医院の受診者が多くなれば,小児科医院の医療費収入は保険制度の不備を少しはカバーします。

  小児の医療は小児科医に任せるとの社会常識が行き渡れば,小児科医を目指す医学部学生を増やす一助になると考えます。

  小児科医の増加を妨げるのは政策の不備だけでなく,保護者の行動も関係していると振り返ってください。

  保護者の努力が効果をもたらすには長い年月が必要です。 政策の変更が功を奏するのも年月が必要です。

  次の世代の保護者を満足させる為と考えての行動を望みます。

  この主張についての意見を寄せてください。

 
 

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