論説・解説・主張  タミフルの副作用についての報道  2005/12/01
 

 このHP でも  “タミフルは副作用のある薬剤です”  との情報を紹介しています。
 マスコミでも最近相次いでタミフルが 100% 安全な薬剤でないとする情報を取り上げています。

  このHPでは以前から書き込んでいますが、一般の方・保護者へ警鐘を鳴らす目的です。
総ての服用を止める目的ではありません。

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  マスコミ報道を読まれて、不安を感じて 『どれ程に危険ですか』 との質問が寄せられます。

 ここでは記事の読み方を考えましょう。 記事には多くのヒントが含まれています。

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  マスコミ記事・説明の中から要点 (留意して欲しいポイント) を拾い出しました。

  ○ インフルエンザの治療にタミフルを服用した患者で ‘異常行動’ を起こした事例があった。
  ○ ‘異常行動’ を薬剤の副作用・副反応と考えるより、インフルエンザ本来の症状と考えるべき症状と主張する意見もある。
  ○ 何千万人にも達する服用例が有ったが、副作用と疑はれる事例は非常に少ない。 タミフルの効果を疑う事実とは考えない。
  ○ 世界のタミフル消費を調べると、日本の消費 (服用)  がずば抜けて多い。
  ○ アメリカでは疑はしい事実として受け止め、慎重な使用が勧められている。

  この数点をどの様に受け止めるかが問われています。

 ここで、インフルエンザワクチンについてのマスコミ記事も読み直してください。 (次の解説も参照してください)

  秋になるとインフル・ワクチンの話題がマスコミに登場します。
タイトルとしては接種を勧めているように受け止められるでしょう。しかし、記事には次のような説明も追加されています。

  ○ 小児科学会もワクチン接種による予防阻止率は低い事実を認めている。
  ○ 接種に当たっては保護者にこの事実を説明して接種することが望まれる。
  ○ ワクチン接種に因ってインフルエンザの重症化を防ぐ作用は認められない。

  この様な事項まで熟読されずに、知人との仲間意識で接種を我が子にされている保護者も多く見受けます。

  この三項目をストレートに受け止めて、 『インフルエンザの流行シーズンに向けて接種を受けましょう』 とするキャンペーンを正しい提案と受け入れられるか否かが問われているのです。

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  タミフルの話題に戻ります。

  タミフルの効果としてウィルスの増殖・攪拌を防ぐと説明されています。 有熱時間を短縮できたと説明されています。感染の予防効果は低いとされています。

医療現場を裏側から見た事実を紹介します。
タミフルの服用については、保護者の意識が先行している実態があります。

  小児科医院で 「インフルエンザ感染に似た状況ですが、確定できる証拠は無いので断定はできません。この状況ではタミフルの服用は必要ないでしょう」 と説明すると、「インフルエンザです。タミフルを渡しましょう」 と安易に渡す医療機関に保護者はなびきます。
  保護者間で 『向こうの医院は簡単にタミフルを処方してくれる良い医院』 として評判が伝達されます。

  マスコミ記事でも “タミフルの日本での消費量がズバ抜けている” と書かれていました。アジア地区で貧困の為に必要とされても服用できない国が存在する事実を認めても、 “日本では必要としない状況にも処方されている”  と受け取めるべきでしょう。

  小児科医も営業は無視できません。 服用を強く望まれる保護者の意志に合わせて対処する傾向もあります。

  幼児・小児の合併症で無視できないのがインフルエンザ脳症です。 完全な健康体としての回復が難しい状況です。 この情報が強く伝えられて‘予防’と‘短期間治療’が異常に強く望まれ保護者主導のインフルエンザ治療となっています。

  一般の人・保護者の‘知る権利’・‘治療法の選択権利’を否定しませんが、“正しい知識と判断” に基づかない‘権利’ が先行していると考えています。

  治療については主治医の先導が必要と考えます。

  「タミフルをください」 と診察室に入る保護者には賛成できません。
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  皆さんが持たれている判断力と記事の中に断片的に書かれている事項を重ねれば、自分で方針は出せるでしょう。

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  纏めておきます。

  ◎ タミフルは正確な診断をされた場合には有用な薬剤と考えます。
 しかし、患者・保護者の先入観・誤った医療知識で薬剤投与を希望され、処方されている現実があります。 保護者に迎合するのは医師としてのモラルを放棄し、小児科医の学術上の責任を問われる問題点を残しますが、現実も知ってください。
  ◎ “何千万人の投与で、疑わしい事態は数件” と説明されますが、何千万分の一が我が子に起これば大変です。 “疑わしい” とされる情報も真剣に聞き入れる保護者になって欲しいと望みます。
  ◎ 素人判断でタミフルを欲しいと発現する保護者の姿勢に反対します。

 主治医と保護者が信頼関係を保って、“総てのインフルエンザ治療にタミフルを必要としない” を理解して必要な場合に限った服用が望ましいと考えます。

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  追加です。

  今までに薬の副作用・薬害で集団的な被害を出した事件で当初は 「薬とは無関係」 と研究者・製薬メーカーが主張して、後日に副作用と判断された事が多数有ります。

  工場公害でも、最初は関連の否定から始まります。

  科学の世界では 『‘無’・‘ゼロ’は証明できない』 が大原則です。 薬剤に “副反応”・“副作用” は常に存在します。

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