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E-A
【 乳幼児の運動発達 6】
手の機能発達 微細運動・巧緻運動の発達 器用な子供を育てるCE ペンを持つ 手の機能発達 握る *06-D
多方面の識者から「現代の若者はペンや箸の持ち方が間違っている」とのら批判が出されています。 この HP からも同じ批判を出します。
批判で使用される形容詞 “へん” ・ “間違っている” ・ “おかしい” と多々あります。
単純に光景の批判、道具の使い方が批判されているのではなく、“握り” ・ ‘摘む’ が未熟が原因と悟ってください。
無意識 (自然体) での握り運動を指示すると図の持ち方を見せます。 親指が人差し指の中央部に届きます。
“へん” ・ “間違っている” ・ “おかしい” と批判する根拠を続けて説明します。
運動発達の原則として、機能の成熟は “頭側から尾側へ”・“中心から末端へ”・“尺側からトウ側へ” 進みます。
“握る” は手のひら ( 手掌 ) と指の運動です。 “つまむ” は指先に限られた運動です。 原則に従って、機能の成熟が完成した証拠です。
乳児の育児指導の大きな流れ (方式) は世界で共通のはずです。 日本と欧米でも 共通のはずです。 しかし、日常の生活方式は異なります。 床とベッドで就寝し、イスに座ってナイフ・ホークで食事を基本とする欧米。 タタミに布団を敷き、箸を使っての日本。 この生活方式、日本式も欧米化はしていますが、基本の差異には納得してください。
参考事項 4 日本と欧米の食事マナー
箸を持つ、ペンを持つ、スプーンを持つ、三種の道具で握る・持つを説明します。
幼児に食事の正式マナーを教える・強制する意向はありませんが、幼児期でも日常の食生活の中には欧米との差は現れています。
摂食時に使用する道具は、欧米ではスプーン & ホーク & ナイフ、日本では箸です。 スプーン & ホーク & ナイフ の使用は両手です。
欧米ではスプーンを皿の右側に置ます。 和食なら鉢の手前に箸を置きます。
欧米なら、スプーンは直接に右手で取り上げて握ります。 この時、スプーンの凹み部分は母指の先方にあります。
日常生活で和食が多い日本人の食事では、何気なく箸は手前に置くでしょう。 この配置で幼児が握ると箸は逆方向 (箸の作業ポイントが母指の側) になります。 日本人の感覚でスプーンを鉢の手前に置くと作業ポイントは左側になります。 スプーンならその握りで食事は進みます。
箸を使うときには両手を使って箸を取り上げ、右手に使い勝手の良いように持ち替えます。 この時、箸の先端は母指の逆方にあります。
最初に説明した “順手握り” と “逆手握り” です。 “逆手握り” は作業ポイントを母指の反対側にする握り方です。
道具により、道具の作業ポイントを母指に近い側か、反対側にするかは変わります。
幼児・子供は作法に気は遣わないとしても、一連の動作には自然と風習が伝わっています。 スプーンは近い側、箸は反対側になります。
注 スプーンの目的は凹み部分ですくう、箸は先端で挟む、エンピツは先端で文字を書くことです。 凹み部分等は作業の主目的を果たす場所です。 この後の説明では、この様な箇所を道具の作業ポイントと表現しています。
握りから三指握りへの移行は長時間を要します。 原始反射による握りが消失して真の “握り” は生後半年頃から観察出来ます。 座位の月齢で両手遊びの時間も多くなり “把握” と “離す” が明確に始まります。
“静的三指握り” は三歳頃には可能になるでしょう。 “動的三指握り” は四歳以降です。
“握り” が始まって三年・五年の長期間を要するのは、難しい運動を意味していると考えます。
“動的三指握り” が可能になって、ペンで書字を、箸で食事を出来るのです。
道具の作業ポイントを母指の側に置いて握るか、逆に握るかの違いは理解出来たでしょう。
箸・スプーンは日常の食事に必ず必要な道具です。 この道具の持ち方は逆になります。
箸・ペンは回外握りがスタート、ナイフ・フォークは回内握りがスタートになります。
スプーンが主になる欧米と箸が主となる日本では育児の配慮が異なります。 欧米では幼児期からの持ち方が続けられますが、日本では逆方向の持ち方に換える必要が生じます。 “回内握り” が自然体、 “回外握り” が不自然を自身で経験してください。
ペン・エンピツ・箸とスプーン・フォークのスタートの握りは逆です。
欧米では、ペン・エンピツの使用では持ち替えを訓練させる必要があります。 本来なら同じ苦労が両方の保護者に課せられているのです。 神様は平等です。
持ち替えを実行する方法は後に回します。
日本には以前から 「子供には箸を上手に、きれいに持たせる指導が必要」 との意見が強くありました。 強い指導が必要とされ、家庭内では強制に近い指導を受けた経験者が多いはずです。
一方で、欧米では自由と自主が優先されて、強い指導はされないようです。 テーブル・マナーは守られても、みにくいペンの持ち方で書字をする光景をしばしば眼にします。 テーブル・マナーでのナイフ・フォーク・スプーンの持ち方は “順手握り” で、ペンは “逆手握り” です。 この変換時期での指導がなされていない結果です。 握る運動時の自然体、不自然を念頭に、“順手握り” と “逆手握り” との用語を使いました。 “回内握り” と “回外握り” と同等です。
当HP では、『箸・ペン・エンピツはきれいに持って欲しい』 と考えています。 “きれいに持つ” は “器用な子供” と同意義とも考えています。
「日本人は器用、欧米人は不器用」 とよく云われます。 この伝統を続ける事に少しの努力を重ねても良いと考えます。 強制を感じさせない配慮は保護者に任せます。
ここで、当HP がペンの間違った持ち方と批判する形態のいくつかを例示しておきます。
下図は正しくペンを持っている状況です。
管理データー KAISETSU-KEN-UNDOU_kyotsuu