うつ伏せを嫌う

 生後一ヶ月半も過ぎるとうつ伏せ姿勢で保育する時間を持つように勧めます。

 診察室で後日に聞きますと、「嫌がるのでさせていません」 と応えられる保護者に出会います。

 五ヶ月頃の検診でうつ伏せ姿勢がよくない乳児を見て保護者に尋ねますと、「この子はうつ伏せを嫌うので、うつ伏せ姿勢で遊ばすことはありません」 と答えられます。 

 この様な子に多いのが、早期からのお座りです。 仰向け姿勢で物を見つめる場合、頭の両側方への回転に限られ視野も限られます。

 早くから保護者がお座り姿勢に変換すると、子供は喜びます。 うつ伏せは嫌いでお座りが好きな赤ちゃんに育ちます。

 赤ちゃんのご機嫌を第一とした育児が最良とは考えません。 時には嫌うことも含めた育児の良さを知ってください。

 この状態が続き六ヶ月を過ぎると、悪い方向への発達経過を予想します。

 この子は肘支持は未熟で育ち、手支持は不可能です。

 次に、 “シャッフル” と言う用語を説明します。

 シャッフルとは、お座りの姿勢から、脇の下を抱えて体を持ちあげると、両方の脚を前方につきだして腰は直角に曲げた姿勢のままで、空中に上がって くる姿勢を言います。  

 この様な症状を示す乳児を “シャッフル・ベービー” と呼びます。

  注 “シャッフル”、 “シャフリング”、 “シャッフル・ベビー” 等の用語が出てきますが、全てを同じとして読んでください。  この子達の移動がいざり這いです。

 乳児の運動発達と知的発達は車の両輪にたとえられます。 お互いが刺激をしあって進行します。

 療法が同時進行なら問題は起こりませんが、時にアンバランスな進行をする場合もあります。 

 進行スピードに差違があると、発育に問題を起こします。

 運動発達が少し遅れ気味であっても、知的発達は標準のスピードを保って進行する場合を取り上げます。

 運動発達で移動は乳児が触りたいと欲する物への接近の手段として進化します。 しかし移動の手段である四つ這いの獲得が遅れた乳児では本人の得ている能力を最大に活用して移動を可能にしょうと手段を考えます。

 うつ伏せ姿勢を嫌い、お座りが好きな子が七ヶ月頃を過ぎると、“移動をしたい” との欲望が強まり、本人の出来る姿勢で移動に挑戦します

 お座りの姿勢を保って移動をすると、いざり這いとなり、お座りの姿勢で下肢を動かすだけで前進する移動します。 

 うつ伏せの好きな子に育てると、頭を持ち上げて視界を広くする努力をします。 仰向け姿勢で天井しか見られない子より楽しい時間が多くなります。

 ここから “いざり這い”・“シャッフル” の評価を探ります。 

 ネット上で 「ずり這いは病気 (異常でない)」 ・ 「シャフリングは病気でない」 と主張される著明小児科医の説明に注目しました。

 共通して 『発達のひとつの型なので治療も心配も必要ありません』 ・ 『個人差として受け止めればよい』 と説明されています。

 加えて 『歩行開始は標準より遅れ、2歳になってやっと歩けることもあります。 言葉の発達も遅れることがあります。 その後には、発達の障害は残りません。』・『精神遅滞、脳性まひ、ミオパチーなどの病気と区別することが必要ですので、専門家に経過を診てもらうようにしてください 。』 との説明も添えられています。

 この HP でも “ずり這い” ・ “シャフリング” を異常・病気とは考えませんが、標準の運動発達コースからは外れていると考えます。 保護者には補正する努力をして欲しいと説明しています。

 紹介した著明小児科医も運動発達の遅れを伴うと説明されています。 言葉の後れも伴うと説明されています。 保護者の皆さんは “ずり這い”・“シャフリング” の気配を感じた時にこの説明のコースを選ばれますか。 少しの努力を加えて標準のコースを進んで欲しいと望まれますか。

 著明小児科医の説明は “ずり這い” ・ “シャフリング” のコースを進む乳児を持って心配される保護者へのイタワリのある説明です。

 子供の健康・相談室に同様の相談が寄せられた時、 “ずり這い” ・ “シャフリング” の経過時間が長い場合には、『殆どの場合に治療が必要となる心配はありませんが、念のために専門医療機関の受診は済ませてください。』 と不安をあおらないコメントを書きます。 経過時間が少ない場合には改良を促します。

 この HP ではイタワリの気持ちも持ちますが、解消して標準のコースを進ませて欲しいと願って説明しています。

 どちらの意見を採用されるかは、皆さんに任せます。

 “ずり這い”・“シャフリング” をする乳児の共通として、「うつ伏せをとても嫌い、寝返りをほとんどしません。」 とも著明小児科医は指摘されています。

 この説明からも標準の発達コースを進んでいない事が判ります。  四つ這いの変形として、小さな問題でないことが判ります。 

 生後2〜3ヶ月頃からの育児法との関連がうたがわれます。

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