本音で語る。 原発事故について本音で考える。 本音で語る。 最終更新 2011/07/01

  東京電力・福島第一原発の事故直後に、東京電力・政府・監督官庁は原因を天災とする見解を公言していました。 解説する “専門家” も 「想定外の天災」 を連発していました。

 井野博満・東大名誉教授は朝日新聞 (2011/03/16) の紙面で意見を公表しています。

 専門家がテレビで説明する際に、「想定外」 という言葉が、その想定が適切だったのかの判断も反省もなく使われている。 同じ学者として情けない。

 「現場を知る人間がもっと分かりやすく疑問に答えるべきだと思う。 大丈夫と言いながら、起こってから説明するのでは、国民を愚弄することになりはしないか。」   この指摘が最も的を射たコメントと安心できます。

【 HPからの意見 】   原子力発電所の計画当時から完全な安心を予測した安全神話はもろくも崩れましたが、今の時点で発表される修復への予想では、誤差が生じても誰も恨まないでしょう。 専門家の責務として大胆な予測を聞かせてください。

 「福島原発の事故処理は進み、○年○月には避難区域の住民は元の地域に戻れるでしょいう」 この様なコメントです。

  日本の各地で原子力発電所建設が計画された段階で反対運動がありました。 断層の配置から推測される地震・津波の発生を予測して危険を訴えた研究者は居られました。

  これらの意見を 「ナンセンス」 と一笑に付したのは、“専門家” ・ 政府委員会の委員でした。  注 2012年秋以降に始まった原発敷地内での再調査では活断層の存在を指摘する意見が出ています。

  今回の事故の直後、3月12日には原子炉の損傷・原子燃料のメルトダウンを推測する在野の研究者の意見は公開されていました。   公式にメルトダウンを公表したのは後日でした。

東京電力・福島第一原発の事故後に、各地で被害事例が連発しました。

 @ 周辺地域での居住が困難となり、退避が余儀なくされています。

 A 避難区域 を超える周辺地域・東京都で、飲料水の摂取制限が一時的に勧告。

 B 農産物・畜産物・水産品の放射能蓄積。

 C 学校校庭の放射能汚染。

 これらの事態が起こる度に、“暫定基準” と称して数値が厚労省・行政機関から公表されました。

【 HPからの意見 】 この基準公表に関連して、この HP では次の様なコメントを書きました。

 非常事態を理由にするなら、安全神話を声高に言った関係者が誤りを認め、「非常時ですから、○○_シーベルトの基準で我慢して欲しい」 とのお願いにしてください。 「安全です」 & 「安心してください」 の連呼では信頼できません。

 内閣官房参与の小佐古さんは、文部科学省が採用した放射線の年間被曝量20_シーベルトという屋外活動制限基準を強く批判されました。    2011/04/29

 「通常の放射線防護基準に近い年間1_シーベルトで運用すべきだ」

原田正純さん (水俣病を患者の立場から研究を続けられた医師) は朝日新聞のインタビュー記事 ( 2011/05/25) で話されました。 

  『本当に原発の専門家であれば、、当然、今回の事態.を予測しなきゃいけなかったはずですよね

 『大地震が起きたり大津波が来たりしたら原発は危ない、と予告した科学者はいた

  『そもそも “安全基準” という言葉がよくない。 どこまでなら我慢できるかを示す “我慢基準” と呼ぶべきだという人もいます

放射能をどこまで我慢するか。    2011/07/01

 今中 哲二さん (京都大原子炉実験所助教) は、朝日新聞 (2011/06/29 朝刊) で、“私の視点” として 汚染の中で生きる覚悟を 説かれていました。 

 この中では 『 私たちはもはや、放射能汚染ゼロの世界で暮らすことが不可能になった。 これからは、放射能汚染の中で生きていかなければならない。 その事実を受け入れたうえで対策を考えなければならない。』 との指摘もされています。

【 HPからの意見 】  現況を直視した意見と受け取れます。

 汚染の濃度を今の時点で止めるか、今後の増加の危険を容認するかが問われる問題と考えます。

【 HPからの意見 】 文科省は学校校庭の放射能・安全暫定基準は年間 20_シーベルトとする方針は変更しないが、『原発事故前の年間 1_シーベルトに低く維持する努力をする』 との努力目標を公表しています。

 確かに、事故後の渦中ではやむを得ない “我慢基準”  ・ “努力目標”  ですが、保護者・関係者には今回の事故の根本を見直して欲しいと望みます。 

  「20_シーベルト」、「1_シーベルト」 を比較・主張するのでなく、我が家で冷静に原因を考え、根本を絶つ方向が必要と考えます。

【 HPからの意見 】 過去に安全神話を説き、原子力発電所の安全を声高に説明した原発専門家から、意見の訂正・謝罪の言葉が聞かれません。

 謝罪もなく、「想定外の事故」 との解説を続け、行政に参与する専門家は必要ないでしょう。

  原子力発電所誘致に反対しての裁判で “安全神話” を説き、絶対安全を保障する証言をした原子力専門家が、原子力安全委員会委員を務め、原発事故での収拾に関与しています。

マスコミの解説記事では 『カネの魅力で原発を誘致』・『原発周辺では電力費の割引』 等々の優遇が報じられています。

【 HPからの意見 】  

 福島原発事故の後、放射能被爆量の説明で「航空機でNYに往復する際の被曝量と比較して・・・」・「平常時に自然界に存在する放射能と比較して・・・」との条件で安全が説明されていました。

 確かに、 03/11 以前にも自然界には放射能は存在していました。

 しかし以前から自然界に存在していたと説明されている放射能には原爆投下・原爆実験・チェルノブイリ事故・その他の原子力発電所事故で放出された放射能が加算されています。 無作為 (真に太古から) で自然界に存在した放射能に、ヒトが引き起こした悪しき事態 (ヒトの起こした事故) の残り物を加えるのは誤りです。

 福島原子力発電所の事故直前に起こった事象が “不可抗力” ・ “想定外の異変” で起こったと抗弁する東京電力・行政は福島原発事故で放散された放射能も過去の事例と同様に  「自然界に存在する放射能の一員」 に組み込んで済ませる計画の様です。 協力的な専門家も無神経に 「自然界に存在する放射能の一員」 に組み込んで済ませるのですか。

 6月現在、東北・関東の各地で地上の放射能値測定で高値が検出されています。 03/11 の東北大地震と津波、続いて起こった原子炉建屋の水素爆発によって破壊された原子炉と周辺施設。 この短期間 (地震・津波・水素爆発) に放出された放射能だけでなく、現在も放出は続いています。

 06/19夜には福島原発2号機原子炉建屋の扉が水蒸気を放出するためとして開かれました。 東電・原子力安全委員会は 「環境に影響しない」  ・ 「周辺地域の放射能計測値は変化がみられない」 と公表していました。 06/20 夕のTV-朝日系列のニュースでは 「18億ベクレルの放射能が放出された」 と報じていました。 10年後には、この放射能も 『自然界に当然として存在する放射能です』  と解説されるのです。           追記 2011/06/22

 原発事故の修復の為に必要として、汚染水を海水に放流し、原子炉建屋の扉を開放しています。 その後で 「環境に影響は無い」 ・ 「人体への影響は考えられない」 と公言しています。 20年・30年後には  「自然界に存在する放射能の一員」 に組み込まれて事故は風化します。

 これらの人為的な事例 (原爆投下・原爆実験、原発事故、等) は人類の健康管理にはマイナスの事例です。 この様な条件を無批判に加算して安全を説く専門家の無神経さにあきれます。

 悪しき事象 (原爆投下・原爆実験、原発事故、等) の忘れ物を正常なものと容認する無神経さにあきれます。

 健康維持に即座に悪影響はしないとしても、益しないものは否定する潔癖性は常に必要と考えます。

 10年後、福島原発の事故で放出された放射能も加えて “自然界に自然に存在する放射能” と表現されるのです。 

医師が病気について考える時、

病気にかかった患者と接する時には治療法を考えます。 

 1 当面の対処としての治療  クスリの選択

 2 根本的な対処策として原因の除去  食事療法等の指導

普段の予防策として (根治策) を考えます。   生活指導、等々

【 HPからの意見 】 これを原発事故に当てはめれば、現在行れているのは “当面の臨時策” です。

原発周辺地域では、当面の対策に終始するのはやむを得ないとしても、国内全域としては “根治策” を考える必要があるでしょう。

  @ 虚構と判明した安全神話を今後も信じて、原子力発電所に依存する施策に賛同し、事故に際しては “我慢基準” で生活を我慢する。

  A 安全神話を信じ、原子力発電所がもたらす優遇施策を期待して、原子力発電所を誘致する。

  B エネルギー需給を一人一人が熟慮して、原子力依存を再考する。

原子力発電所が存在する限り、 “我慢基準” で生活を制限される犠牲は再発すると考えます。

 06/27から福島県で全住民を対象とした放射能内部被爆検査の為の予備検診が始められたと報じられました。

 福島県民には安心を知る検査にはなるでしょうが、計画される案では30年間の長期検診が決められるようです。

 マスコミ・ニュースでは、実施内容の詳細は解説されていませんが、「30年間の長期検診」 が書かれていました。

 県民の健康調査と疫学としての基礎データーの収拾の二つの目的があると考えられます。 個人の健康調査なら、調査を中断できるタイミングが現れると予想されます。

 放射能の及ぼす健康被害ははかり知れませんが、「30年間の長期検診」 が個人に与える影響・長期にわたる不安感はぬぐえない大きさです。  内部被曝とガン発症の危険が知られる中での 「30年間の長期検診」 は 「ガンを恐れての30年間」 と同意語になります。

 「30年間の長期検診」 と 「健康には大きな影響は無い」 が同時に語られる説明には値しません。

 事故を起こした原発周辺では、我慢基準を超えていると地域行政は理解している様です。 危険を察知しての検診実施でしょう。

【 HPからの意見 】 

追加  安全神話を押しつけられ、安全を信じさせられた市民の過去の判断には言及しないでおきましょう。 

     将来については責任ある判断と行動をしましょう。 

     新設される原子力発電所があるとすれば、ここから起こる事故については、設置者にだけ、責任を問えないと覚悟しましょう。

     原発を誘致した都道府県、設置に賛成した周囲住民も責任を問われるでしょう。

【HP からの希望】 

 子供の健康を最大の目的とする小児科医、子供の健康を説明するHP の管理者として、原発の危険は見過ごせません。

 原子力の負の影響 (放射能の健康被害) は子供の健康を阻害する大きな障壁です。

 このHP は原発への依存に反対する立場です。

 この立場からの提案です。

 電力会社・原発を維持したい行政・原発を容認する識者からは 『計画停電』・『産業の停滞』・『製造業の海外流出』 を根拠に原発の存続を主張しています。 この意見に 共感する国民も多いようです。

 確かに、直ちに原発電力を絶てば電力不足は避けられないでしょう。

 約50年間、原子力発電を未来のエネルギーと宣伝し原発の設置に明け暮れ、水力発電・火力発電を縮小し、新エネルギーによる発電をないがしろにした電力会社・行政が電力不足を引き起こしたのです。 この50年間に水力発電・火力発電を 主流にすえて運転し、新エネルギーの開発に努力していれば局面は変わっていたはずです。 猪突猛進、周囲の良き提案を拒否してきた責任を忘れて 『原発を廃止すればエネルギー不足に陥る』 との発言は無責任です。

 ここで発想の転換を試みませんか。

 火力発電はCO2を排出し、地球温暖化・地球環境の破壊に繋がると云われますが、放射能の放出よりは被害は少ないでしょう。 短期的にはCO2排出があっても、放射能の放出を拒否して、新エネルギーの開発技術の進展を期待します。

 ヒトの英知を積めば、原子力エネルギーを新エネルギーに置き換える将来は見えるはずです。 原発原子炉の廃炉には30年が必要と云われています。 

 全国の原発を見渡すと、各発電所には1〜7機の発電機が設置されています。 例えば、三グループに分けて三年で順次の廃炉のスタートをすれば、節電のチエと代替え電力の供給は増加するでしょう。 “反原発” を主張する人もこの様な譲歩は出来るはずです。  

 全国にある原発の稼働率は2009年度で 65%、福島原発の事故後では 40% が現状です。  経済統計等から概算すると、総発電量の 23% が原子力発電です。 一方で火力発電は約 70% です。 この実績からも、代替え発電の設計は可能と推測できます。

 入れ替え計画を遅らせるなら新エネルギーの開発は遅れます。 入れ替え期間中の電力不足には国民が耐えるしかないでしょう。

 ここに書いたデーターからも、原発廃止と 『計画停電』・『産業の停滞』・『製造業の海外流出』 は直ちに連結しないはずです。

 もう一点を追加しておきます。 原発推進の根拠として、上記の三点に加えて、『発電コスト』が取り上げられてきました。

 2008年エネルギー白書 (経済産業省) に依れば、水力・石油・LNG・石炭・原子力・太陽光・風力のコストは 8.2〜13.3、10.0〜17.3、5.8〜7.1、5.0〜6.5、4.8〜6.2、46、10〜14 円/kW とされています。 原子力発電は低コストと説明されていますが、ここには国費から原発設置地域に支払はれる交付金は除外されています。 研究者の試算によれば 15 円/kW 以上に計算されています。 

 原子力エネルギーはヒトの英知によって開発されました。 ヒトの英知をもってすれば新エネルギーの開発も必ず可能です。 ただし、次世代の新エネルギーには人類に危害を伴はないものを条件に加えるべきでしょう。

 注 この説明で利用した数値データーは主に 2008年エネルギー白書 (経済産業省) から引用しました。