人工内耳友の会−東海−
人工内耳Q&A

人工内耳Q&A集 1

1.人工内耳手術について
 1−1.手術一般
 1−2.小児の手術
 1−3.副作用・耳鳴り等
 1−4.日常の注意
 1−5.電波や磁気の影響
 1−6.再手術


1.人工内耳手術について
1−1.手術一般

Q11−01 手術の回復期間は?
A11−01 通常全治するには手術後、3〜5週間かかります。たいていの人はその期間内に普通の生活に戻ることができます。

Q11−02 術時年齢について?
A11−02 日本では2歳6ヶ月〜84歳、海外では10ヶ月〜88歳です。

Q11−03 人工内耳適応の検査を受けたところ、適応でした。後は手術希望日を病院に連絡するだけの段階ですが、すでに手術された方の話を聞いて、手術しても聞こえが保証されるとは限らないと思い、ためらっています。手術すれば全て聞こえるようになると思われているのが現状の人工内耳に対する社会通念です。もっと人工内耳そのものの認識をPRすべきと思います。手術、即聞こえの保証は現状まだ無理ということも合わせて聴障者にPRすべきではないでしょうか。
A11−03 手術の時の説明でも、術後の成績は個人差があり、必ず聞こえが良くなるわけではないと説明をおこなっております。どうしても結果の良かった人の話が伝わりやすいので、そういった思いこみをされることもあるようです。術前にいろいろな人のリハビリテーションなどを見学されると良いかと思います。

Q11−04 人工内耳手術は年齢的には何歳まで可能でしょうか?82歳では無理でしょうか?
A11−04 4年前でちょっと古いデータですが、それによると当時人工内耳を受けた世界最高齢は88歳で、80歳以上がなんと23人もいます。よって82歳の年齢だけではなんの問題もないでしょう。[注:1998年6月現在、日本でも術時の年齢が80歳以上の方が4人おられます。]

Q11−05 手術をするともとの聴力がなくなってしまうのか?
A11−05 10db〜20dbの聴力低下が見られる場合もありますが、落ちない場合もあります。ヨーロッパなどでは、聴力を維持する手術方法もとられているようです。[注:日本でも行われています。]

Q11−06 補聴器は聴力の良い耳につけるが、人工内耳はどちらの耳につけるのか。
A11−06 補聴器が使えるのは80デシベルまでなのでその場合は良いほうにつけたほうがいい。日本では90デシベル以上は聴覚活用できない。人工内耳で80デシベルくらいの難聴と同じ程度になる。聞き手によって活用する脳が違うので、その点で手術をする耳を考える必要があると思う。

Q11−07 今、人工内耳を行って、結果は良く聞こえ喜んでいても、健聴者と同様に老化現象でだんだん、聞こえが悪くなるといったことはありませんか?
A11−07 老化現象は当然加わってきます。

Q11−08 手術をしても、聞こえの程度に個人差があり、特に失聴期間の長いものは言葉に慣れるのに時間がかかると言われていますが、なぜ私達中途失聴者は言葉も覚えているし普通に話せるのに人工内耳での聞こえの個人差が大きいのでしょうか。
A11−08 各人で内耳の状態が異なるからです。

Q11−09 身障手帳3級でも、手術適応可能ですか。
A11−09 可能です。

Q11−10 人によっては、人工内耳の手術ができないケースがあると聞きますが(神経が生きていないという他に)どのようなケースがあるのですか?
A11−10 聴神経腫瘍や内耳化骨の場合は手術が出来ません。

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1−2.小児の手術

Q12−01 いつごろ人工内耳の手術を受ければ良いか?
A12−01 まず、補聴器がお子さんの会話や言語発達に寄与し、それに十分な情報を提供しているかを判断します。早い時期から音声言語に触れていると会話や口話の能力は早く発達するので、人工内耳を装用するかしないかを早期に決断し、お子さんの言語発達に一番重要な時期に装用することをお勧めします。一般に、お子さんが音を聞いていない期間が短いほうが人工内耳の効果があります。装用を遅らすということは脳の言語習得能力が活発な時期を逃すことになるかもしれません。また最近の調査からわかったことですが、人工内耳からの電気的な刺激は、感覚組織が刺激されない場合におこる聴覚神経の劣化を抑えます。

Q12−02 子供が人工内耳を本当に付けるべきなのか?補聴器が活用できない場合、手話なとのコミュニケーション方法を使い、手術は受けない方がいいという意見もあるが?
A12−02 お子さんが人工内耳の手術を受けるかは、お子さんが幼少の場合は特にご両親の判断によることになります。ご両親は、お子さんが重度の聴力障害を持っているということを受容すると、お子さんのコミュニケーション方法や、教育、日常生活に関する事に関心が向くようになるでしょう。コミュニケーション方法(口話、手話、口話と手話をあわせた卜一タルコミュニケーション)には様々な形態があります。これらの方法を人工内耳を装用している子供と成人、全くの聾でトータルコミュニケーションを用いている人、主に手話を用いている人、人工内耳を装用したくない人など、色々な人に話を聞いてみるといいでしょう。このような人々と話し合う機会をもち、ご両親が以下の質問に対する答えを明確にしておくと、お子さんにとって最適な方法は何か、そして人工内耳の手術を受けた方がよいのかが明らかになってくるでしょう。
*どのコミュニケーション方法を使って子供と接したいと思っているか
*どのコミュニケーション方法が日常生活や家族の暮らしに適しているか
*どのコミュニケーション方法が生活するうえで基盤となるものを提供してくれるか

Q12−03 先天性の使用者の経過は如何でしょうか?幼児の使用者の実態と、先天性及び後天性の使用者数を教えて下さい。
A12−03 現在日本では、22人の子供さん(18歳以下)が人工内耳の手術を受けております。しかしその中で、厳密な意味での先天性という方は非常に少ない数です。世界では、600人の子供(18歳以下)が手術を受けていますがやはり先天性の数は正確にはわかりません(少なくとも半数以上はいますが)。中途で失聴された大人の方と比べればリハビリが大変ですが、それぞれそれなりの進歩が見られています。[注:1998年6月現在では、150名の18歳以下の小児が手術をうけており、その中に占める先天性の割合も3分の1にのぼっています。なお世界では18歳以下が8,100人、7歳以下が2,600人に達しています。]

Q12−04 子供の人工内耳の様子を教えて下さい。
A12−04 世界的に見ると人工内耳の子供への適用は非常にうまくいっている状況です。現在では埋め込まれるインプラントの対象者の約半数が子供です。一方、日本においてはまだこの様な状況には至らず、リハビリテーションの環境整備が必要とされております。現在日本では、18歳末満を子供と考えた場合、7月現在の装用者は30数名(うち、7歳末満は約10名)です。数箇所の病院で行っており、適応の条件などが異なったりしますので、詳細は最寄りの人工内耳施行病院か、コクレア社に問い合わせる必要があります。効果については、成人で個人差が大きいように、あるいは、それ以上に差があります。個人差の要因として、失聴年令、失聴期間、手術時年令、生理的な固体差、家族の貢献度、リハビリ、教育方法などがあげられます。人工内耳は一般の補聴器と同様に、道具を用いて言葉の聞き取りを改善させる一方法に過ぎず、難聴を治療するものではなく、手術後も難聴である事実は変わりません。人工内耳装用で、これまで以上にご家族の協力が必要になります。手術しただけではスピーチプロセッサはただの箱で終わってしまいますが、教育によっては魔法の箱に変わることも あります。[注:1994年当時の回答ですので、数字が1998年現在とは食い違っています。現況は前問の[注]をご参考ください。]

Q12−05 聾学校の先生に聞かれましたが幼児に人工内耳を埋め込んだ後、成長につれ埋め込み機器の取り替えをしなくてもよいか。
A12−05 取り替える必要はありません。頭蓋骨が大きくなると電極等が抜けることも考えられますが、それを防ぐために手術時に余裕を持たせて埋め込まれています。

Q12−06 小学校1年の子供ですが、耳以外は健康で動きも激しく転んだりするのが心配です。どう対応すればいいでしょうか。また、埋め込んである機器は、身体の成長に合わせて交換するのでしょうか。
A12−06 身体が成長しても壊れない限り取り替える必要はありません。しかし、頭蓋骨が大きくなり、電極等が抜けてしまう事がありますが、それを防ぐ為に手術時に「余裕」を持たせて埋め込んでいるはずです。耐用年数については、埋め込み後一番長く使っている方は18年で世界最長です。従って現在は「半永久的」としかお答出来ません。[注:1998年で世界最長は20年となりました。]

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1−3.副作用・耳鳴り等

Q13−01 手術による副作用は?
A13−01 耳の回りがしびれたり、皮膚が硬くなる、あるいは顔面神経が傷ついた場合、顔がひきつったりしびれたりピクつく等の可能性があります。また、一時的なものですが、味の感覚が変わったり、めまい、耳鳴り、首の痛みが起こるようになることがあります。元々ふらつきのある方は、手術の後しばらくの間ふらつきがひどくなることがあります。

Q13−02 内耳の埋め込み手術で今後視神経が悪くなることがありますか。
A13−02 人工内耳の手術で視神経に合併症がでることはありません。

Q13−03 装置をとると頭の中がモーターが廻っているみたいにガンガンします。とても辛いですが、聞こえないより、ヨシ、としています。又、音楽のメロディがわかりにくいです。
A13−03 耳鳴りのある方では、人工内耳を着けているときは耳鳴りが抑制されるのですが、外すと耳鳴りが出現することが多いようです。音楽については、この人工内耳は音楽用に開発されていませんので、将来的に音楽も聴けるような人工内耳が開発されると良いですね。

Q13−04 手術後3年が過ぎ、今も週に1〜3回耳鳴りに苦しんでます。
A13−04 人工内耳を施行された方のうちでは、人工内耳の音で耳鳴りが小さくなる人が多いのですが、希にどうしても気になる方もおられます。このような方は耳鳴りの内服治療をおこなうこともあります。

Q13−05 スピーチプロセッサ使用中も雑音が入り耳障りですが、ヘッドセットを外しても、同様に電極に音が聞こえるのは何故ですか。(耳鳴りの音とは違うと思います)例えば顔を軽くたたくとパタパタという音など実にはっきりと聞こえます。
A13−05 顔をたたいて音が聞こえるのは、たたくことによる振動や、低音に残聴があるために少し聞こえている可能性があります。

Q13−06 手術を受けて2年ですが、夏になると必ず1回はひどいめまいが起きて倒れます。今までは健康体で1度もめまいなどしたことがありませんでした。やはり人工内耳との関係が多少なりともあるでしょうか。暑さに強かったのですが夏が来るのが恐ろしく思われます。
A13−06 術前にめまいがなく、術後にめまいが起こった方は3通りが考えられます。
@手術の影響による場合は、ほとんどが一時的なめまいでおさまります。
A内耳の元々の病気でめまいが起こる場合。
Bその他の原因による場合。
いずれにしても具合の悪いときは早めに病院へ相談してください。

Q13−07 1年以上たってもめまいと耳鳴りに苦しんでいます。通院していますがよくなりません。いろいろ御助言下さい。
A13−07 手術後のめまい、耳鳴りは少なからずある人が多いでしょう。その原因は、人工内耳の電極を入れるために手術により内耳蝸牛を開けたときの、内耳への影響によると思われます。一般には、蝸牛を含めた内耳への障害はほとんどなく、そんなに長期に特にめまいが残ることは少ないので、手術によるものなのか、それとも他の原因によるのかを調べる必要があります。文面から察するに、ただ1年も続いているのは長い気がいたします。他の内耳の症状もでている可能性もありますので、担当の先生に相談し調べてもらわれたらいかがでしょう。

Q13−08 人工内耳を着用していない耳の耳鳴りは消えるでしょうか?(手術して4カ月、いまだに耳鳴りが消えません)
A13−08 耳鳴りとは、耳から脳まで聞こえた音を伝える神経のいずれかが障害され、外から聞こえていないのに、自発的に音を感じ取り脳へ伝える症状です。一般には内耳の神経障害が原因とされる場合が多く、人工内耳を受けるほど聞こえが悪くなっている人は、当然内耳の神経障害は重傷であり、少なからず耳鳴りはあります。耳鳴りの治療法の一つに、外部から大きい音を聞かせ、自発的耳鳴りを緩和する方法「マスカー」があります。この意味で、一般に人工内耳装用の人は、人工内耳を介した音の聴取により耳鳴りは小さくなります。ご質問では反対側とありますが、この効果は人工内耳を使用していない側にも生じます。簡単に消えることは難しいかもしれませんが、他の耳鳴りの治療法と組み合わせ、うまく人工内耳を使用すれば多少は効果があるかと思われます。

Q13−09 人工内耳の手術を受ける以前から耳鳴りはありましたが、手術後、耳鳴りが大きくなり、音よりも大きく耳に入ってきます。小さくなる方法はあるでしょうか。
A13−09 手術により耳鳴りが増強したということは、手術により内耳障害が進んだと考えられます。難聴の方の中には外からの音声より耳鳴りが大きいと訴える人がいますが、質問の内容から察するに、この訴えは人工内耳の使用に特に関係するものではないようです。よって所謂、難治性耳鳴りの治療と言うことになります。これには薬物療法(のみ薬と注射)などがあり、人工内耳を使用することは「マスカー」治療ということになります。いずれにしても、担当の先生に相談してください。

Q13−10 人工内耳手術後と更年期障害との関連は?特にふらつき。
A13−10 更年期障害は人工内耳に関係なく出現するので、あまり悩まないこと。平衡感覚(ふらつき)については、半分くらいの人でその機能が残っているので、障害が発生する可能性がある。

Q13−11 人工内耳手術後に、高血圧と言われたが関連は?
A13−11 ありません。

Q13−12 人工内耳手術後に、味覚が変わったような気がするが関連は?
A13−12 大いに関連がある可能性がある。顔面神経と鼓策神経の間を手術するので、間が非常に狭い場合など、しわ寄せが鼓策神経の方に行ってしまう。半年くらいで直るので、もうしばらく我慢してください。

Q13−13 副作用で顔面神経が傷ついた場合、顔がひきつったり、しびれたり、ぴくつく等の可能性があるとか?もし、そのような副作用に不運にも出会った場合、日数がたてば元に戻るのでしょうか。
A13−13 一生残る副作用はありません。長い場合は治るまで6ヶ月程かかります。

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1−4.日常の注意

Q14−01 手術後の運動は大丈夫か?
A14−01 柔道や空手やサッカーなどのように頭に強い衝撃を与えるようなスポーツは、埋め込まれたインプラントを破損する危険性がありますので、避けてください。また、スキューバグイビングは非常な水圧がかかりますのでできません。

Q14−02 入浴、洗髪、水泳は?
A14−02 スピーチプロセッサとヘッドセットを外せば問題ありません。

Q14−03 パーマは大丈夫か?
A14−03 パーマをかける場合ヘッドセットを外せば問題ありません。また体内に埋め込まれているインプラントも、皮膚がやけどをするほど熱くならない限り大丈夫です。

Q14−04 虫歯の治療はどうか?
A14−04 歯科医での通常の虫歯の治療は大丈夫です。レントゲンも問題ありません。

Q14−05 会報の記事で「手術して2年経過後、電極5本が使用出来なくなった」と、ありましたが原因と防ぐ方法を教えて下さい。
A14−05 会報の方については現在調査をさせていただいていますので、詳細がわかり次第お知らせしたいと思います。しかしこれに限らず、一般的に「手術の後、電極が何本か使えなくなった」という場合の原因には、次の2通りが考えられます。
@電極を含む人工内耳装置が故障した場合。
A人工内耳装用者の身体(特に内耳、聴神経など)が変化した事による場合。
前記@のケースの報告を調べてみますと、電極を含む人工内耳装置が故障する率は非常に低い(およそ1・6%)のですが、このうち0・5%はアメリカで起きたコイルの断線によるもので、主に小児が頭部をぶつけたときに起きるケースです。その他には、集積回路の故障(0.3%)がいちばん多いくらいでこれといった原因及び対策はないというのが現状です。ただ、電極が手術後使えなくなってしまうケースは、報告されているよりも多い様な感じは致します。ただ残念ながらこれもはっきりとした原因はつかめておりません。前記Aの場合、それぞれ生体には個人差がありますので一概にいうことは難しいと思いますが、以下のような場合が考えられます。
1.電気刺激により聴神経に変化が生じ、いくつかの電極が使えなくなることがあります。特に蝸牛の手前の方はもともと神経が少ないところであり、生理的にも加齢によって減少するので、その方の原因も考えられます。
2.中耳炎などの炎症が起きた場合、T/Cレベルが変化し使用できる電極数が減ります。
3.原疾患が髄膜炎で、特に蝸牛の一部に骨化が認められるような場合は、他の疾患に比し術後に蝸牛の骨化が早くなる場合があることが考えられます。

Q14−06 埋め込んだ電極が、腐ってきたりして、人体に悪影響がないかと心配しています。
A14−06 埋め込まれるインプラントが人体に接する部分は、白金およびシリコンからできています。これらの物質は化学反応をほとんど起こさないため、腐食に対して大変強く、人体にも影響を及ぼしません。これらの安全性については十分な基礎実験が行われていますので、ご安心下さい。

Q14−07 昨年4月に手術しました。順調に過ごしていますが、この1年で22本の電極の内3本が使用不能となりました。3本ダメになったということは埋め込んだ電極が3本ダメになったと解釈していましたが、そうではなくて、神経が3本ダメになったという意味だそうです。なぜ、そのようになるのか、この先、年々神経がダメになって使用電極数が減っていくのかと、心配です。
A14−07 電極が使えなくなる理由には大きく分けて2つの理由があります。ひとつは電極の周囲の組織が変化して、電流の流れ方が変化するため、同じ電流を流しても、痛みや顔面神経の刺激を引き起こして、電極が使えなくなることです。もう1つは、比較的少ないと考えられますが、電極が少しずつ抜けてくるために使えなくなることです。確かに、神経がダメになることもありますが、神経は何万本もあるために、3個の電極が使えなくなることが3本の神経がダメになることを意味するのではありません。いずれにしても、経過中にいくつかの電極が使えなくなることはよくあることですが、少なくとも10本の電極が使えるようであれば、それほど聞こえに影響することはないと考えられているので、心配はありません。また長期に使用している人でも、使用電極の数が急激に減って来るという人は少ないようですので、この意味でも心配はないと考えて良いと思います。

Q14−08 騒音の中、1日5時間人工内耳を使っていても耳に害はないでしょうか?
A14−08 マッピングがちゃんとされていれば、害はありません。

Q14−09 ヘッドホンを使って聞いても人工内耳に害はないですか?
A14−09 害は無いと思います。

Q14−10 雷対策を教えてください。
A14−10 インプラントを付けていてもいなくても、雷に対する危険率は変わりません。したがって、雷対策も一般の人と同様です。

Q14−11 サウナ風呂へはいっても問題はないのでしょうか。赤外線のサウナに時々入っています。人工内耳への影響はありませんか(入っているときは装用していません)。
A14−11 サウナ風呂そのものは問題ありませんが、のぼせて風呂場で転んで頭を打ったりしないよう気をつけてください。

Q14−12 赤外線は大丈夫ですか(治療、実験で使う機器)?
A14−12 赤外線は、問題ありません。

Q14−13 赤外線コードレスヘッドホンは使用できますか。
A14−13 はい、使用できます。赤外線は、体外から体内への信号の送受信に妨害を与えることはありません。

Q14−14 私は側頭部の皮膚が厚く、ヘッドセットの付きが悪くヘヤバンドを使用しています。コクレア社で販売している一番強い磁石を使用してもヘッドセットがつきません。そこでもっと強い磁石が見つかりましたらそれを側面頭部に直接着けても大丈夫ですか。例えば大型スピーカーの大きな強い磁石をそのまま頭部に直接着けても大丈夫ですか。付きが強ければヘッドセットサイズに加工しての使用はどうでしょうか。
A14−14 あまりにも強い磁石を使用した場合、皮膚が強く圧迫され血流障害を起こす結果、皮膚が壊死を起こす可能性があるので、そのような磁石は使わないでください。付きが悪い件については、病院の先生とよく相談をしてみてください。

Q14−15 装着時間が10時間を超えると翌日血圧が高い、8時間に落とすと安定、装着時間と血圧の関係、そこから又耳鳴りが起こり始めたような症状が出ているが、この3つに関連性はあるのでしょうか。
A14−15 人工内耳の使用時間、血圧、耳鳴りとの3者で直接関係はありません。体が疲れて耳鳴りの増強、血圧上昇がおこるのはアラームサインとしてとらえる必要があります。

Q14−16 退院時、「中耳炎にならないよう注意してください」と助言が医師からあったのですが、日常どのような注意が必要でしょうか?
A14−16 中耳炎になり易いことはない。内服でコントロールは可能です。

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1−5.電波や磁気の影響

Q15−01 医療機器等による電極部への影響は?
A15−01 電極部が電磁波や磁気などの影響を受けることがありますので、次のような機器を使用するのは避けるか、特別の注意を払う必要があります。
・ モノポーラ電気メス
・高、低周波数治療器
・電気刺激(ハリ)治療器
・ 放射線照射治療装置
・磁気共鳴画像診断装置(MRl)
・磁気温熱治療器(ハイパーサーミア)
MRI:核磁気共鳴を用いた画像診断装置。組織中の水素原子すなわち水の分布状態がこの装置で解明できる。非常に強い磁場を発生する。[注:現在、ミニシステム22のインプラントはMRI対応型となっています。MRIを撮る必要が出てきた時は、局所麻酔でインプラントから磁石を取り出します。撮影後、再び磁石をはめ込みます。]

Q15−02 その他の電磁気による影響は?
A15−02 基本的には強い高周波数の電磁波に近づくのは避けたほうが賢明です。普通のレントゲンやCT等は問題ありません。歯医者での虫歯の治療、健康診断などでの心電図やエコーなども大丈夫です。「ピップ・エレキバン」はインプラントに影響を及ぼすことはありませんが、家庭用の低周波あんま器は電流が体内を流れるので、念のために使わないほうがよいと思われます。なお、電子レンジ、アイロン、掃除機、ヘアドライアーその他の日常の電化製品は、普通に使用して影響ありません。

Q15−03 電気刺激が人体に与える長期的な影響は?
A15−03 電気刺激の長期的影響はまだはっきりとはわかっていません。しかし、すでに15年以上人工内耳を何も問題なく装用している人がいることから、今のところ電気刺激の影響はないということがいえそうです。[注:1998年現在では、20年になります。]

Q15−04 飛行機に乗るには?
A15−04 飛行機搭乗時に金属深知器を通っても人工内耳には影響ありませんが、「人工内耳(コクレアインプラント)装用者カード」を係の人に提示すれば通過を避けることもできます。また、飛行機が離着陸するときはスピーチプロセッサのスイッチを切ってください。理由は、人工内耳が飛行機の通信電波を邪魔するおそれがあるからです。

Q15−05 白内障の手術をするが、機器への影響はありませんか?
A15−05 白内障手術の場合は特に問題はないと考えられますが、一般的に手術に対する注意事項は、次にあげるようなものです。
×機器や内耳組織に影響があるため使用は避けるもの
 ・MRI
 ・モノポーラ電気メス 等
○使用しても問題ないもの
 ・レーザーメス
 ・パイポーラ電気メス 等

Q15−06 軽い運動障害があり、MRI検査がダメなので脳のCT検査を受けたがフィルムを診ていると人工内耳埋め込み側は、埋め込んだ機器の影響で、光が入って白くなっていて判断できない状態であった。他によい方法があればお知らせいただきたい。
A15−06 人工内耳の電極によりどうしてもCTでは写りにくい場合もありますが、人工内耳(マイクとアンテナ)を一旦外してみてください。またCTの方向を変えて撮ってもらってください。

Q15−07 人工内耳を埋め込んだ場合、脳腫瘍等の手術は可能ですか。レーザーを使って脳の手術をすることも同じように可能なのでしょうか。
A15−07 人工内耳を埋め込んでも脳の手術は可能ですし、レーザーも問題はありません。しかしMRI検査は撮らないでください。またモノポーラ電気メスも使用できません。[注:現在のインプラントは、磁石を取り外せばMRI検査が受けられるようになっています。]

Q15−08 医療機関において検査に使われるMRIとかCTスキャナー超音波等々の機械と人工内耳との相関の許容について説明願います。
A15−08 人工内耳の埋め込みを受けられた方は、MRIは撮らないでください。CTは問題ありません。いずれにしても検査を受ける病院で、人工内耳を埋め込んでいることを一言ご相談されればよいかと思います。

Q15−09 人工内耳を埋め込むと、CTやMRIが受けられなくなるのか?
A15−09 人工内耳を装用すると、強い磁気によって体内部が壊れてしまうので、MRI(核磁気共鳴を利用した断層写真)は受診できなくなります。しかし、CT(コンピュータ断層写真)は磁気は関係ありませんので受診しても差し支えありません。

Q15−10 電子レンジを使ったら、音が変わり聞こえ難くなりました。
A15−10 電子レンジの影響を受けたという話は他に聞いていません。大丈夫とは思いますが、危ないと思うものから離れることも大切だと思います。
◎ 日常的に電子レンジを使いますが、変化や異常を感じた事はありません。
◎ 心配なので、電子レンジのスイッチを入れて少し離れるようにしています。また、飛行場のハイジャック防止用の金属探知機も電波なので、自分を守る為に係員に説明し、その機械を通過しないようにしています。

Q15−11 携帯電話等からでる電磁波と発ガン性の関係について色々言われていますが、人工内耳の人体への影響はどうでしょうか。術後、歯や舌が痺れて心配です。
A15−11 電磁波の人体に対する影響はセンセーショナルに取り上げられたために皆さん恐怖心を持たれていると思いますが、実際には確かなデータがあるわけではないので心配はありません。その他色々な電磁波については92年5月の[ACITA]第17号の8頁〜10頁を読んでください。また、歯や舌のしびれについては他に問題があるかも知れませんので、担当の先生にご相談ください。

Q15−12 くも膜下腫瘍で、脳外科医に人工内耳を埋め込んでいるので「電気メスは使えない」と言われましたが、如何でしょうか。
A15−12 電気メスにも2種類ありバイポーラメスなら大丈夫です。それで実際にお腹の手術をしましたが、何も問題はありませんでした。以前に私は脳神経外科医でしたので、脳の病気でも大丈夫だと思います。

Q15−13 台所にいろんな電気製品がありますが、食器洗い機を使うと変な音がしますが大丈夫でしょうか。
A15−13 食器洗い機は特別な電磁波を出すわけではないので、大丈夫でしょう。電化製品の中で、例えば電磁調理機のように「電磁」と名の付くものは悪影響があるかも知れませんが、耳に直接付けるわけではありませんので、心配ないと思います。

Q15−14 電話アダプターを使うとき、切り替えスイッチを入れると同時に爆音のような物凄い音が入り相手の声が入ると爆音がやみます。しかし、受話器を置くとまた騒音が始まります。何故でしょうか?
A15−14 最近デジタル型携帯電話などのように、高周波を使った電話が増えており、この様な電話を使用した場合、補聴器や人工内耳に高周波雑音が入ります。この場合も電話の問題かもしれませんので、一度他の電話で試してみてください。

Q15−15 電磁気に注意し安全を確保する必要上、具体的に製品名と事故事例を掲載願う。
A15−15 具体的な製品名などは「コクレアカード」や、bR0に同封しました「スピーチプロセッサ貼ラベル」に書いてある通りです。幸いにも事故の事例は今のところ[ACITA]では聞いておりません。こんな経験をした会員はおります。
・テレビに近づいたら、雑音が入った。
・自動で配牌をするマージャン卓を使ったら気持ちが悪くなった。
・携帯電話を耳に近づけたら、強い雑音が入った。
・テレビの前を通ったら画面が乱れた。
・電気ひげ剃りのスイッチを入れると雑音が入る。
これらは即実害はなくても、不快なものです。もし「こんな器具を使ったらこんな事が・」と言う経験がありましたら[ACITA]へ連絡して下さい。コクレアに改善して頂くにも、細かなデータの積み重ねが重要だと思います。

Q15−16 超音波温泉に入浴しても大丈夫でしょうか。
A15−16 超音波は人体に対しても人工内耳に対しても影響を与えませんので問題ありません。[注:ただし、ヘルツバス(電気風呂)はダメです。]

Q15−17 朝いつも寝床をたたむ時、上布団はいいのですが、毛布をたたむ時ビビビーバシバシバシーと音がして耳に痛みが走ります。静電気なのでしょうか。夜、床をひく時はしません。
A15−17 文面から判断すると、原因は静電気だと思います。朝、ふとんをたたむ時は、すでにスピーチプロセッサをつけているのですか。セーターを脱ぐときはしませんか。空気が湿っているときでもおきますか。日中の他の状態でもおきますか。それによって原因が違いますので、ビビビツがおきる状態と頻度を記録して担当の先生に相談してみてください。

Q15−18 名古屋科学館に行った時、磁気や磁場を発生する装置があり、ペースメーカーを使用の方は利用しないようにとの注意書きがありました。電気の科学館などにも同様な体験装置があろうと思いますが、人工内耳への影響が気になる。科学館は子供がよく利用する施設なのでどのような装置が人工内耳に影響するか知りたい。
A15−18 人工内耳の場合にはペースメーカーとは異なり命に直接関わることはありませんが、体内埋込装置という点で取り扱いはペースメーカーに準じています。日常生活のなかでは電磁波などによってインプラントが故障することはありませんが、ペースメーカーとの併用を禁ずる医療機器や一部の特殊な装置のご使用はお控えいただくようお願いしております。

Q15−19 度々機器の故障があり、その度に嘔吐等気分が悪くなり困ります。電気器具の磁気によるものでしょうか?
A15−19 機器の故障や磁気と、嘔吐との関係は薄いと思われます。医学的な問題によるものか機器の問題によるものか総合的な判断が必要なため、病院の先生にご相談ください。

Q15−20 人工内耳への磁気や電磁波の影響について異常音の他どんな影響がありますか?また、インプラントとスピーチプロセッサとどちらへの影響が大きいですか?飛行機搭乗中はヘッドセットははずしている方がよいのか?
A15−20 主要な影響は人工内耳を作動させているときに雑音が入ることで、通常の生活ではインプラントやスピーチプロセッサが壊れることはありません。飛行機搭乗中は離着陸の際に、人工内耳の電波が飛行機の通信を妨害する恐れがありますのでスイッチを切ってください。ヘッドセットをはずす必要はありません。

Q15−21 ヘルツバスに入ると電流が流れているような刺激が身体に伝わります。手すりをさわるとどリビリする。埋め込みインプラントに影響あるか?
A15−21 ヘルツバスは、低周波電流を浴槽の壁から流すため、お湯を介して、直接全身に低周波電流を沿びることになります。人工内耳装用の方は避けてください。

Q15−22 磁気等による異常音はマップの狂いや電極の故障になるか?あるいはインプラントがゆるんだり抜けたりするのでしょうか?
A15−22 磁気の影響により雑音が入ることはあっても、日常生活では電極の故障やインプラントがゆるんだり抜けたりすることはありません。またマップが狂ったりすることもありません。ただし、静電気によってマップが壊れることがあります。

Q15−23 パソコンをする人が電磁波予防の前掛けのようなものをしているのをみたことがある。人上内耳に電磁波予防のキャップ(深めの帽子)は作れないか?
A15−23 日常生活では、電磁波についてはそれほど神経質になる必要はありません。

Q15−24 静電気の人工内耳への影響について(危険性)
A15−24 静電気がプログラムに異常を生じさせることがある。対策としては、スイッチに触る前に他のものに触ると良い。プラスチック製の滑り台は、静電気を発生しやすい。コンピュータのスクリーンも同様。カバーをかけるなどの配慮が必要。

Q15−25 人工内耳を埋め込んだ事で、他の「病気の治療法」で気をつけなければならない事柄を教えて下さい。
A15−25 皆さんが病気になって一番心配なのは検査ではないでしょうか。まず、MRI(磁気共鳴画像撮影)は撮らないてください。また特殊な場合の放射線治療は、頭に直接かかる場合は問題になりますが、外の部位なら問題ありません。

Q15−26 インプラント患者カードを見ると、高周波や低周波を使う電気治療は禁止になっていますが、五十肩で肩が痛く困っています。電気を使わない良い方法は無いでしょうか。
A15−26 この質問には会場では名案が出ず、後日の回答としましたので、東洋医学の仕事をしている正会員に質問して見ました。
電気を使わない方法はさがせばいくらでもあるので、自分に一番合った治療法を見つけて根気よくやる事が大切だと思います。
例@ 整形外科的には服薬、注射、湿布、牽引なと。
例A 東洋医学的には鍼、灸、マッサージ、指圧、漢方薬など。

Q15−27 磁気が、埋め込んだ人工内耳に悪影響を及ぽすと言われますが、逆にスピーチプロセッサが磁気カードに影響を与えませんか。スピーチプロセッサと同じポケットに入れていたキャッシュカード等が、相次いで磁気不調で使用できなくなりました。
A15−27 スピーチプロセッサには、内部に信号を送出させるために高周波を使用した回路がありその出力の部分では、電磁波が発生しますが、この電磁波はごく弱いもので、カードに影響を与えるとは考えられません。しかし、送信コイルには非常に強い磁石が使われています。キャッシュカード等に送信コイルを近づけると記録してある情報を破壊してしまう危険性があります。また、2枚のキャッシュカード等の磁気情報記録部分を長時間お互いにくっつけたままにしておいた結果、情報が破壊され使用できなくなってしまったという事例もあるそうです。そちらにも注意した方が良いかもしれません。

Q15−28 肩こりがひどいのですが電気やハリなど、どの程度でしたら使用して良いのでしょうか。
A15−28 電気もハリも、身体に電流を流すようなもの以外でしたら特に問題はありませんが、電極を貼り付けたり、針を刺して通電するタイプのものは、基本的には避けてください。

Q15−29 旅行が好きなのですが、手術後飛行機は少し不安なので出かけていません。飛行機に乗るときの注意をお願いします。航空機に搭乗する前に空港で金属探知器を潜ります。以前は何度か潜りましたが、現在は「人工内耳なので」と理由を伝えて、人の手で身体を調べてもらっています。やはり潜らない方がよろしいのですか。
A15−29 飛行機による旅行は、全く問題ありません。たくさんの人工内耳装用者の方が、海外、国内を問わず飛行機で旅行をされました。また飛行機に乗るときの注意については、次の通りです。
@搭乗時に金属探知器を通っても人工内耳には影響ありませんが、「コクレアインプラント患者カード」を係の人に提示すれば通過を避けることも出来ます。
A飛行機が離着陸する時はスピーチプロセッサのスイッチを切ってください。理由は、人工内耳には影響はないのですが、逆に飛行機の通信電波を邪魔する恐れがあるからです。

Q15−30 磁気の強いもの(磁気ネックレスや腕輪等)を身につけている人の近くにいっても大丈夫ですか。
A15−30 磁気ネックレスや腕輪等は、磁気が強いと言ってもそれほどではありません。磁気枕(枕の中に磁石がいっぱい入っている?)は、ご遠慮願っていますが、それ以外でしたら特に大きな問題とはなりません。大丈夫です。

Q15−31 医療機関での禁忌事項について、整形外科へ行って治療を頼んだら断られた。これから高年齢になっていくと困る。会場に知らないで治療を受けた人はいないか?
A15−31 使用する機器の使用によってそれぞれ条件が違うので、個別相談によって対応したい。会社とその治療する病院とでよく打ち合わせをします。

Q15−32 人工内耳によってMRIや低周波の治療が受けられないとのことですが、頭以外のところでも使えないのでしょうか?他の人が近くで使用するのも影響がありますか?
A15−32 MRIについては現在の機器で可能となりました。

Q15−33 人工内耳の装用者がそばにいるとき気をつけなければならないこと(携帯電話の使用はいけないとか等)
A15−33 ペースメーカなどと同様、電磁波障害を起こすような機器(携帯電話をすぐ近くで使用など)の使用は避けてください。

Q15−34 人工内耳手術後に、脳障害が出たときMRIがとれなくては困るのでは?
A15−34 MRIはまだ歴史の浅い診断技術。なくてどうしても困ると言うことはない。その理由だけで人工内耳をしないのはもったいない。

Q15−35 軽い運動障害があり、MRI検査がダメなので脳のCT検査を受けたがフィルムを診ていると人工内耳埋め込み側は、埋め込んだ機器の影響で、光が入って白くなっていて判断できない状態であった。他によい方法があればお知らせいただきたい。
A15−35 人工内耳の電極によりどうしてもCTでは写りにくい場合もありますが、人工内耳(マイクとアンテナ)を一旦外してみてください。またCTの方向を変えて撮ってもらってください。

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1−6.再手術

Q16−01 埋め込んだ電極が故障して、またもう片方には埋め込めないという場合、取り出しての再手術は可能なのでしょうか?
A16−01 再手術は可能です。手術自体はそれほど難しくないです。ただし、取り出してからすぐに、同時に入れ替える手術をしないと手術は大変難しくなります。欧米でも日本でも入れ替え手術はときどき行われているようです。

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