人工内耳の現状 |
平成14年11月4日
岐阜県難聴者福祉大会講演 (岐阜県ふれあい会館3F大会議室) 人工内耳の現状 日本コクレア社 小 澤 明 皆様、こんにちは。初めまして。 ただ今ご紹介いただきました、日本コクレアの小澤でございます。 どうぞ宜しくお願い致します。 本日は岐阜県中途失聴・難聴者協会様のおかげで、人工内耳に関しますお話をさせていただく機会をいただきました。 厚く御礼申し上げます。 私のお話させていただきます内容でございますが、まず最初に、日本と世界における人工内耳の現状につきまして、統計データを利用致しまして、皆様にお話させていただきたいと思います。次に、簡単ではございますが、人工内耳製品につきまして、お話をさせていただきたいと思います。 では、手短にお話を進めて参りたいと思います。 まず、最初に世界の状況につきまして、お話をさせていただきます。 この表は、2002年6月に集計致しました、世界中で人工内耳を装用されていらっしゃいます方々の人数でございます。 ご覧の通り世界では、成人・小児合わせまして、39,300人の方々が人工内耳を装用していらっしゃいます。 また、成人と小児の装用者数でございますが、成人が、19,230人、小児が、20,070人となっておりまして、多少ではございますが、小児の装用者数が上回っております。 合計では、小児の装用者数が成人の装用者数を上回っておりますが、年別に見てみますと、1982-1995年までの集計では、成人の方々の方が多くいらっしゃいます。1996年以降から今年までは、小児の装用者、子供さんの方々が成人の方々を上回っております。結果と致しまして、全体で、小児の装用者の方々が多くなっております。 今、お話を致しました内容を棒グラフで表したものでございます。 1996年以降は、小児の装用者数が成人の装用者数を上回っております。 また、ちょっと古いお話で申し訳ございませんが、2001年5月に集計致しました、世界主要国別の人工内耳装用者数によりますと、この時、世界中で人工内耳を装用されていらっしゃいます方々は、31,890名いらっしゃいました。この数値と現在の数値を比べますと、約2年間で、7,410名も増えた事になります。 2001年5月の時点での国別装用者数では、一位はアメリカでございまして、断然多く、13,017名でございます、次がドイツで、2708名いらっしゃいます。続きまして、イギリスが、2,402名。そして、四番目に、私たち日本が入ってまいりまして、1,822名でございます。そして、第五位が、人工内耳の本家、オーストラリアでございまして、1,739名と続きます。 六位以下は、六位カナダ、七位フランス、八位スペイン、九位イタリア、十位台湾となります。 日本は世界の中でも「人工内耳を装用されていらっしゃる方々が多い国」と言う訳でございます。 続きまして、日本の状況につきまして、お話をさせていただきます。 まず、この一覧表は、日本における人工内耳手術実施施設を示す最新情報です。今年の6月現在(現在も同じでございますが)、日本では74の施設におきまして手術が行われております。 ご当地・岐阜県におきましては、岐阜大学様で手術をしていただいております。本日お越し下さいました、伊藤八次教授、青木光広先生が手術を行なっていらっしゃいます。 次にこの表は、全国74施設におけます現在までの成人・小児手術数でございます(2枚に分けてございます)。2002年9月現在、日本においては、2,532名となっております。その内、成人の方々は、1,832名となっております。小児は700名となっております。 日本は世界でも、人工内耳装用者が多い国の一つではありますが、実は、小児の、子供さんの装用者はまだまだ少ない、と言える国なのでございます。この件に関しましては、後ほどお話をさせていただきます。 また、各施設に付いております順番は、人工内耳の手術を始められました順番となっております。岐阜大学様は65番目に人工内耳の手術を開始されました。 この表は、日本における装用者数の経緯を表したものでございます。1985年、初めての手術が行われましてから、17年が経過致しましたが、だんだんと装用者数が増加していますことが分かります。また、91年に輸入承認、94年に前製品N22が保険適用、98年に小児人工内耳適用基準が発表、2000年に現在のN24が保険適用になりました。 この表の赤い棒グラフは、小児の装用者数を表しておりますが、年々、増加していることが分かります。 この表は、県別装用者数の経緯を表しております。 北海道、東京、名古屋、大阪等はとても多く、地域内での装用者数は、北海道では120-150人、東京・名古屋・大阪では150人を越えております。 岐阜県は、県内装用者数が20-40人の色分けに入りまして、全国平均にあるかと思います。 岐阜県におきましては、現在28名の人工内耳装用者の方々がいらっしゃいます。 それでは、ここからは最近、目覚ましい増加をしております小児の人工内耳につきまして、少し詳しくお話をさせていただきます。 この表は、今年9月現在の小児の年齢別経緯でございます。色の違いは年齢を表しております。 日本におきまして、最初に小児の手術をされましたのは、1991年でございました。7 歳から13歳の年齢で2名。13歳から18歳で1例行われました。それから年々、増加しておりまして、2002年9月30日までに700名の子供さんが手術をお受けになりました。 また、その低年齢化も進んでおりまして、2歳から4歳児の手術が、すでに93年に行われております。99年には、0歳から2歳児の手術も行われました。 この表は、小児の比率を棒グラフで表したものでございます。年々、その比率が多くなってきているのがお分かりかと思います。 しかし、この部分に関しまして、日本は世界の中では遅れている部分でございまして、アメリカやオーストラリア、ドイツ等々は、総装用者数の約半分が子供さんのケースでございますが、日本の場合は、その比率が一番大きい2001年におきましても、わずか14.8パーセントに過ぎません。お隣の国、台湾では、そのパーセンテージは81パーセントにも及びます。 この表は、手術年齢の経緯を表しました棒グラフでございます。ご覧の通り、年々、だんだんと低年齢化が進んできましたのが、お分かりになられるかと思います。 この表は、4歳以下の症例数の経緯を表しております。特に2000年よりその数が増えて来ているのが、お分かりかと思います。 この年、コクレア社は現在販売させていただいております「N24」システムが薬事認可を得まして、販売を開始させていただきました年でございまして、「N24」は、それまで販売させていただいておりましたものに比べまして、さらにより薄く、湾曲させました結果、小児に対します手術が、より簡単に、安全に行なえるようになりました。そのため、手術数が増えたと考える事も出来るのでございます。 続きまして、人工内耳の製品に関しまして、お話をさせていただきたいと思います。 これは、コクレア社の人工内耳システムの写真でございます。人工内耳システムは、大きく二つに分けられます。体内装置部分と体外装置部分でございます。 まず、体内装置からお話をさせていただきます。 これは、頭の耳後部(耳の後ろ)に植え込まれますインプラントでございます。これが人工内耳と言う訳でございます。 とても薄く作られておりまして、従来のものと比べまして、1/3の薄さになりました。また、湾曲しております。頭の形にフィットするようになっております。材質は、白く見えるところがシリコーン、金属部分はチタンで作られておりまして、シリコーンの柔軟性とチタンの剛性を合わせ持ったインプラントでございます。 これはインプラントの拡大写真でございます。本体は耳後部に植え込まれます。そして、この「22個の蝸牛内電極」の部分が蝸牛内に挿入されます。 これは磁石ですが、この写真のように取り外しが出来ますのは、私共コクレア社のインプラントだけでございます。取り外せる事によりまして、MRI検査を受ける事が可能でございます。 人工内耳を装用しておりましても、医療の最新技術を受ける事が可能な訳でございます。 次は体外装置でございます。 これは携帯型のスピーチプロセッサでございます。名前を「スプリント」と申します。多くの機能を有しておりますが、以前の製品と比べまして、大きく変わりましたのは、「マップ」と呼ばれております、音を電気信号に変換致しますプログラムを、4種類持てる事でございます。その時の状況に応じて使い分ける事が出来る訳です。例えば、静かな場所での会話用、会議用、テレビやウォークマンを聴く時等、たいへん便利でございます。 また、3種類のコード化法を使用する事ができます。コード化法とは、音を表現するための処理方法の事でございますが、三つの方法が使えます。 その方の聴こえに、一番良い方法を選ぶ事が出来ます。 こちらは、人工内耳を装用されていらっしゃいます方々に、好評をいただいております、耳掛け型スピーチプロセッサでございます。名前を「エスプリ」と呼んでおります。現在、耳掛け型スピーチプロセッサがございますのは、私共コクレア社だけでございます。 耳に掛けるだけでございますので、携帯型を持っている時のように、ケーブルの煩わしさや重さを感じません。ボタン電池2個使用致しまして、わずか11グラムという重さでございますので、装用している事を忘れてしまって、シャワーを浴びてしまったと言うような事もおきております。 こちらにも先程ご紹介させていただきました携帯型のように、マップも2種類持つ事が可能、またコード化法も2種類お使いいただけます。 年々増えてまいります人工内耳装用者の方々に対しまして、私共、コクレア社はさらなる技術開発とアフターサービスで、貢献させていただきたいと思います、今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。 以上でございます。 ご静聴、ありがとうございました。 |
メールはこちらへ |
各種情報メニューへ |